草むしりしながら

読書・料理・野菜つくりなど日々の想いをしたためます

本能ですね

2024-02-08 10:49:07 | 猫自慢

本能ですね

 昨日は十時頃から図書館に行きしました。前日に降った雪が、まだあちこちに残っていました。 

 溶け始めた雪を踏むとギュウギュウと音がして、子どもに戻ったみたいで楽しくなりました。あちこちに残った雪を踏みしめながら歩いていると、歩道の上に猫がいました。

「やっと会えたね」

 私は猫に声をかけました。前にこの猫に会ったのは四年くらい前でした。

 地域猫にしてはきれいだし、飼い猫にしては外にいる。どちらとも判断はできないのですが、全体が長い毛に被われており尻尾なんかフサフサです。もうちょっと手入れをしてやったらゴージャスな猫になるだろうに。そこのところが地域猫か飼い猫なのか、判断に困るところです。

 そしてこの猫、私が以前飼っていたラッキーという名前の猫にそっくりなのです……。

 ラッキーは台風の日に道路に倒れていました。雨に打たれ、隣には既に冷たくなってしまった兄弟猫がいました。どうにも見捨てることができずに拾ってきたのです。

 その時は普通のキジ猫だと思っていたのですが、大きくなるにしたがって長毛になっていき、尻尾がフサフサになってきました。

 そのフサフサ尻尾を体にくるりと巻き付けて、座る姿がとても優雅でした。目ヤニや怪我で、何度か動物病院のお世話になりましたが、待合室では大人しく私の膝に抱かれているような子でした。

 あの時も動物病院の待合室はとても混んでいました。患者さんの話によれはウサギの診察に時間がかかっているとのことでした。ほとんどの飼い主さんは猫やら犬がじっとしていないので、外に連れ出していました。

 でも私はラッキーを抱いて待合室で待っていました。私にはラッキーがおとなしく待っていられるという自信があったのです。

 ただもう一組、自信満々の飼い主と犬がいました。立派なものです。椅子に座っている飼い主の横で伏せをしたままじっと順番を待っています。私は念のためラッキーの首輪をつかんでいましたが、その人はリードも何もつけていません。

「その猫ノルウェージャンフォレストキャットですか?」

「えっ、これですか?道端で死にかけているのを拾って来たんですよ。蚤がいっぱいついていたから、たぶんノラ猫ですよ」

 なんて会話していたら、ウサギが診察室から出てきました。まあ、なんて可愛いでしょう。フワフワで小さくて、ミンクのファーのようです。先生が時間かけて診るはずですね。

 一方ラッキーの方は待ちくたびれたのか、私の腕の中で寝ています。ワンちゃんの方はといいますと、同じ姿勢で待っています。立派ですね。でもなんとなくソワソワしています。おや口からよだれがいっぱい垂れてきました。

 それでも我慢しています。なんてお利口なビーグル犬なのでしょう。本能と戦っているのでしょうね。

 ラッキーはそれからしばらくして、台風の日にいなくなってしまいました。台風と一緒やってきて、翌年の台風と共に去って行きました。もっと捜してやればよかったとしばらくは後悔ばかりしていました。

 その後書いた小説(カテゴリー「ヨモちゃんと僕」)はラッキーへの私のわび状であります。

 さて四年ぶりに再会した猫ですが、私の気持ちが分かったのしょうか。しばらく歩道の上にいて優雅な長毛を見せてくれました。やがてフサフサの尻尾を立てて、道を横切って見えなくなってしまいした。

 今度会えるのは何年後でしょうか。元気でいてね。と後ろ姿に声をかけました。