瀬戸大橋からの眺め
職場の人間関係でお悩みの方のために:
北海道網走海上保安署の巡視船ゆうばりの船長をしていた時に、一管区の部内誌に投稿したものを恥を忍んで載せてみます。
あれからずいぶん経ちました、みんなどうしてるかなぁ~
船長のうわごと
愛媛のポンジュース
2年近く一管区にお世話になり、また、こぼれ話の編集者が本船から転出した関係もあって、つたない文書でも書いてご奉公のまねごとにでもしたいと思います。なにせうわごとで、熱にうかされ無意識に発する言葉でありますで、筋道の立たない部分は切にご容赦願います。
さて、先月11月はメンタルヘルスに関する月間でしたが、本船でもメンタルヘルスに関する資料を作って話をしましたが、さてどこまで理解してもらったことか?そのときに準備して話しきれなかった部分を、それこそこぼれ話として脱線しながらお話しします。
有名なのでご存じの方も多いと思いますが、デール・カーネギーの「人を動かす」という本があります。ずいぶん昔に出た本ですが、いまだに売れ続け若い人へのギフトとしても使われているようです。
この出版社の株を買っておけば、儲かったかもしれません。ちなみに北朝鮮崩壊で儲かる株は、薬品株と商社株といわれているようです。なぜかって?まずは医療の援助を日本政府が行う、それをアレンジするのは商社、また食料を援助するのも商社が絡む、レアメタルがたくさんあると言う理屈ですが、さてさて、、、、、。今のうちに仕込んでおくといいのでしょうが、北朝鮮が崩壊しないことには、儲かりません。(脱線
この「人を動かす」という本は、人間関係を良くするための秘訣を紹介している本です。メンタルヘルスと人間関係?(?_?)エ?一見関係ないようですが、皆さんの職場でのお悩みの大半は職場での人間関係ということがデータで明らかになっているそうです。人間関係を改善できれば職場でのストレスは大きく減るはずです。
職場の人間関係で最もストレスの源になるには「上司」なのだそうです。ストレス源は上司ですからコレを排除すれば、ストレスはなくなるハズ、(・・)(。。)(・・)(。。) ウンウン 船長がいなくなると業務管理官や各科長のストレスが無くなる、各科長がいなくなれば、首席クラスのストレスが無くなる、首席クラスがいなくなれば主任クラスのストレスが無くなる、そうやってずぅ~といくと、あ~ら不思議そして誰もいなくなったというアガサ・クリスティーの小説状態になってしまいます。(脱線
そうした中で、職場の人間関係を良くして少しでもストレスを減らすことに効果のあるのが、「人を動かす」という本であろうと思っています。
以下その目次を紹介します。それぞれの基本原則が盛り込まれています。
人を動かす三原則
1 盗人にも五分の理を認める
2 重要感を持たせる
3 人の立場に身を置く
人に好かれる六原則
1 誠実な関心を寄せる
2 笑顔を忘れない
3 名前を覚える
4 聞き手にまわる
5 関心のありかを見ぬく
6 心からほめる
人を説得する十二原則
1 議論をさける
2 誤りを指摘しない
3 誤りを認める
4 おだやかに話す
5 “イエス”と答えられる問題を選ぶ
6 しゃべらせる
7 思いつかせる
8 人の身になる
9 同情を持つ
10 美しい心情に呼びかける
11 演出を考える
12 対抗意識を刺激する
人を変える九原則
1 まずほめる
2 遠まわしに注意を与える
3 自分のあやまちを話す
4 命令をしない
5 顔をつぶさない
6 わずかなことでもほめる
7 期待をかける
8 激励する
9 喜んで協力させる
幸福な家庭をつくる七原則
1 口やかましくいわない
