訪問していただきありがとうございます。
ここは所属先の社会理論・動態研究所や所属していた都立大、研究者情報検索のRead&ResearchmapやFieldnetに掲載させてもらっている、私の論文や口頭発表のリストをまとめたブログ形式のホームページです。そちらも更新しますが、運営が本人でないため最新情報はこっちに掲載します。
ここに掲載している論文や口頭発表などは、すべて広島や沖縄で貴重な話を聞かせていただいた方々のおかげでできあがったものです。それらの概要などを公開しています。ぜひご覧になっていただき、興味があればご連絡ください。
できれば、すべての論文を読んでもらいたいですが、私の研究の中身や方法を簡潔に知ってもらえるものとしては、以下の3本をおすすめします。
(1)「建築業から風俗営業へ――沖縄のある若者の生活史と〈地元〉つながり」
(2)「暴走族のパシリになる――『分厚い記述』から『隙のある調査者による記述』へ」
(3)「つくられたしーじゃ・うっとぅ関係――沖縄の建設業の社会史」
もちろん、これら以外の論文も読んでもらえれば大変ありがたいです。
以下、簡単な研究の紹介です。
かつては広島市と関東圏、そして沖縄で暴走族やヤンキーの若者の参与観察を行ってきました。すべての土地で出会いに恵まれていることに感謝しています。調査では暴走族のアジトに通い、下積みを重ねてきました。その結果、パシリから中堅クラスにポジションが変わりつつあると感じていましたが(2010年夏)、それは単なる勘違いでした(2011年夏)。それどころか、ビーチパーティの場所取りを頼まれたのに車内で昼寝したり、釣り大会の移動中にディーゼルの現場号にガソリンを給油するといったありえないミスを繰り返してしまい、パシリさえも降ろされそうです(2012年夏)。バイクに乗ったりそれを見物していた若者たちも現在では、サラ金の回収業、台打ち、性風俗店の経営、ボーイ、型枠解体業、鳶、塗装、彫師、バイク屋、ホスト、キャバクラ、弁当屋、主婦になりました。彼・彼女たちへの継続調査を現在も行っています。
2016年4月、やっとのことで、首都大にて博士号(博士:社会学)を取得しました。引き続き、調査・研究に邁進します。
博士論文
ダウンロード可能な論文などは以下の書庫からどうぞ
打越正行の研究室(書庫)
『ライブハウスの人類学』(晃洋書房)刊行記念
「場に根付くということ――ライブハウスから考える」
日時:2022年5月11日(水)20:00-
場所:本屋B&B(東京都世田谷区)&オンライン
https://bookandbeer.com/
参加:生井達也×打越正行
(以下、転載)
今年一月に生井達也さんの新刊『ライブハウスの人類学』が、晃洋書房より発売されました。
同書は、十年以上にわたってミュージシャンと研究者という二足のわらじを履き続けてきた著者が、音楽活動やライブハウスに集うことの「意味」とは何か、楽しさや喜びといったものとは異なる次元にある「何か」に触れようと、ミュージシャンたちの実践を対象に、自身も演奏者として、客として、イベント企画者として参加し、参与観察と聞き取り調査を行った成果をまとめた本です。
同書の刊行を記念して、トークイベントを開催します。
出演は著者の生井達也さん、ゲストに打越正行さんをお迎えします。
打越さんは、沖縄の若者たちを対象に、驚異的なフィールドワークを展開し、2019年に『ヤンキーと地元』(筑摩書房)を出版されました。
ときに調査対象者の「パシリ」となり、彼らと日常的に「つるみ」、酒を飲み交わしながら共に過ごすという長期にわたる参与観察の成果をまとめた同書は、第6回沖縄書店大賞を受賞し、大きな注目を集めました。
当日は、生井さんの著書を端緒に、ライブハウスという不可視化される(見えにくい)「場」でどのような実践が行われているのか、また、お二人にとっての「フィールドワーク」とは何かといった話題まで、自由にお話いただきます。
どうぞお楽しみに!
愛知県立大学教育福祉学部の共催、そして〈生活一文脈〉理解研究会の主催により、シンポジウム「〈生活一文脈〉から考える映画『プリズン・サークル』における痕跡」を開催した。シンポジウムに先立ち、映画『プリズン・サークル』の上映会を実施した。
■打越正行、2021年12月18日、「ヤンキーと地元の社会学――沖縄における参与観察調査をもとに」『NHKカルチャーオンライン講座』NHK文化センター仙台教室.
※ アーカイブ配信は、12月24日から1月31日までです。
沖縄の暴走族やヤンキーの若者が生きる地元は、厳しい上下関係がしかれ往々にして暴力が起こる過酷な世界です。彼・彼女らの多くは早々に学校に見切りをつけ、地元の人間関係の中で働いています。本講座では、彼らの人生観や日々繰り返される行為選択の合理性について、詳細な調査データに基づき説明します。
また、調査内で用いた参与観察法も解説します。参与観察は、調査対象となる社会で具体的に与えられた役割を遂行しながら調査する方法です。講師は、暴走族やヤンキー、建築作業員のパシリとなって10年以上にわたり調査を行ってきました。今回は、参与観察から見えた沖縄の共同体について考察します。
2021年度後期「質的調査で描くこと」
■夏季休暇に書いたもの報告会
■岸政彦、2018、「プリンとクワガタ――実在への回路としてのディテール」『マンゴーと手榴弾――生活史の理論』勁草書房、137-168.
