宮崎談合ー宮崎前知事を逮捕ー

　宮崎県の官製談合事件で、競売入札妨害容疑で逮捕された前出納長、江藤隆容疑者（６３）がヤマト設計（東京都）に受注させる目標額として土木部幹部に示した「８０００万円」の総枠は、安藤忠恕（ただひろ）前知事（６５）が決めていたことが分かった。また、土木部次長の柴岡博明容疑者（５８）が、前知事から知事室に呼ばれ、談合について直接指示を受けたと供述した。安藤前知事逮捕へ向けて捜査している県警は、県幹部の供述が同容疑の裏付けになるとみて、さらに細部について詰めの捜査をしている。最高検や警察庁でも６日、最終協議が進められた模様だ。

　調べなどによると、江藤容疑者は０５年６月、安藤前知事からヤマト設計の県事業受注を増やすように指示された。その際、前知事から前年度の県発注設計事業の業者別受注額が上位の数億円から下位の数百万円まで幅があることを示され「平均の８０００万円くらいはいいんじゃない」と持ちかけられたという。

　安藤前知事はヤマト設計社長の二本木由文容疑者（５６）に「５０００万円から１億円の仕事がほしい」と再三依頼されていたとされる。県警は、金額が多すぎてヤマト設計がいきなり受注額ランキングの上位になっては不審感を招き、少なすぎては二本木容疑者側から不満が出ると予想されたことからこの金額を設定したとみている。

　また、土木部次長の柴岡容疑者が今年５月下旬ごろ、安藤前知事から知事室に呼ばれ、ヤマト設計のための受注調整に絡む直接の指示を受けていたことも、供述で分かった。

　当時は前知事と江藤容疑者の関係が悪化し、「天の声」の伝達役も環境森林部長の税所篤三郎（さいしょあつさぶろう）容疑者（５８）に移行した時期で、県警は「天の声」の伝達ルートの変更を柴岡容疑者に認識させる狙いもあったとみている。

　その際、柴岡容疑者は「分かりました」と答えたという。安藤前知事と柴岡容疑者が面会した具体的な日付が書かれたメモも土木部から押収されている。柴岡容疑者は承諾した理由について「断ったら部署にいられなくなると思った」と話しているという。【宮崎談合取材班】

(出所：毎日新聞ホームページ　2006年12月7日　3時00分)

　宮崎県の官製談合事件で、宮崎県警捜査２課は８日、県発注事業をめぐる一連の談合を主導した疑いが強まったとして、談合容疑で前知事安藤忠恕容疑者（６５）を逮捕、県庁知事室や知事公舎などを家宅捜索した。福島、和歌山両県に続き、県政トップの刑事事件に発展した。
　
　安藤容疑者は県議会などで「談合は知らない」と潔白を主張していた。
　
　捜査２課は、既に逮捕した県幹部の供述や家宅捜索の証拠品、県庁での検分などから、談合が安藤容疑者の指示から始まったのは明らかで、部下らとの談合の共謀は裏付けられたと判断。逮捕状を用意し８日午後、知事公舎から任意同行を求めた。
　
　同課が立件した２つの談合は、昨年９月に宮崎県で大きな被害を出した台風１４号の災害復旧に伴う橋の設計事業が舞台になっていた。
　
　安藤容疑者は前出納長江藤隆容疑者（６３）や環境森林部長税所篤三郎容疑者（５８）らと共謀。県が昨年１１月とことし７月に発注した２つの設計事業を東京の設計会社「ヤマト設計」に落札させるよう談合をした疑いが持たれている。事業はいずれも同社が落札。契約金額は計約２１００万円だった。
　
　２００３年の知事選で、ヤマト設計社長の二本木由文容疑者（５６）は安藤容疑者を支援。知事後援会が元国会議員秘書石川鎮雄容疑者（６８）に５０００万円を提供した際は、二本木容疑者が現金の運び役だった。

　(出所：共同通信社ホームページ　2006年（平成18年）12月 9日)


　民主、宮崎知事選で独自候補擁立の方針

　民主党の鳩山由紀夫幹事長は４日、東京都内で記者団に対し、官製談合事件をめぐる安藤忠恕（ただひろ）・宮崎県知事（６５）の辞職に伴う知事選について、「小沢代表の指示」として、独自候補を擁立する意向を明らかにした。小沢氏は５月、知事選での与党推薦候補との「相乗り」を原則禁止しており、その方針を徹底する考えだ。

　鳩山氏は「官製談合を絶つことを地方レベルでも徹底してうみを出し尽くし、民主党の主張が正しいということを国民に理解して頂く環境をつくりたい」と述べた。

　しかし、同じように談合事件をめぐって知事が辞職した和歌山県では、知事選での独自候補の擁立を断念した。宮崎県選出の党所属の国会議員はゼロで、県議も３人しかおらず、党員・サポーターの数も少ない。鳩山氏は候補擁立のめどについて「時間がかかりそうだ」と話しており、難航も予想される。

(出所：朝日新聞ホームページ　2006年12月04日20時09分)