火星が出てゐる。
要するにどうすればいいか、といふ問は、
折角たどった思索の道を初にかへす。
要するにどうでもいいのか。
否、否、無限大に否。
待つがいい、さうして第一の力を以て、
そんな問に急ぐお前の弱さを滅ぼすがいい。
予約された結果を思ふのは卑しい。
正しい原因に生きる事、
それのみが浄い。(途中略)
火星が出てゐる。
天が後ろに回転する。
無数の遠い世界が登って来る。
おれは昔の詩人 . . . 本文を読む
林の中で、縛られていない鹿が食物を求めて欲するところに赴くように、
聡明な人は独立自由をめざして、犀の角のようにただ独り歩め。
妻子も、父母も、財宝も穀物も、親族やそのほかあらゆる欲望までも、
すべて捨てて、犀の角のようにただ独り歩め。
寒さと暑さと、飢えと渇えと、風と太陽の熱と、アブと蛇と、これら
すべてのものに打ち勝って、犀の角のようにただ独り歩め。
葉の落ちたパーリチャッタ樹のように、 . . . 本文を読む
ふらんすへ行きたしと思へども
ふらんすはあまりに遠し
せめては新しき背広をきて
きままなる旅にいでてみん。
汽車が山道をゆくとき
みづいろの窓によりかかりて
われひとりうれしきことをおもはむ
五月の朝のしののめ
うら若草のもえいづる心まかせに。
作 萩原朔太郎
新潮文庫・現代名詩選(中)1980
去年、私が「みづいろの窓」をブログのタイトルにしようかと思い、
検索したら、大勢の人がこれを使 . . . 本文を読む
作詞:阪田寛夫(1925-2005) 作曲:大中 恩
1959(S34)「歌のおばさん」で初放送
この童謡は、あまりにも有名だ。人は想像する、東京の辺に住む男の子が、近所の2~3歳の女の子を歌ったものだと。ところが、事実は全然違っていた。
不明にして知らずにいたが、氏は大阪市生まれ、東大卒で、芥川賞を受賞し、「おお宝塚!(注)」「わが小林一三」の著書がある。小学生のころからの熱心な宝塚フ . . . 本文を読む