重低音のBlue Canary

♪ 思いつくままを、つたない文と photo で …

私を引き返させたもの。

2007-09-30 | つれずれ
結局、今月は3週末連続で静岡方面へ出掛けることになってしまいました。
さすがに、少し疲れました。


でも、
そんな疲れを忘れさせ、癒してくれるのが、
金色塗装の愛車「マツケン・サンバ」号を走らせながら見る、初めての町での風景や光景だったりします。


ただし、
緩やかとは言えスケジュールを立てて動いているため、
道すがら何かを発見しても、チラリと見たまま行き過ぎることのほうが多いのですが、

今回は、
いったん通り過ぎたものの、やはりどうしても気になって、
1kmほど走ってから引き返し、カメラに収めたものがありました。

これです。



行程の途中、奥浜名湖の山間(やまあい)の県道沿いに、
この建物は建っていました。



外観から察すれば、やはり廃屋なのでしょうね。
ただ、元は住居だったのか、納屋だったのか、それともそれ以外の用途の建物だったのかは、分かりません。

いずれにせよ、
いったん通り過ぎた後、バックミラーの中に見たこの建物から、
「おい、このまま行っちゃうのかよ」と話し掛けられたような気がして、
しばらく逡巡した結果、ブレーキを踏み、Uターンしたのです。

当然ですが、この建物は、
私が戻って来るのを待っていました。

こんなふうに――。










昔の建築物が、
基本的に「木」と「土」と「竹」で出来ていることがよく分かる廃屋でした。

たぶんだからこそ、
剥がれ落ち、
朽ちかけてもなお、

行き過ぎようとする人の足を引き留める「温もり」を残しているのでしょうね。


コンクリートと鉄筋・鉄骨で形作られた無機質な現代建築は、
果たして将来、その役割を終えた時、
こんなふうに、
行き過ぎようとした人の心を、
引き止めることができるのでしょうか。




奥浜名の山間では、
彼岸花がまだ
そこかしこで鮮やかな緋色を見せていました。


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