重低音のBlue Canary

♪ 思いつくままを、つたない文と photo で …

怒っています。

2009-09-02 | ぼやき



今朝の中日新聞の1面に、
この記事は載っていました。

 ▽越中 舞い込む秋―― 八尾・おわら風の盆
  北陸に秋の訪れをつげる祭り「おわら風の盆」が1日、富山市八尾町で幕を開けた。
  胡弓や三味線が奏でるおわら節に合わせ、編み笠を被った男女の踊り手が、3日まで坂の町を盛り上げる。

  祭りは江戸時代半ばから始まり、二百十日の台風の季節に合わせ風を静め、
  五穀豊穣を祈り「風の盆」と呼ばれるようになった。
 
  初日は、午後3時に各町内で輪踊りや町流しがスタート。
  おわら節が流れる中、観光客は指先まで神経の通った踊りに目を奪われていた。

  日が傾き、ぼんぼりがともると、町の風情が一層際立った。


地元の富山新聞は、
同じ記事を、さらにこう伝えています。

 ▽哀調の音色、優美に舞う 八尾おわら風の盆開幕 富山に秋告げる
  富山に秋の訪れを告げる「越中八尾おわら風の盆」は1日、富山市八尾中心部で開幕した。

  坂の町は哀調漂う三味線や胡弓の音色と、艶やかな歌声が織り成すおわら情緒に包まれ、
  浴衣や編み笠姿の踊り手が繰り広げる優美な舞に、沿道の観衆が酔いしれた。
  
  日が暮れてぼんぼりに明かりがともると、しなやかな所作を繰り広げる踊り手の姿が幻想的に浮かび上がり、
  祭りの興奮は最高潮に達した。
  …………


徳島「阿波踊り」や秋田「ねぶた祭り」のような、ダイナミックでエネルギッシュな踊りとは対極にある、この静かで優美な越中八尾「おわら風の盆」が、私は大好きです。

だからこそ、
中日新聞に掲載されたこの1枚の写真に、
私は抑えようのない憤りを感じ、
腹の底から怒っているんです。


中日新聞のカメラマンは(実際は中日新聞のみならず他社も同じだったのですが)、
なぜ、
ストロボを焚いてこの写真を撮ったのですか?



「おわら風の盆」は、
道の両側に建ち並ぶ家々が、わざと家の中の明かりを消し、
ぼんぼりの明かりだけがうっすらとともる町の中を、
町内の踊り手たちが、ゆっくりと、ゆっくりと、
「踊る」と言うより「舞い」ながら流してゆく優雅さに、
他の盆踊りにはない特徴的な良さがあります。


そんな町流しの踊り手たちに向かって、
なぜ、
目が眩むようなストロボの閃光を浴びせかけ、
彼らが最も大事にしている、薄明かりの中で踊るからこその幽玄美を
ぶち壊すような真似をするのですか?
それも、アマチュアならいざ知らずプロのカメラマンが。

他人の家に土足で踏み込むようなその傲慢さと無神経さを、
私は断じて許せないんです。



数年前、
縁あって招かれた私も、
2日2晩、「おわら風の盆」を拝見するチャンスを得ました。
もちろんカメラを持参し、それこそ数百回もシャッターを押したでしょうか。

しかし、私の腕前では残念ながら、
ほとんど暗闇といっていい中で、ストロボを使わずに撮った中のたった1枚さえ、
まともに写っている写真はありませんでした。


でも、
そんな失敗を、全然悔やんではいません。

なぜなら、
「写真」というものが、文字通り「真実」の一瞬を「写し撮る」ものであるとするならば、
暗闇での舞いを、まるで真昼のように明るく映し出してしまうような「ニセモノ」写真を撮るよりは、
まだマシだと思っているからです。



死ぬまでに1枚でいいから、
「おわら風の盆」の満足いく写真を撮りたい――それが願いなのですが、
たぶん無理なんでしょうね、
私の、残り時間的にも技量的にも。


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6 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
アッパレ (yuusuke320)
2009-09-03 10:31:12
 そうだ、そうだ。 その通り。
 どこぞの地で『○○おわら風の盆』を開きたい、との申し出に『NONN』を付きつけたと云う八尾のみなさん(振興会か?)に拍手を送りたい。
 行って・触れて、体感してこその祭りの醍醐味です。夜行便の観光バス客が帰ってからの深夜・夜更けが最高なのです。 (もっとも、オイラが行ったのは30数年前のことですが・・・)
風の盆 (kawa)
2009-09-03 18:37:28
普通なら、「まあまあ、そう怒らないでも」というかもしれませんが、これに関しては、uwanosoraさんの「お怒り」、最もです。
ストロボをたいて撮ったら、雰囲気が伝わりませんよね。
(以前、川越祭りを撮りましたが、ストロボを使いませんでした)
貴兄も… (yuusuke320さんへ)
2009-09-03 21:36:31

ご覧になったんですね、「風の盆」を。
そう、観光バス客が帰った夜更けから明け方までの長い長い時間、来るかも知れないし来ないかも知れない町流しを、ただひたすら待つ――そんな静かな祭りがあってもいいじゃないですかね。
恐縮です。 (kawaさんへ)
2009-09-03 21:41:31

だって、ストロボで真昼のように明るく照らされた踊りの姿からは、胡弓と三味線によるあの物悲しい「風の盆」の旋律は聞こえてきませんものね。
♪私も・・ (hirorin)
2009-09-04 16:56:22
同感です
私はTVでしか見たことがありませんが
それでも「おわら風の盆」はうす明かりの中で
静かに踊る・・
にぎやかな祭りとはひと味違う魅力を感じていました

yuusuke320さんのコメントも同感です
あちこちで「よさこい○○祭り」が催されますが
なんか違うと感じてしまいます
それって頭がかたいってことでしょうか。
風の盆 (hirorinさんへ)
2009-09-04 22:52:53

おわら風の盆は、踊り手が、踊りながら自分の心と向き合う舞いだと思っています。だからこそ、できるだけ邪魔をせずに、静かに拝見すべきじゃないんでしょうかね。

最近の全国各地での「よさこい祭り」は、もはや日本の踊りではなくダンスですものね。私もいかがなものかと思います。

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