打越正行の研究室 UCHIKOSHI Masayuki's laboratory

このブログでは、広島と沖縄で暴走族・ヤンキーの若者を対象とした参与観察調査をしてきた打越正行の研究を紹介しています。

型枠解体屋の民族誌――建築現場における機械的連帯の意義

2011年03月09日 01時27分37秒 | 書いたもの(DL可能)

■打越正行,2011年3月9日,「型枠解体屋の民族誌――建築現場における機械的連帯の意義」『社会学批評』別冊: 21-44.

概要

 本稿の目的は,沖縄のある型枠解体屋で展開される分業をもとに,現代社会における機械的連帯の意義を考察することである.

 E. Durkheimは,未開社会から文明社会への社会の変化にともない,その連帯の形も機械的連帯から有機的連帯へ移ると指摘した.そしてネオリベラリズムも,それをより強力かつ急速に推し進めている.彼によると二つの連帯は逆比例的な関係にある.ただ逆比例的とは,どちらかが完全に解体するともう一方も同時に解体する関係でもある.これを現場における新参者の適応過程にみた.そこでは有機的連帯が,機械的連帯に支えられ,また機械的連帯を生み出していた.つまりネオリベラリズムは有機的連帯を介して機械的連帯を生み出し,またそれによって支えられていた.ただこの循環は,2つの条件によって成立つ.1つ,小規模集団の班で他の成員とコミュニケーションをとる休憩や移動の時間があること.2つ,新参者の身体を現場仕様に変えるために必要な研修期間を与えられるための地元の友人の紹介があること.それらによって,段取りの感覚や熟練の技術を習得し,有機型社会としての現場に労働力として配置される.このように型枠解体屋では時間や地元と現場を媒介する友人による紹介,つまり類似性による機械的連帯によって,特殊な能力の有無によらずとも,作業内分業の水準では有機的連帯が形成されていた.そのような条件下で,ネオリベラリズムは成立つ.

キーワード:機械的/有機的連帯,ネオリベラリズム,型枠解体屋

欧文概要

(作成中)

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