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日本ペンクラブ声明「首相官邸記者会見について」

2019年07月13日 16時44分01秒 | 歴史論・資料
日本ペンクラブ声明「首相官邸記者会見の質問制限と回答拒否問題について」


 いったい何を大人げないことをやっているのか。内閣官房長官と首相官邸報道室のことである。両者は昨年末、内閣記者会に対し、東京新聞記者の質問が「事実誤認」「問題行為」であるとして「問題意識の共有」を申し入れたのを手始めに、2か月が経った今も、同記者の質問に対し、「あなたに答える必要はない」と高飛車に応じている。

 官房長官の記者会見は、記者がさまざまな角度から政府の政策を問い質す場である。その背後に国民の「知る権利」があるのは言うまでもない。質問に誤解や誤まりがあれば、それを正し、説明を尽くすことが官房長官の仕事ではないか。「答える必要はない」とは、まるで有権者・納税者に対する問答無用の啖呵である。

 そもそもこの問題には最初から認識の混乱がある。官邸報道室長が内閣記者会に申し入れた文書(昨年12月28日付)には、会見はインターネットで配信されているため、「視聴者に事実誤認を拡散させかねない」とあった。

 ちょっと待って欲しい。政府は国会答弁や首相会見から各種広報や白書の発行まで、政策を広める膨大なルートを持っている。問題の官房長官記者会見も「政府インターネットテレビ」が放送している。仮に「誤った事実認識」が散見されたとしても、政府には修正する方法がいくらでもあるではないか。それを「拡散」などとムキになること自体、大人げないというべきである。

 私たちは今回の一連の出来事に対する政府側の対応を、半ば呆れながら見守ってきた。この硬直した姿勢は、特定秘密保護法、安保法制審議、、いわyるモリカケ問題から、最近の毎月勤労統計不正、、沖縄県民投票への対応までほぼ一貫し、政府の資質を疑わせるまでになっている。

 私たちが懸念するのは、これらに見られた異論や批判をはねつけ、はぐらかす姿勢が、ものごとをさまざまな角度から検討し、多様な見方を提示し、豊かな言葉や音楽や映像等で表現しようという意欲を社会全体から奪っているのではないかということである。これは一記者のあり方を越え、社会や文化の活力を左右する問題でもある。

 私たちは官房長官と官邸報道室が、先の申し入れを撤回し、国民の知る権利を背負った記者の質民に意を尽くした説明をするよう求めるとともに、報道各社の記者がジャーナリストとしての役割と矜持に基づき、ともに連携し、粘り強い活動を続けることを期待する。

    2019年3月1日

        一般社団法人日本ペンクラブ
   
                     会長 吉岡忍



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