歌会たかまがはら

毎回お題に沿った短歌を募集してゲストの方とおしゃべりする短歌の番組です。
YouTubeで配信しています。

歌会たかまがはら10月号採用歌

2015年11月03日 | 歌会採用短歌
10月25日に行いました歌会たかまがはら10月号に短歌をご投稿いただいた皆様、また歌会の配信をご視聴いただいた皆様、ありがとうございました。

ここでは、当日採用した短歌、当日発表できなかったけど気になった短歌、出演者の短歌をご紹介いたします。

なお、短歌の感想等は省かせていただきます。ご了承ください。


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お題「飛」
ゲスト:田丸まひるさん
司会:天野うずめ

<当日発表した歌(順不同)>
◎田丸まひるさん選
・皆同じ顔して嗤う教室で魂だけが飛び降り続ける(東京 深影コトハさん)

・飛ぶからだ飛ばないからだ銀杏の匂いが夜を傾けている(愛知県 辻聡之さん)

・空港で買った四角い海は飛ぶきみのポストを夏にするため(千原こはぎさん)

・真夜中の花屋の奥の濃密な空気を飛行船へとつめる(ごちうさ難民(救済済み)さん)

・唐揚げの横で小さくなつてゐる不発弾から果汁を飛ばす(京都府 門脇篤史さん)

・六年で電波が飛んでいる街の電波をくぐるわざが身につく(埼玉県 荻森美帆さん)

・きみたちは楽しく電波を飛ばし合いわたしはスマートフォンのだんまり(埼玉県 荻森美帆さん)
→天野うずめも選

・水玉のきみに逢へない八月は二段飛ばしにする歩道橋(新潟県 有村桔梗さん)


◎天野うずめ選
・湾岸に重機まばゆく輝いて名港飛島眠りに落ちず(奈良県奈良市 村田馨さん)

・労災がおりず途方に暮れている右足のない飛び出し坊や(滋賀県 西村曜さん)
→田丸まひるさんも選

・羽生くんファンなのと言う母親の手のひらひらひらテーブルを舞う(新潟県 七波さん)

・飛行船にSplatoonで絵を描いて君にプロポーズをするつもり(愛媛県 小春まりかさん)

・音楽に合わせてみんな飛んでいる僕も飛ぶべきかみんな飛んでいる(大阪府 エースさん)

<当日発表できなかったけど気になった歌>
◎田丸まひるさん選
・ジオラマの一部になりに空港のガラスの外の飛行機に乗る(兵庫県 吉川みほさん)

・イーゼルは鳥のかたちにたたまれて飛ぶとは空を切り裂くことか(大阪府 虫武一俊さん)
→天野うずめも選

・啄木に倣わなくてもふるさとは飛び込んでくる在来線で(福岡県 麦野結香さん)

・ピアスホールを吹きぬけていく声ばかり飛び交う夜のはざまで月は(大阪府 羽島かよ子さん)

・鰯雲のタラップ駆け上がってゆく この歳でまだ夢があります(滋賀県 西村湯呑さん)

・千人に指さされてもゆっくりと進む飛行船のまなざし(神奈川県 苗くろさん)

・ずっと見ていられるものはなんだろう秋空を遠ざかるひこうき(京都府 土岐友浩さん)
→天野うずめも選

・季節などもういいのです絶海の夜をさまよう蝶になりたい(東京都 風野瑞人さん)

・人に話しかける時きみ水面を飛び出してきた飛魚のような不気味なかおしているね(北海道 小田島了さん)

・午後四時の水飲み場から飛び出したとにかくきみは金色だった(大阪府 泳二さん)

・父さんはたんぼぽみたいに飛ばされて静岡県で今いいかんじ(兵庫県 飯田和馬さん)
→天野うずめも選

・紙飛行機をつくるつもりで間違へてできてしまつた流星でせう(新潟県 有村桔梗さん)

・島と書くべきところに鳥と書きそのまま飛んで行ってしまった(きつねさん)


◎天野うずめ選
・赤いカバンに飛車のキーホルダーの少女がお母さんをお探しです(東京都 山西木々さん)

・飛びきりの笑顔で僕を待っているそんな娘のパパでよかった(奈良県奈良市 村田馨さん)

・夢想花「飛んで飛んで」と生き延びる円広志は還暦を過ぎ(奈良県奈良市 村田馨さん)

