(写真は奈良の柳沢神社)
記録のみ
2010年度 151冊目 『ぼんやりの時間』
辰濃和男 著
岩波書店
岩波新書 新赤版 1238
2010年3月19日
218ページ 本体 720円 + 税5%
『ぼんやりの時間』を読了。
今朝から木々高太郎の『木々高太郎傑作探偵小説選』を読みはじめた。
今回『木々高太郎傑作探偵小説選』では「風水渙」全8話完全版(うれしいな)
そのうち 1から3を、ようやく読めた。
1と3は細部まで覚えていた。読みやすいはずなのに、それでも軽く二時間程度を要してしまった。
まだ 『木々高太郎傑作探偵小説選』全体の1/8くらい(苦笑)
気分転換にと読んだのが『ぼんやりの時間』という訳。
著者 辰濃和男さんはこれまでにも
『四国遍路』岩波新書
『文章のみがき方』岩波新書
を読んだことがある。
今回も気楽に楽しませていただいた。
深沢七郎引用部分
「日頃ねてくらせ」→「輝く瞬間を作れ」
は、わたしも日頃思っていることだと満足した。
わたしも常々 楽しい時間をつなぎあわせて行きたいと願い、時をすごしている。
ぼんやりと過ごす時間は、貴い!
「ぼんやり」という言葉、国語辞典ではどう定義されているでしょうか。この本の著者、辰濃和男さんが5冊ほど調べてみたところ、こんな具合だったそうです。「気がきかないさま」「利発でないさま」「どこか元気がなく、気持ちが集中しない様子」「間が抜けているさま」「呆然としていたり、うかつであったりする状態」。
評判が芳しくない言葉であるのは十分理解していた著者ですが、それにしても、こんなに否定的な意味での説明ばかり、というのは予想外だったそうです。
もちろん、信号が黄色になってものんびり横断歩道を歩いていれば危険だし、入社試験の面接でぼおーっとしたりしていては、合格は難しい。けれども、そんなことは百も承知の上で、にもかかわらず、と著者は考えるのです。目標に向かってひたすら走る人間が、その生気や活力をよみがえらせ、みずみずしい感性を取り戻す上で、時折ぼんやりすることは欠かせないのではないか、否、それは貴重なひとときというべきではないか、と。
そんな思いを出発点に、本書では「ぼんやりの達人」ともいうべき多彩な人々の文章が引かれ、散歩や温泉、あるいは森の中、闇の中などさまざまな場面に即して、実り多い「ぼんやりの時間」のための知恵が語られるのです。
時間に追われるようにして働く人、そして人間関係の緊張に疲れた人など、現代に生きる多くの人は、本書の読後に、きっと人生観が多少とも変わっているのを発見するに違いありません。
目次
一「ぼんやり」礼賛―常識に逆らった人びと
1 「ぼんやり」という貴い時間
2 「いそがなくてもいいんだよ」
3 散歩の醍醐味
4 放浪―マムシと眠る
5 夢想にふけって
6 ぼおーっとして生きる
7 自然にとけこむ
8 気分を変えるために
二ぼんやりと過ごすために―その時間と空間
1 「むだな時間」はむだか
2 心安らぐ居場所で
3 静寂のなかでこそ
4 温泉の効能
三「ぼんやり」と響き合う一文字
1 「闇」―蛍と星とダークマター
2 「独」―独りでいること
3 「閑」―逆茂木に囲まれて
4 「怠」―「1日4時間労働」の夢
5 「懶」―心の余白
あとがき
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