urt's nest

ミステリとかロックとかお笑いとかサッカーのこと。

映画『バーバー吉野』

2005年05月31日 | movie
気になっていた映画。

簡単にストーリー紹介。舞台は山裾(?)の田舎町。ここに住む少年たちは皆、同じ髪型をしている。端的に言えば坊ちゃん刈り、あるいはマッシュルームカットのような、作中の台詞によれば「子供らしい」髪型。これを一手に引き受けるのが町唯一の床屋「バーバー吉野」の「おばさん」(もたいまさこ)。ある日東京から「カッコイイ」転入生がやってくる。ゆるいパーマと茶髪。少年たちは彼に影響を受け、珍奇な髪型を強いる町と「おばさん」に対してクーデターを企てる…。

「主演:もたいまさこ」のクレジットにはなんだか知らないけれど笑ってしまった。
それは置いておいて。
僕はこの映画を勘違いしていた。もっとポップなコメディだと思っていた。「おばさん」は底知れない人物で、得体の知れない信念のもとに珍妙な髪型を強いているのだと思っていた。物語は子供たちと「おばさん」をめぐって進行し、その髪型のシュールさもあいまっての、どこか不条理なポップ・コメディとなっているのだと。
しかし違った。その髪型は学校や地域共同体が固執する、田舎町の保守性の象徴であり、おばさんは口やかましいただのおばさんで、保守的な町の人々のなかに埋没してしまう。この単純な構図が「鈍い」気がするのだ。演出に関しても、監督にポップへの志向はなく、どこか文芸映画的な切れ味の鈍さが付きまとっている。子供たちの友情関係の描写などは、なかなか微笑ましく描けてはいたけれども。
これはこれでいいのかもしれない。だが、「おばさん」のキャラ付けだけはもったいなさ過ぎる。「自分なら」などと言うのは不遜に過ぎるだろうが、僕が監督ならもたいまさこには一言も喋らせない。

ぶっちゃけ、ちょっと期待はずれだった。

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