![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/05/90/91bb7c642c50bf75316880595743096b.jpg)
名古屋地方ではいま、
私が好きな「アガパンサス」の花があちこちで咲き始めたと先日の拙ブログで書きました。
生活習慣病の定期検診のため会社を休んだ今日の帰り道、
病院の近くにも咲いていたそれにカメラを向けました。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/56/14/f3f2a9b68dfbe5394b5496e03ebc1101.jpg)
でも、
この場所で私がピントを合わせたのは、
本当は「アガパンサス」の花ではなく、
その向こうの、これです。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/28/44/479589344952ad80a7dd852c8387da43.jpg)
そう、
レンガ塀です。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/img_emoji/hikari_blue.gif)
名古屋市中区「二の丸」交差点の北西角に、
長さ30mほどですが、古いレンガ塀が残されています。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/67/e5/b9cf718aa8d207317dde776e966c2249.jpg)
明治20年(1887年)この場所に建てられた日本軍「第3師団司令部」の名残りです。
2階建て煉瓦造りだった当時の庁舎はすでに取り壊され、
現在は鉄筋コンクリート作りに建て替えられて「独立法人水資源機構」が入っていますが、
戦後しばらくは、防衛庁関係の役所がその建物をそのまま使っていました。
比較的早く亡くなった私のオヤジがその役所の役人で、
子供時代、忘れ物を届けるなどのために、この塀の中に入ったことが何度かあるという、
私にとっては思い出の場所なのです。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/img_emoji/hikari_blue.gif)
庁舎を建て替える際、このレンガ塀も取り壊されるはずでしたが、
とても丈夫に造られたレンガ塀だし、
戦火をくぐって残った歴史的意味もあるというので、
この部分だけが残されることになったと、ずいぶん昔、新聞で読んだ覚えがあります。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/62/f0/0d3b6e47b71597dfb5e2324a346e12ac.jpg)
![](https://blogimg.goo.ne.jp/img_emoji/hikari_blue.gif)
その敷地内に今日、何十年ぶりに足を踏み入れ、
一角に、こんな大木があったことを初めて知りました。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/4c/7d/be775499b323c97939af00ccb11f6754.jpg)
クスノキです。
そして、
お気付きになりましたか?
根元に添えられた石碑を、
太くなった幹がくわえ込んでいるのを。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/7b/8b/142a04a634d34f32cce78f7033bdbef7.jpg)
「勅諭下賜………」と彫られたその下が読めません。
帰宅後、いろいろ調べて、分かりました。
石碑には、こう書かれていたのです。
「勅諭下賜五十周年記念」
明治15年に明治天皇が「軍人勅諭」を陸海軍に下賜されてから50年目に当たる昭和7年に、
このクスノキは記念植樹されたようです。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/img_emoji/hikari_blue.gif)
ごく一部分とはいえ、いまだに堅牢な旧師団庁舎の名残りのレンガ塀。
幹にくわえ込まれて半分は分からなくなってしまった「勅語下賜」の石碑。
しかし、季節になればいまなお葉を生い茂らせるクスノキの大木――。
日本の「戦前・戦中・戦後」の断片が、
通りすがる人々のほとんどに気付かれないまま、
しかし歴然と、ここに残っています。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/1e/f7/819e25ba3fcd13cb970814444b0d6f9e.jpg)
![](https://blogimg.goo.ne.jp/img_emoji/hikari_blue.gif)
--------------------------------------------------------------------------