宮城まり子先生の定義
「何らかの適応上の問題に出会い、その解決や対応に困難を感じたとき、その解決に支援を必要とする個人(クライエント)とカウンセラーが面接をおこない、対話を通して言語的、非言語的コミュニケーションによって互いに影響を与え合い、問題の解決をはかる過程である」
大辞林
「専門的な手続きに基づく相談、またその技法。個人のもつ悩みや不安などの心理的もんだいについて話し合い、解決のために援助・助言を与えること。」
ウイキペディア
「依頼者の抱える問題・悩み等に対し専門的な知識や技術を用いて行われる相談・援助のこと」
社会労働環境の激変にともない、個人のキャリア自律へ向けたサポートを行う「キャリアカ
ウンセリング」に対するニーズが 近年非常に高まっています。
そこで今回から 駿河台出版社の「キャリアカウンセリング(執筆:法政大学宮城まりこ教
授)」をメインテキストとして勉強していきたいと思います。
キャリアカウンセリングとは「キャリア」と「カウンセリング」の2つの用語で合成された
概念ですが
①キャリア」という用語の解釈が多様であること
②「カウンセリング」の概念が不明確なこと
③カウンセラーの果たす機能が多様・広範囲なこと
等から一般的には十分な理解が得られていないのが現状です
そこでこれらを踏まえ
第一回目のテーマは「キャリアとは?」です
日頃何気なく使っている言葉ですが 明確には説明できない方が多いのではないでしょう
か?。
キャリアの語源は、車を引いて通るわだちの跡といわれ、狭義では「キャリアは職業、職
務、職位、履歴、進路」とし、広義では「キャリアは生涯・個人の人生とその生き方そのも
のとその表現のしかた」としています。
参考にキャリア研究大御所の代表的な定義をあげておきます
1.スーパーの最初の定義
「 ある個人の職業生活の過程における一連の職業、職務、職位 」
スーパーの晩年の再定義
「 生涯においてある個人が果たす一連の役割、およびその役割の組み合わせ 」
2・ハンセンの定義
「 相互に作用しあい影響しあう人生のさまざまな役割を包括する概念 」
3.シャインの定義
「 人の一生を通じての仕事、生涯を通じての人間の生き方とその表現のしかた 」
今回も宮城まり子先生のお話からです
ハンセンは1997年、その著書「統合的人生設計」において、キャリア概念のなかに
家庭における役割から社会における役割まで、人生における役割(Life role)をすべて
幅広く盛り込み、新しいキャリアに対する概念「ライフキャリア」を提唱しました。
そしてハンセンは、キャリア概念とその計画においては、自分の個人的な人生上の満足
だけに焦点を当てるのではなく、意味ある人生のため、つまり「自分にも社会にも共に役立つ
意義ある仕事」を行う視点に常に立ち、キャリア選択を行うことが重要であると述べています。
ハンセンは個人の人生においては、単に仕事だけではなく、次にあげる四つの人生要素が
それぞれうまくバランスよく統合される必要があるとしました。
それらは「仕事(Labor)」「学習(Learning)」「余暇(Leisure)」「愛(Love)」の4Lであり、
それぞれ四つの要素がうまく組み合わさってこそ「意味ある全体」になるということです。
すなわち、ハンセンは「仕事」だけをしていれば充実した豊かな人生を送れるのではなく、
仕事と並行して「余暇・学習・愛」がその中に存在していなければ、本当によい仕事はできず、
偏った生活のなかで人生はいつしか味気ないもの、貧しいものに変容するものであると
警鐘を鳴らしています。