資金管理団体の政治資金収支報告書(2005年分)に支出総額を5000万円以上と記載した国会議員のうち、事務所費など領収書不要の「経常経費」が支出総額の半分を超す議員が27人に上ることが、読売新聞の調べで分かった。
多額の支出の半分以上が検証できない状態で、「政治資金の収支状況を明らかにし、判断は国民に委ねる」とした政治資金規正法の理念から、かけ離れた実態が浮き彫りになった。「政治とカネ」の問題は、25日召集の通常国会でも大きな焦点だけに、論議を呼びそうだ。
読売新聞では、06年3月末時点の衆参両院議員721人のうち、国か都道府県選挙管理委員会に資金管理団体の届け出があり、05年分の収支報告書を提出した650人について調査。支出総額が低いと、家賃など必要経費を含む経常経費の比率も高くなりやすいことなどから、支出総額が議員平均を大きく上回る5000万円以上の議員を対象とした。
支出総額5000万円以上は81人で、うち経常経費が5割を超えたのは衆院24人、参院3人。自民党22人、民主党3人、国民新党、無所属各1人だった。松本純、葉梨康弘、与謝野馨、江藤拓の各衆院議員は、経常経費率が7割以上に達した。
6068万円の支出全額が経常経費だった松本氏の事務所は、「複数の政治団体のうち、事務所費や人件費などは資金管理団体、政治活動費は別の団体で処理している」と説明。9割を超えた葉梨氏の事務所は「法に基づいて適正に処理している」と話した。また、与謝野氏の事務所は「東京選出で、事務所費や人件費が地方よりかさむ」、江藤氏の事務所も「六つある事務所の経費」としている。
収支報告書の支出では、政治活動費は5万円以上の支出先の公表義務があり、領収書の添付が必要だが、経常経費は総額だけで領収書の添付も必要ない。
明大法科大学院の吉田善明教授は、「収支報告書は費目があいまいで資金の流れを把握できない。今回の経常経費の処理も法的な問題はないかもしれないが、国民の知る権利には応えていない。政治家に政治資金は公金という意識が薄いのが問題で、第三者機関がチェックする仕組みを考えるべきだ」と話している。
(2007年1月26日3時4分 読売新聞)