近畿弁護士会連合会刑事弁護委員会主催の夏期研修会に参加しました。
琵琶湖畔、おごと温泉の旅館「緑水亭」で1泊2日(8/24-25)の合宿、
近畿各地から若手からベテランまで、刑事弁護の精鋭が集まって熱心な議論が行われました。
1日目のテーマは、
① 防御権等侵害国家賠償請求訴訟の報告
② 裁判員裁判における弁護人の複数選任の拒否事案の分析
一般にはあまりなじみのない、マニアックなテーマです。
①防御権侵害というのは、
大阪で、裁判中で拘置所に捕まっている被告人の独房の中を検察官が捜索して、裁判の準備のために弁護人とやりとりしていた手紙や被告人質問の尋問事項を書いた書類を差し押さえていったという事件。
「それは先生に出す手紙や。返してくれ!」 被告人がそのときに叫んだ言葉です。
被告人の防御権・秘匿権、弁護人との秘密接見交通権を侵害されたとして、国家賠償請求訴訟が提起されています。
日本の刑事裁判は当事者主義といって、検察官と被告人・弁護人という当事者が法廷で主張と証拠を戦わせ、中立的な裁判官がジャッジを下すという構造になっています。
事件にもっとも利害関係を有する当事者に主張立証を尽くさせる中でこそ、もっともよく真実を見出すことができるということなのです。
トランプゲームを思い浮かべてもらえばわかりますが、
相手の持っているカードがわかれば、簡単に勝つことは出来ます。
しかし、そんなことをすれば、ルール違反でケームにはなりません。
今回の検察官の行為もまったく同じ。
被告人と弁護人が持っているカードを無理矢理取り上げて、
見てしまったのです。
こんなことをしてしまっては、公平な裁判ができるはずがありません。
国家賠償請求はまだ始まったばかり。
これから新聞等で報道されることもあると思います。
ぜひ関心をもってご覧になってください。
二つめのテーマは弁護人の複数選任
裁判員裁判で国選弁護人を何人つけるか?
この点をめぐって、弁護人と裁判所で争いになる場合があります。
裁判員裁判は、短くても3日間、連続して裁判が行われます。
大量の証拠が開示され、裁判では次々に証人尋問が行われます。
そして、その証人尋問の結果をふまえて、すぐに最終的な意見を言わなければなりません。
実際にやってみるとわかりますが、とても一人の弁護人で十分な弁護活動が出来るようなものではありません。
検察官は必ず二人以上で対応し、法廷には補助者として事務官も連れてきています。
フェアな裁判にするためには、当事者の武器が対等なのが当然。
初めから駒の数が違えば、対等な将棋はなりませんよね。
こんな当たり前のことを認めてくれない事例が結構あるようです。