2 長所を認める
3 あら探しをしない
4 ほめる
5 ささやかな心づくしを怠らない
6 礼儀を守る
7 正しい性の知識を持つ
この本に出会ったのは、およそ二十数年、横浜伊勢佐木町をぶらぶらして何気なく入った有隣堂書店で、棚に10冊くらい「世界的ロングセラー」と銘打って置いてあったので、何気なく手に取ったのが、手始めでした。さすが、明治創業の有隣堂です。このころパイロット養成コースからドロップアウトし、失意のうちに横浜の巡視船みうらにボットム航海士として乗船したときでした。
横浜と言っても青森の横浜ではありませんから、お間違えなく。当時は横浜に住んでいましたので、浜っ子でっせ、浜っ子!かつて勤務していた二管区福島県の小名浜では、スポーツクラブで知り合いになりました若い子が「私は浜っ子よ!」と得意げに話すので、「横浜出身ですか?」と尋ねたら、帰ってきた返事が、「んん、違う、小名浜っ子なの!」とのこと。あれれ、小名浜も浜っ子なら蝶やトンボも鳥のうちなんて言いませんでしたけどね。だって、その子かわいかったんだもん。
そういえば、三管区内で、身上調書の希望地欄に「横浜」と書くと「小名浜」に飛ばされるというジンクスがありましたが、横浜も小名浜も同じ浜なら飛ばさにゃソンソンとばかり、人事が飛ばしたのかもしれません。最近は福島保安部に改名しましたので、そのジンクスは廃れたでしょう。(脱線
当時同じ業務処理班に、一癖も二癖もある牢名主みたいな補給長がおりまして、調理業務に専念し、警救艇の揚げ降ろしなどちっとも手伝ってくれません。お願いしても、なしのつぶて。私のことを生意気だとずいぶんと嫌われまして、ほとほと困り果てておりました。
ある日たまたま公室で補給長と一緒にテレビを見ておりましたら、当時日立のキドカラーというテレビ受像器のコマーシャルをしておりました。ソフトバンクの王監督がまだ現役の巨人の選手で、チャウチャウ犬と一緒に登場して、日立のテレビを宣伝していましたら、補給長が突然「オレもチャウチャウ犬を飼ってるんだ。」とのたまうではありませんか。ん、まてよ、カーネギーの「人を動かす」の中に、「相手の関心を見抜き、それを話題にするやりかたは、結局、双方の利益になる。」とあったのを思い出し、(かなり大げさに)「ええ!あんなに珍しい犬を飼っているんですか?補給長、すごいですねぇ。どんな犬なんですか?」と水を向けましたら、来ました、来ました、がっちり食いつきました。無類の犬好きだったのです。一方的にチャウチャウ犬の話を弾丸のように話します。おそらく王選手と同じ犬を飼っていることを自慢したかったのでしょう。その日は、犬の話題ですっかり意気投合してしまいました。副産物として、チャウチャウ犬に関する知識が獲得できました。私も子供の頃犬を飼っていて結構好きだったのです。
で、数日後、こちらから頼みもしないのに、警救艇の揚げ降ろしを手伝ってくれるようになり、補給長とも楽しく雑談ができるようになりました。めでたし、めでたし。
「関心のありかを見ぬく」「心からほめる」「聞き手にまわる」「しゃべらせる」の原則をうまく当てはまった事例かもしれません。
この本のおかげで、当時業務処理班内でギクシャクしていた人間関係を劇的に改善でき、この本は効くと実感しました。その後も折に触れ書かれていた内容を実際に試してみると、結構大当たりするものです。もちろんうまくゆかず失敗することもありますが、まあそのへんは「ケセラセラ~♪ なるようになる~♪」ということで。
この本の優れているところは、家庭生活についてもそれなりのページを割いているところです。家庭円満にも効く!?
