
桐原葆見(しげみ)をご存じでしょうか?大正初期から昭和30年代まで、
日本において人の労働に関する数々の研究を行った産業心理学者です。彼の
活躍した時代の人々の生活や労働の環境および実態は、21世紀のわれわれが
おかれた状況や、その労働のありかたとは余りにもかけ離れています。それ
にもかかわらず彼の労働や精神衛生に対する考え方、研究に対する姿勢、
教育についての思想に、今日でも少しも古びていない、多くの示唆を読み
とることができます。
「労働の生産性ー桐原葆見の労働科学」より
精神的な発展と人格の向上とのないところには、本当の生産性の増進は望め
ない。自由とは単に束縛がないということだけではない。意志の自発性にもと
づいて、高い目的のために自分の行動を自分で支配するときに人間は自由なの
である。だから自由は人間が自治であるときにいよいよ高くなる。そうしてこの自治こそが仕事の能率を進める力なのである。
それ故に人間は自由であるとき、本当に能率的なのである。
放送大学教材「教育と心理の巨人たち」
私の経験でも、仕事の自由度(裁量権)が高いと、物理的な負荷が高くてもメンタル的なストレスは少ないですね。それが効率的な仕事の成果につながることは十分に納得できます。