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グルジア・ロシア戦闘の背景-民族紛争と米ロ対立-

2008-08-14 09:07:21 | 国際政治
グルジア・ロシア戦闘の背景
民族紛争と米ロ対立

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 グルジアの南オセチア自治州(人口七万人)をめぐるグルジアとロシアの本格的戦闘で死者はすでに三千人近くまでのぼり、紛争を逃れた難民も三万人を超えました。戦闘の背景を探りました。(片岡正明)



 グルジアを含め、黒海とカスピ海にはさまれたこの地域はカフカスと呼ばれ、昔から多くの民族が行き来した交差路でした。

 民族間の戦争もたびたび起こりましたが、帝政ロシアが征服し、その支配をソ連が引き継ぎました。アゼルバイジャンとアルメニアのナゴルノカラバフ紛争、チェチェン紛争など民族対立の矛盾は一九九〇年代初めのソ連崩壊を前後して一気に噴き出したのです。その一つが南オセチアとグルジアとの紛争でした。

言語押し付け
 グルジアが南オセチアに対し、公共言語をグルジア語だけにする政策を押しつけようとしたことに端を発し、反発する南オセチア自治州に対しグルジア側は同自治州廃止を決定。南オセチア側は同じペルシャ系のオセット人が住むロシア・北オセチア共和国(人口五十三万人)との国家統合を求め、武装闘争に発展しました。

 この紛争は九二年にロシア、グルジア両国と南オセチア、北オセチアの四者協議で停戦協定が結ばれ一応収束。このときにグルジア、ロシア、南オセチアの三者がそれぞれ平和維持部隊をつくることも合意、五百人ずつの部隊を駐留させました。

 ロシアはその後、南オセチアをアブハジア自治共和国とともに事実上の独立地域として支援し、影響力を強めてきました。

 一時は「眠る紛争地域」といわれて小康を保っていましたが、米国で教育を受けたサーカシビリ氏が二〇〇四年、グルジア大統領に就任して転機が訪れます。

均衡欠く反撃
 サーカシビリ大統領は親米路線をとり、米国の力を背景に国内統一と支配回復を狙い、分離独立をめざす地域の制圧を計画。〇四年にやはり分離独立の動きを見せていたアジャール自治共和国を屈服させ支配をとり戻し、〇六年にはアブハジアの一部で戦略上の要衝であるコドリ渓谷を武力で奪回しました。

 対外的には、米国の要請に応えてイラクに二千人の部隊を派遣。米国と軍事同盟を結ぶ北大西洋条約機構(NATO)に加盟の政策を明確にします。旧ソ連地域での影響力保持に腐心するロシアはこれに鋭く反発し、両国関係は険悪化の一途をたどりました。

 今回の事態は、散発的な銃撃事件が続く中、グルジア軍が七日夜、停戦ラインを超えて南オセチアに進攻し、本格的な戦闘が始まりました。これに対しロシア側はグルジアを爆撃し、進攻するなど、均衡を欠いた反撃をしていると非難されています。

停戦の道こそ
 グルジア側が停戦文書に署名した十一日以後も、ロシアはグルジアからの攻撃が続いているとして反撃、住民の間での被害も増大しました。

 十二日にはロシアのメドベージェフ大統領が軍事作戦の停止を発表しました。両国が実際に停戦を実現させ、話し合いによる解決を粘り強く追求することが求められます。

(出所:日本共産党HP  2008年8月13日(水)「しんぶん赤旗」)

南オセチア 戦闘激化
グルジア親米政権とロシア
自治州独立めぐり対立
解説

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 自治州独立をめぐり戦闘状態になっているグルジアでは、二〇〇三年の「バラの革命」と呼ばれる政権交代でサーカシビリ大統領による親米政権が誕生して以来、対ロ関係が悪化してきました。

 グルジア領の南オセチア自治州は、隣接するロシア領北オセチア共和国への編入を求め、独立を要求。それに対し、サーカシビリ氏は「ロシアは分離独立派を支援している」と非難し、米軍の軍事訓練を受けたグルジア軍が分離独立を主張している同自治州やアブハジア自治共和国と軍事衝突を繰り返していました。

 またグルジアは北大西洋条約機構(NATO)への加盟を目指し、この問題でもロシアと対立しています。グルジアで二月に行われた国民投票では72・5%の人々がNATO加盟に賛成。四月のNATO首脳会議はグルジアが将来、NATOに加盟することに支持を表明しました。しかしNATOの東方拡大に反対のロシアは、武力行使も含めた「すべての必要な手段をとる」と警告していました。

 ロシアは五月、独立国家共同体平和維持軍の増派部隊として、アブハジアに派兵。グルジア側は国際法違反だとして反発を強めていました。

 その後も南オセチア、アブハジアでは衝突が頻発していました。両分離独立派を支援するロシアが両自治州上空をたびたび警戒飛行。グルジアはこれを領空侵犯と非難し、グルジアの無人偵察機がロシア機に撃墜される事件も起きていました。

 (山崎伸治)

(出所:日本共産党HP 2008年8月10日(日)「しんぶん赤旗」)
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