カーネギー曰く、「ささやかな心づくしを怠らない」という原則の例として、帰宅時に花を買って妻にプレゼントするアイデアが紹介されています。
大変照れくさいですが、20歳代後半に実際にやってみました。当時神戸のCLに乗船しており、官舎は伊丹にありました。駅前の花屋で安い特売のバラを2,3本合計1000円のしょぼい花束でしたが、買い求め、家内にプレゼント。いゃ~、女房殿が目を剥いてびっくりしておりました。おかげでその日の夕食はビール1本サービスとあいなりました。
映画「釣りバカ日記」では、こういう場合めでたく合体となるのですが、現実の敵はなかなか手強く経験則上3~5000円以上の豪華な花束でないとすみやかな合体は難しい様に思われます。皆さんのお宅はどうです?(脱線
以後、ごくまれに家内にはちょっとした気遣いといいますか、プレゼントを贈っています。那覇にいたときのこと、2万数千円の金のネックレスをプレゼントしましたところ、数ヶ月後、家内が鏡台を掃除機で掃除した際、気づかないでネックレスを吸い込みそのまま掃除機のパックごとゴミ箱へ。その後ネックレスがないと気がついたときは後の祭り、ゴミ焼却炉の露と消えてました。当然本職は「おいおい、オレへの愛情もその程度かい?」と怒り狂うところ、「あら探しをしない」とあるのを思い出しグッとこらえて飲み込んだのでありました、トホホ。最近の家内は、古くなった掃除機を指さしては、英国ダイソンのサイクロン掃除機が欲しい欲しいとせがみます。曰く、「サイクロンだとネックレスを吸い込んでもゴミ容器が透明だからわかるよ。」だって。バカヤロー。(脱線
新婚当時、「ほめる」ということで、夕食にオムレツがたまたまおいしくできたので、褒めたところ、しばらくオムレツばかり。おかげで家内のオムレツは我が家の看板メニューになりました。料理を褒めると、だんだん上手になる法則があるようです。良き夫であられる皆様、奥様の料理を褒めてみてはいかがでしょうか?
で、最近は単身赴任でたまに家に帰ると、家内から「お父さんの入れたコーヒーはホントおいしいよね~」とコーヒーのおねだり。本職「アホ~、コーヒーメーカーで作るのに違いがあるか?」と反論するも、「それでも、お父さんの入れたコーヒーはおいしい。」と言われ、いつの間にかコーヒー作成を命じられる本職であります。結婚20数年ともなりますと、敵(妻)はなかなかの狸ぶりでありまして、デール・カーネギーを越えておりまする。どうも家内も「人を動かす」をこっそり読んでいるような気配がします。
お陰様で、これまで夫婦げんかは数限りなくやり、現在も継続中ですが、離婚することもなく(というか離婚する勇気も金もなく)今日まで夫婦円満もどきで過ごしております。(しかし、2007年から妻に年金最大半分もっていかれるので、2007年以降になると山の神から三行半(みくだりはん)が来るかもしれません、クワバラ、クワバラ、、、、。)
曰く、釣った魚や古女房でも断続的に安い餌は必要なり。もてる男の条件、女性にまめであること。(また脱線
この本の欠点は、セールスマンのマニュアル臭さや打算的なところがあることでしょうか。しかしながら、たとえマニュアルどおりに演じたとしても、それを一生涯続けることができれば、それはその人の人格そのものになっているのではないのでしょうか?
映画「ラストエンペラー」で、清朝最後の皇帝愛(あい)新覚(しんかく)羅(ら)(愛染かつらと似ていますが、違いますよ。満州民族王家の名字ですぞ!満州民族はこの名字を聞くと血が騒ぐそうです。)溥儀(ふぎ)の家庭教師(イギリス人)が、溥儀に「紳士になれ。」と教えますと、意地悪な溥儀は、「そう言うおまえは、紳士なのか?」と質問します。家庭教師は。「いえ、紳士ではありませんが、紳士になろうと常に努力しています。」と答える場面があります。努力し続けることが肝要なのでしょう。
それと、本の最初に書いてありますが、読んだだけでは効きません、実行することが極めて重要です。これまで、たくさんの人に勧めてきましたが、読む人は10人に2~3人、実行する人はほとんどいませんでした。残念なことです。
え?そういうおまえは、今実行しているかって?もちろん、一部だけ実行していますよ、笑顔・スマイルを忘れません、いつもニコニコ笑っています。口の悪い本船乗組員は、某船長は「頭が空っぽで、単なる脳天気だ。」と揶揄嘲弄しているようですが。
デール・カーネギーの著書で「人を動かす」と並んで有名なのが、悩み解決法の本「道は開ける」です。いま深刻な悩みを持っている方は、ぜひ読んでもらいたいと願っております。この原稿が没にならず、また続きを書いてくれとご要望がありましたら、詳しくご紹介したいと思います。(完)
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