草むしりしながら

読書・料理・野菜つくりなど日々の想いをしたためます

手紙

2018-10-06 12:23:55 | 草むしりの幼年時代
 カオルちゃん元気でね。私はあなたのことを絶対に忘れません。新しい学校に行っても、でもいじめっ子をやっつけてね。大人になって定年退職したら、昔住んでいたところに遊びに来てね。私はずっと今の家に住んでいます。

 勉強と駆けっこはクラスで一番、正義感が強くて飛び切り可愛いい。クラスの人気者だったカオルちゃんは、なぜだか私には優しくしてくれました。でも小学校二年生の時に転校してしました。

 カオルちゃんの居ない教室は火が消えたようで、みんな元気がありませんでした。そんな時、誰かがカオルちゃんの机の中から手紙を見つけました。手紙には○○ちゃんへと、私と同じの名前が書かれていました。

 けれど私は別の「○○ちゃん」のことだろうと思い、手紙を読みませんでした。私と同じ名前の子は他もいて、先生が「○○ちゃん」と優しく呼ぶのは決まってその子でした。今でもそのことが悔やまれてなりません。

 カオルちゃんへの手紙は左巻マイマイに託けようと思います。時計と逆回りの左巻ならば、時をさかのぼってカオルちゃんが転校する前の日に届けてくれそうです。ゆっくりでいいのです。五十年以上も前のことですから。