ビバ!迷宮の街角

小道に迷い込めばそこは未開のラビリント。ネオン管が誘う飲み屋街、豆タイルも眩しい赤線の街・・・。

君知るやアートの島その二(瀬戸内)

2010年09月05日 | 瀬戸内の名所・旧跡
 9月を過ぎましたが、まれに見る猛暑のおかげでいまだ夏気分。
「瀬戸内国際芸術祭2010」の会場のひとつ、男木島。君知るやアートの島その一の続きです。 
    

 今回展示会場に選ばれたのは、島で使われなくなった廃墟同然の木造建物で、修繕された後に、アート作品が展示されています。廃墟に訪れた事がある方ならご存知とは思いますが、住む人の居なくなった建物は凄まじい雰囲気を放つものです。かつての住人の歴史が痛ましく風化していくことを示す生活用品の残骸やら、朽ちていく木や壁の放つ埃やカビの匂い・・・。
何名かの作家は、男木島ののどかな風土よりも、廃屋が散在する朽ちた島ということに焦点を当てて作品つくりをしているようでした。若手の作家の作品で、蔵の中は、残酷な殺人事件の新聞の切抜きで一杯というインスタレーションがありましたが、島全体がお祭りムードだったために凄惨な感じは受けませんでした。

   

 こちらは殆ど修繕されてういないボロボロの民家の中で、小型モーターをつけられた羽がプルプル震える作品でした。鈴がつけられていて、羽が動くと切なくチリチリと鳴くのですが、とても怖くて声を上げてしまいました。
   

 急勾配の島に住むお婆さん達の生活を支えるオンバという乳母車に焦点を当てたオンバファクトリーは、実際に今でも使われているオンバに無料で、ユニークな装飾を施すカスタマイズの工房と、島に訪れた人をもてなすカフェを作り、楽しい憩いの場を提供しようという試みです。また様々な島の人の家屋がカフェやお休みどころとして提供されていました。

     

 うちわの骨の家は、香川県丸亀の名産品である、うちわの骨をかつて駄菓子屋だった建物中に張り巡らした展示。昔ながらの生活用具として親しまれたうちわの骨に囲まれると、まるで瀬戸という風土、歴史そのもののカタコンベのようであり、すだれで日光をさえぎった町屋のような美に時すら忘れる心地でした・・・。 
   

 

 と思いきや、島のガキども数名がけたたましく叫びながら出たり入ったり、挙句の果ては家屋の中で飛び跳ねてうちわが取れそうだったので、「壊れたらどうするの?君たちは島の子なのか?」と聞いたら、そのうちの主犯格のガキが「わしゃ丸亀の子じゃあけん、島の子じゃないきん、でもこの男木島は丸亀よりおもろいで~」と一声叫んだかと思うと、山猿のように山の中に消えて行きました。・・・まあ、丸亀より面白いというのは頷けます。丸亀の息苦しくなるような町の過疎っぷりを知るだけに、ここは、ガキにとっては特別羽目をはずせる島なのでしょう。

 島の海沿いにある加茂神社の参道にもアートがありました。ユーカリの木の根を積み上げているのだそうです。 
   

 あまりの暑さにフラフラ、小さな路地に駄菓子屋を発見、ペットボトルを買うと、店のバー様の発した粗忽な物言いに軽く失神・・・。

   

 この島の言葉、正気の沙汰じゃないわ!
 陸の言葉を知らないのね!
 ソコチュな物言いがアートなんでちゅ!

 イライラは禁物・・・そこへ地元の人の浮きを改造した和みアート登場で、気分がほぐれます。正式にエントリーしているわけじゃありませんが、インパクトで他を圧倒中。島では他にも多数作品を目に出来ました。
   

 帰りの船の時間が近づいたので、海岸に戻る事にします。ちょうど、船の通ったあとが、ファスナーの開閉のように見えるこれもアート作品のファスナー船が湾に入りました。
   

 海岸近く、公民館だった場所に鏡を張って、巨大なモノトーンの壁画を登場させた大岩オスカールの作品。イメージしたのが瀬戸内の島々ということだが、絵は西表島のようなジャングルの植生に近い感じ。これは接してきた風土の違いでしょうか。
  

 
  他の島と違って会期中のみの作品が主ですが、男木島は古い石段の町並みが得がたい雰囲気をかもし出していて、思い出深い場所です。(瀬戸内芸術祭の思い出その一に続く)

最新の画像もっと見る

コメントを投稿