■データセッション1
■玉野和志、2004、「魅力あるモノグラフを書くために」好井裕明・三浦耕吉郎編『社会学的フィールドワーク』世界思想社、62-96.
■『ある子供』(ジャン=ピエール&リュック・ダルデンヌ監督、2005年、ベルギー・フランス、ビターズ・エンド、95分)
■中野卓、1981、「個人の社会学的調査研究について(1)」日本社会学会編『社会学評論』32(1): 2-12.
■データセッション2
■宮本常一、1984、「対馬にて」『忘れられた日本人』岩波書店、11-35.
■宮本常一、1984、「村の寄りあい」『忘れられた日本人』岩波書店、36-58."
■丸山里美、2006、「野宿者の抵抗と主体性――女性野宿者の日常的実践から」『社会学評論』56(4): 898-914.
■『パッチギ!』(井筒和幸監督、2005年、日本、シネカノン、118分)
■岸政彦※、1996、「建築労働者になる――正統的周辺参加とラベリング」社会学研究会編『ソシオロジ』41(2): 37-53.
※ 著者参加
2021年度前期「社会学の憤り方」
■『100分de名著「ディスタンクシオン」』(岸政彦、2020年12月放送、NHK).
■上間陽子、2017、「記念写真」『裸足で逃げる――沖縄の夜の街の少女たち』太田出版、57-91.
■石岡丈昇※、2017、「癖の社会学」『現代思想(特集 社会学の未来)』45(6)、青土社、125p-139p.
■『港町』(想田和弘監督、2018年、日本・アメリカ、東風、122分).
■斉藤悦則、2005、「社会学者の憤り方――ブルデューに学ぶ」斉藤悦則ほか編『日仏社会学叢書(第三巻)――ブルデュー社会学への挑戦』恒星社厚生閣、88-109.
■Bourdieu, Pierre, 2002, Le bal des Celebataires: Crise de la Societe Paysanne en Bearn, Editions du Seuil.(=2007、丸山茂・小島宏・須田文明訳「農民とその身体」『結婚戦略――家族と階級の再生産』藤原書店、129-154.)
■Bourdieu, Pierre, 2003, La misère du monde, Editions du Seuil.(=2019、櫻本陽一・荒井文雄訳「どうにもならない現実」「フランス北部の二人の若者」『世界の悲惨Ⅰ』藤原書店、136-170.)
■新雅史※、2012、『商店街はなぜ滅びるのか――社会・政治・経済史から探る再生の道』光文社.
※ 著者参加
■打越正行、2021年9月3日、「Therapeutic Communityと地元を生きる」〈生活-文脈〉理解研究会シンポジウム「〈生活-文脈〉から考える 映画『プリズン・サークル』における痕跡」(愛知県立大、zoom).
映画『プリズン・サークル』の隙間やその後に存在する、男性たちの「どうしょうもない」世界(=地元)に注目した。その世界を遅れた世界/間違った世界とだけみてしまうことでこぼれ落ちてしまう現実とその意義について、コメントした。
〈生活-文脈〉理解研究会シンポジウム
「〈生活-文脈〉から考える 映画『プリズン・サークル』における痕跡」
『プリズン・サークル』は、日本の刑務所を内部から記録した初のドキュメンタリー映画である。当日はこの映画の坂上香監督をお招きして、シンポジウムを開催する。 主催の〈生活-文脈〉理解研究会は、人びとの〈生活-文脈〉を重視し、その行為や語りを理解することにこだわってきた。研究会主宰の宮内洋は―生活を/から読むことには一貫した、他方で調査における出会いから柔軟に変化を遂げる―剛柔併せ持つフィールドワーカーである。同研究会の打越正行は、沖縄のヤンキーの若者たちの生きる地元社会で、「パシリ」として長きにわたり巻き込まれているフィールドワーカーである。 当日は、上記のフィールドワーカーが『プリズン・サークル』の映像をもとにしながら、監督を交えての鼎談をおこなう。現代日本社会における人を理解する困難とその可能性、そしてその条件などについて議論が展開される。
■参加:坂上 香(ドキュメンタリー映画監督)
宮内 洋(群馬県立女子大学)/打越 正行(和光大学)
■場所:愛知県立大学 S201教室
■日時:2021年9月3日(金)
■プログラム
13:00- 『プリズン・サークル』上映会(136分)
休憩
15:30- シンポジウム(60分)
主催:〈生活-文脈〉理解研究会
共催:愛知県立大学 教育福祉学部
トークイベントのお知らせです。
トイビトのクラウドファンディングにも、ぜひご協力ください。
■石岡丈昇・打越正行(聞き手:加藤哲彦)、2021年7月7日、「関心と研究のあいだ――人生をかける『問い』はいかにして生まれるのか」株式会社トイビト.
「これはどういうことだろう?」「なぜ、こうなっているんだろう?」。ふとしたきっかけでそう思うことは、大人になってからでも、そう珍しいことではないはずです。この小さな関心が、恐らくは、学問や研究の第一歩。しかしそうは言っても、関心と研究のあいだには、やはり、「それなり」の距離があるように思います。学問の道を行く研究者たちは、関心を、いかにして、調査・研究の「問い」へと練り上げていくのでしょうか。
フィリピン・マニラのボクシングジムに住み込み、貧困世界の若者たちにとってボクシングがどのように意味づけられているかを調査した石岡丈昇先生、沖縄のヤンキーや暴走族の社会に飛び込み、時に「パシリ」となることで、沖縄の若者たちがどのように生きてきたのか、生きようとしているのかを調査した打越正行先生のお二人にお聞きします。