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映画「スパイの妻」

2020 日本 115分 監督 黒沢清  脚本 濱口竜介・野原位・黒沢清出演 蒼井優 高橋一生 鑑賞 12月28日港南台シネサロンにてはじめに不満を。この題名から、わたしは、戦時中の孤立と迫害に耐えた自由主義者の強い信念、夫婦の愛と信頼の物語を期待した。ちょうど黒沢明の「わが青春に悔いなし」のような。が、その期待は裏切られ、むしろアメリカ映画によくある、夫婦がだましだまされ、出し抜き出し抜かれ、そ . . . 本文を読む
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金色の眼の娘

1974(初出1834)東京創元社 バルザック全集 第7巻 古田幸男訳映画「金色の眼の女」を見たあとで、原作を読んだ。バルザックという、大きなお腹の作家は、現世的な快楽ーお金や名声や女性に対する欲望が人一倍強く、日本人の考える文学者のイメージからは遠く、私としては縁が遠かったが、たまには、読まなくてはと。 ある青年の、愛の物語である。「金色の眼の女」と巷で呼ばれる神秘的な娘と交渉を持った一人の青年 . . . 本文を読む
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「麦死なず」

 石坂洋次郎著 筑摩書房 現代日本文学大系50 1971(初出1936)これは私小説である。「若い人」の妖艶な江波恵子と理知的な橋本先生、この対照的な2人が、実は身近にいたひとりの女性ー作家の妻から生まれたということがわかる。映画で作られた明るく近代的なイメージとは程遠い、東北の小さな町の、泥臭い日常から、あのフィクションが生まれたことに驚くのだ。昭和初期の、戦争には少し間のある時代、そういう地方 . . . 本文を読む
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「アリアーヌの青春」

クロード・アネ著 宇佐見英治訳東京創元社 1957年刊(初出1920年)映画「昼下りの情事」は年上の男を翻弄する娘の物語だが、いつ見てもどこか不自然で現実性に欠けた設定のように感じる。たまたま先月11日にBSプレミアムでやっていたので、この際だからと原作を読んでみることにした。原題は「ロシアの娘アリアーヌ」、舞台は帝政末期のロシアである。つまりパリではなく、ロシアというところに意味がある。「文明の . . . 本文を読む
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