■打越正行,2018年7月1日,「夜から昼にうつる――ライフステージの移行にともなうつながりの分化と家族像」東海社会学会編『東海社会学会年報』10: 87-98.
概要
本稿は,2007年に暴走族の見物をするギャラリーとして活動していた非安定層にあたる女の子たちの,その後10年にわたる移行研究である.
当時,10代後半だった彼女たちは,キャバクラで働きながら,頻繁に深夜の公道で暴走族見物をしていた.夜の時間帯に働き,活動していた彼女たちは,現在,育児や仕事で昼の生活に移った.夜から昼にうつることは,単に仕事と生活の時間の変更ではなく,夜シゴトから昼の仕事への変化であり,生活や人間関係を組み替えることであった.また,定位家族から生殖家族へとうつることでもあった.この移行過程について考察することが本稿の目的である.
そしてこの移行において,彼女たちは主に2つの困難に直面した.1つ,さまざまな困難を緩和・無化してきた女子つながりが,ライフコースを移行するにあたり分化し,アクセス困難となっていたこと.2つ,そのような彼女たちは,出生家族からも少ない資本しか継承せずに,新しい家族を作り上げざるをえず,そこでは自身が抱く家族像に依拠しながら同棲の形を経て,家族をつくった.
彼女たちは,自身の描く家族像にもとづいて,使える資源を総動員し同棲の形を整え,家族をつくりあげた.このように彼女たちの文脈に沿い,一つひとつの行為の理解を積み上げていくことに社会学の課題がある.
キーワード:女の子,移行研究,家族
Transferring from Night Club Lady to Daytime Worker or Housewife: Differentiation of Girl’s Relationship in Transferring Life-stage and Family Image
UCHIKOSHI, Masayuki
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なお、付記にてお礼を述べさせてもらった松宮さんの名前を間違えていました。正しくは「松宮朝」です。大変申し訳ございませんでした。