『疱瘡心得草』15 14丁裏 15丁表 志水軒朱蘭 述
『疱瘡心得草』 志水軒朱蘭 述
一冊
出版 蓍屋善助
寛政10 [1798]
国立国会図書館デジタルコレクション
請求番号 852-26
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『疱瘡心得草』
国立国会図書館所蔵
14丁裏
躰(たい)の虚性(きよせう)によるなり、たゞ気血(きけつ)を補(おぎの)ふを本(もと)とす、
医家(いか)より毒(どく)消しの薬(くすり)を用ひ過(すご)すべからず、頭面(かしらかほ)ハ早
くかせ足(あし)さるハ総(すべ)ておそきもの也、さすれバ痘(いも)多(おゝ)く
出(いで)たるものハ、出(で)そろひゟ柔成(やわらかなる)布(ぬの)の帷子(かたびら)を合(あわせ)よし
て、着(き)せむべし、其上(そのうへ)に絹(きぬ)の衣類(いるい)を重(かさ)ねあたふべし、
いか程(ほど)重(おも)き疱瘡(ほうさう)にても、十五日を過(すぐ)れば、痘(いも)の
毒(どく)に死(し)するものなし、故(ゆへ)に、十五日にして、神(かみ)を送(おく)るべし、
さら湯(ゆ)ハ軽(かろ)しといへども、十五日を待(まつ)べし、かせ口(くち)にして
ハひへぬ限に、時気(じき)を防(ふせ)ぐ事、専要(せんよう)なり、
笹湯(さゝゆ)の心得の事
気血(きけつ)
「気」とは大気、天気のように自然界における気という概念から出た言葉で、形がなくて目には見えないものとして、体内におけるエネルギーと捉えられています。 一方、「血」は反対に目に見えるものを指しており、血液のみならず体液を総称したものと捉えられています。
国立国会図書館所蔵
(14丁裏 笹湯(さゝゆ)の心得の事)
15丁表
四五日前(まへ)ゟ米(こめ)のかし水を取置(とり置き)て、能(よく)ねさせ置(おき)、その
うわずみを湯(ゆ)に焚(たく)べし、湯(ゆ)に入るゝ事、重(おも)き痘(いも)は
日数(ひかず)にかゝわるべからず、湯の内へ手拭(てぬぐひ)をひたし、得(とく)と絞(しぼり ママ)
りてかせやる痘(いも)の跡(あと)をしか/″\と押(おさ)へ、湯の気(き)をあつ
れば、かせの熱(ねつ)、こゝろ能(よく)おさまる也、必(かなら)ずぬらしあらふべ
からず、かほハ目の上下(うへした)をよけ、眼(め)の中へ湯の気(け)入ば
眼中(がんちう)をそこのふ事有、手足(てあし)惣身(そうしん)まんべんに湯を引(ひく)
べし、背(せ)ハ軽(かろ)くすべし、湯をかけ終(おわ)れば風(かぜ)に当(あ)つべ
からず、夫(それ)より 又 両三日隔(へだて)て二番(ばん)湯を浴(あぶ)せしむべし
三番(ばん)湯をすまして、常(つね)の湯に入るべし
絞(しぼり)りて
「り」の重複あり
湯をかけ終(おわ)れば風(かぜ)に当(あ)つべからず、
湯をかけ終わったら、風に当てる(当たる)べからず、
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