重低音のBlue Canary

♪ 思いつくままを、つたない文と photo で …

懺悔。

2007-10-19 | つれずれ
毎朝、出勤前に名古屋市北区「名城公園」でカメラ片手に散歩しています。

そんな先日のある朝、
ひと回りしたあと、ベンチに座り、紫煙をくゆらせながら一服していると、
少し先に、見慣れない子ネコが一匹、
地面に転がった何かと戯れているのが見えました。

(何だろう?)と思って立ち上がり、歩いてゆくと、
子ネコが遊んでいたのは松ぼっくりでした。

(親は、どこに居るのかなあ。もしかすると、また捨てネコ?)などと思いながら、
その場に屈み込んで、シャッターを押すこと数枚。


ふと気がついて腕時計を見ると
8時25分過ぎを示していました。

(おっと。もうこんな時刻か。そろそろ行かなくちゃ)
立ち上がり、まだ遊んでいる子ネコに「バイバイ。またな」と声を掛け、
車を止めた場所に向かって十数メートル、歩いた時です。


「ちょっと」
と、背後から声を掛けられました。


振り向くと、
自転車に乗った、どうやら「公園の住人」さんのようです。


名城公園の「住人」さんとはもう何人も挨拶を交わす間柄になっていますが、
40代らしいその彼は、初めて見る顔でした。

そんな彼に突然声を掛けられ、
「??」という面持ちで見返した私に
彼は右手を私の胸の前に突き出すと、こう言いました。
「これ、忘れ物」

見ると、
彼はその右手に、
タバコの吸い殻を摘んでいました。

「おたくのタバコの吸い殻。さっき、捨てたでしょ」


ガーン!と、いきなり顔面を殴られたようなショックを受けました。

間違いなく、
私がさっきベンチで吸っていたタバコの吸い殻です。


ただ、
弁解すると、
「捨てた」のではありません。
取りに戻るのを「忘れた」のです。


昨今のご時勢ですから、
私も「携帯灰皿」をカメラバックにぶら下げて、持ち歩いています。



公園の中で、ポイ捨てはしません。


それがさっきは、
何かにじゃれて遊んでいる子ネコが気になり、どこかへ行ってしまう前に写真を撮っておきたくて、
でも、
火をつけたばかりのタバコをそのまま捨ててしまうのがもったいなくて、
あとで取りに戻るつもりで、
ベンチの基礎コンクリートで火を消したタバコをそこに置いて、立ったのです。

そのタバコのことを、
「忘れて」いました。


でも、
結果的としてそれを「さっき、捨てたでしょ」と彼に言われ、
「いいえ」と否定する資格もつもりも、
私にはありません。

「あっ。……はい。すみませんでした」
そう答えて、
私は吸い殻を彼から受け取りました。


それ以上何も言わずに自転車で去って行った「住人」さんの後姿を、
私は、恥ずかしさで顔が赤くなっている自分に気付きながら、
しばらく見送っていました。



今朝――、



誰かが捨てていったのでしょう、
まだ紫煙をたなびかせている吸い殻を、園内で見つけてしまいました。


ご同輩、
お互いに「忘れない」ように気をつけましょうね。


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