urt's nest

ミステリとかロックとかお笑いとかサッカーのこと。

DVD『FIFAワールドカップ1974 オランダvsブラジル』

2006年03月03日 | soccer
名古屋で僕のサッカー談義に最も付き合っていただいた、美容師Tさんに貸していただきました。色々とありがとうございました。

てことで、1974年西ドイツ大会、二次リーグ最終節。
「トータル・フットボール」…稀代の名将ミケルスの「戦術」と、鳥人ヨハン・クライフの「天才」が、オランダという新興国の名を世界に知らしめた試合です。

オランダ、笑ってしまいます。ボール際に五、六人同時に行ったり、各人のポジションも異常なまでに流動的。クライフやルート・クロル(そういや俺サカつくでリベロやらせてた)の神出鬼没ぶりは、感心というより笑いを提供してくれます。しかし長身痩躯の選手が並んだオランダからは、あまり運動量の多さといったものを感じ取ることはできません。ミケルスの戦術指導と、各人の戦術理解、状況判断が傑出していた、ということなのでしょうか。リベリーノを中心として、ブラジルのずんぐりむっくりしたアフロたちもアイデアと技巧のある攻撃を度々見せますが、チームとしてはいかにも好対照でしたね。
この試合はオランダが2-0で勝つのですが、そのゴールは二本とも、サッカー史に残るだろうビューティフルゴール。ジャッジングの拙さもあって荒れた試合になってしまっているのですが(中国代表かと見紛うばかりのオランダ。あ、そういやアリー・ハーンって…)、それでもDVDコレクションを編むにあたってこの試合が選ばれているのは、そのゴールの素晴らしさゆえでもあるのでしょうね。
まずは後半4分、敵陣ほぼ中央からニースケンスが右サイドのクライフにパス。ニースケンスはそのままゴールに走り、クライフはサイドで持ってクロス、ニアに走ったニースケンスはDFの目の前でかっさらうようにスライディングですくいあげ、GKレオンの頭上を抜くループシュート→ゴール。二人だけでブラジルのディフェンスをこじ開けてしまったのでした。そして二点目は19分、左のレンセンブリンクのクロスを、走りこんだクライフがジャンピング・ダイレクト・ボレー→ゴール。「フライング・ダッチマン」て恥ずかしいから、もっとマシなニックネーム付けてやれよ、と思っていたのですが、このアクロバット見せられたら分からんでもないですね。
オランダの特徴的なサッカーと、美しいゴールを堪能できた試合でした。バックパスで手使ってたり、パツパツの短パンなどの時代性も面白かったです。レオンは反応良いけど下手だった。
上手いと思った選手はオランダの③ファン・ハネヘム。やや消える時間帯もありましたが、「レフティ・モンスター」の名の通り、左足からのパスは萌えました。あとクライフについてさらに書くと、アウトを多用する独特のパスセンスが、イメージになかったので新鮮でした。ドリブルの間合いも独特ですね。リベリーノなんかと比べて「上手い」って感じじゃないけど、取られない。キャプテンシーも非常に感じ取ることができるふてぶてしさでした。そしてなぜか、一人だけラインが二本(笑)。それが許される選手がフィールド上の監督として存在したことが、この旋風を産んだことは確かでしょう。

《腕を広げ、人差し指は常に最良の方法を指す。(中略)彼はチームの頭脳であり、爆弾でもある》

とは、翌日、ブラジルの新聞がクライフを評した言葉だそうです。

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