・ぬくもりは飛び立ちもせず掌(てのひら)に病名ひとつ増える夕刻(福岡県 麦野結香さん)

・真っ直ぐなゆびの指したる王手飛車 逃げるなと云い 負けぬぞと云い(大阪府 三畑幾良さん)

・秘密だが羽生(はぶ)名人の寝ぐせには飛車二枚分の強さあるなり(北海道 松木 秀さん)

・悟ったりするのはちがうと思ってる アンパンチに吹き飛ばされながら(滋賀県 西村湯呑さん)

・白百合を持つて行かうか。きみの云ふモハベ砂漠の飛行機の墓(滋賀県 西村曜さん)

・店じまいするスーパーの広告の紙飛行機のこれがよく飛ぶ(滋賀県 西村曜さん)

・空港へ向かう電車でアパートの鍵を何度も確かめる指(神奈川県 苗くろさん)

・一度だけ家出してみた夕暮れの公園に舞うコウモリの群れ(神奈川県 苗くろさん)

・(ナースコール)上下ボタンを押しすぎて酔って飛べない魔法のベッド(山形県 ナイス害さん)

・空を飛ぶ絨毯ならばいいのにね紫のヨガマットに座る(秋田県 冨樫由美子さん)

・会いたいと言えたら少し軽くなる飛び立つ羽が生まれる背骨(千原こはぎさん)

・ヒマワリはまた飛び出せる夏を待ち絵本の中の押し花でいる(神奈川県 須磨蛍さん)

・虫たちのパーティえがく絵本ではインフラとして飛び交う蛍(ごちうさ難民(救済済み)さん)

・少年の海原へ飛ぶ幾千の花影として肉片として(岐阜県 太田宣子さん)

・てふてふのやうに飛び交ふおはやうのつづきをつかみそこねて、そして(岐阜県 太田宣子さん)

・風船を飛ばせばぼくはどこまでもどこまでも青空の中にいる(香川県 大木はちさん)

・小魚の骨そっくりな飛行機は東の方へ消えていきたり(香川県 大木はちさん)

・三日月を横切るように真夜中の国際便は飛ぶ南へと(香川県 大木はちさん)

・燕たちはあまりに低く飛んでいく聞いてなかった雨降りなんて(香川県 大木はちさん)

・「秋空より高く上がった、ホームラン!」と絶叫するドームのアナよ(北海道 伊藤 雅さん)

・久しぶりに実家へ。貯まった洗い物。鈍い羽音でゴキブリが飛ぶ(兵庫県 飯田和馬さん)

・くしゃみして遠く広くに唾が飛ぶ僕の遺伝子情報乗せた(兵庫県 飯田和馬さん)

・飛行場わきの空き地で摘んできた白爪草は消えた あなたも(福島県 安野文麿さん)

・夜明けまで、海まで、もつと深くまで とほい街では雪虫がとぶ(新潟県 有村桔梗さん)

・肉体がなければ飛んでいけるけど貴方に触れることができない(京都府 麻倉ゆえさん)

・音楽をダウンロードで賄っている人たちが知らない音飛び(埼玉県 えんどうけいこさん)


<出演者の短歌>
◎田丸まひるさん詠歌
・バスタブはそういうことをする場所じゃない 夜を飛ぶ鳥を見ていた

◎天野うずめ詠歌
・束の間に余韻はありしゆっくりと飛騨の山にも雪は降り来る


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<反省会>
歌会たかまがはら10月号に短歌をご投稿いただいた皆様、配信をご視聴いただいた皆様、ありがとうございました。
今回もたくさんのご投稿歌をご紹介することができ、嬉しく思います。
歌会たかまがはらはご投稿される方のお歌なくして成り立ちません。
ですから、たくさんのお歌をご紹介できると皆様へ感謝の気持ちが湧いてきます。
今後もたくさんのお歌をたくさんの方にご紹介していきたいと思います。
これからも歌会たかまがはらをよろしくお願いいたします。
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次回の歌会たかまがはらですが、現在調整中です。

決まり次第、こちらのHP&Twitterで告知いたします。

「歌会たかまがはら」ブログ:http://blog.goo.ne.jp/utakai_takamagahara
「歌会たかまがはら」twitterアカウント:@utamagahara

今後とも、歌会たかまがはらをよろしくお願いします。
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