弁護士辻孝司オフィシャルブログ

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2013.2.1 二つの判決

2013-02-02 10:07:41 | インポート

昨日、東京地裁と京都地裁で、どちらもとてもいい判決をいただきました。

  

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東京地裁の判決は、準強姦事件で被害者参加弁護士を担当していた事件。

被告人は、被害者がウソを言っているとして無罪を主張していましたが、判決では、

被告人が虚言を弄している、全く信用できないと断罪し、被害者の証言を全面的に信用してくれました。

被害者参加弁護士からの被告人への質問や被害者論告の内容も判決文に織り込んでくれました。

有罪にはなるだろうとは思っていましたが、求刑通りの懲役5年という結論、被害者の心情をよくくみ取ってくれた納得のいく判決内容でした。

     

【 毎日新聞 2月1日(金)11時42分配信

<内柴被告実刑>不満げな表情「控訴させてもらう」

「酒に酔って熟睡していた10代の女子柔道部員に性的暴行をしたとして準強姦(ごうかん)罪に問われた九州看護福祉大(熊本県玉名市)元コーチでアテネ・北京両五輪の柔道男子66キロ級金メダリスト、内柴正人被告(34)に対し、東京地裁は1日、求刑通り懲役5年の実刑判決を言い渡した。内柴被告側は即日控訴した。
 この日の法廷に白いシャツと黒のカーディガン姿で出廷した内柴被告は実刑判決を言い渡された瞬間、握った拳をかすかに震わせた。両手で顔を覆い、動揺を隠さなかった。
 公判では一貫して「(性行為は)合意の上だった」と無罪を主張。判決を読み上げる裁判長が「明らかなうそ」「虚言をろうして」などと厳しい言葉を重ねると、腕組みをして不満げな表情を見せた。いすに何度も座り直すなど、落ち着かない様子も見せた。
 言い渡し後、裁判長が控訴できることを説明すると、被告はすぐさま「させてもらいます」と発言した。
 一方、女子部員は代理人の弁護士を通じてコメントを出した。「これまでのことが、やっと報われたと思います。事件そのものによるつらさに加えて、法廷でも証言をし、被告人のうその弁解を聞かされることによって、つらい思いをしてきました。でも、私は間違ってなかった、勇気をもって告訴してよかったと思います。ただ、正しい判決がされても、私が受けた苦しみは完全に癒えることはありません」などと記している。」

  

東京地裁の判決の後、すぐに新幹線に飛び乗って、京都地裁へ。

     

午後から、今度は被告人の弁護をしていた裁判員裁判の判決。

傷害致死、死体遺棄の事件で、傷害致死について無罪を主張していました。

判決は、傷害致死について無罪!

被告人による暴行、暴行と死亡との因果関係に合理的疑いが残るとしての無罪。

捜査段階で警察官が作成したメモが廃棄されていたことをとらえて、警察で作った被告人の供述調書の信用性を否定。

検察官の供述調書の確認方法も配慮に欠けていると指弾してくれました。

報道によると、判決後の記者会見に裁判員6名全員が出席し、取調べの可視化の必要性を訴えてくださったそうです。

裁判員を経験した市民の方から、実感として、こういう声があがったことはすばらしい。

中間弁論をして、取調べの問題性を指摘していたことが良かったと思います。

 

【毎日新聞2月1日(金)21時58分配信 】

傷害致死は無罪、死体遺棄は有罪判決

「京都府八幡市で11年8月、スーパー駐車場の車から女性の遺体が見つかった事件で、交際相手に暴行し死なせたなどとして、傷害致死と死体遺棄の罪に問われた無職、被告(24)の裁判員裁判の判決が1日、京都地裁であった。裁判長は傷害致死罪を無罪とし、死体遺棄罪だけを有罪と認定、懲役1年6月、執行猶予4年(求刑・懲役7年)を言い渡した。
 被告は11年6月、交際中の女性(当時34歳)=同市=をホテル浴室で数回突き倒して頭蓋(ずがい)内出血で死なせ、遺体を約2カ月間、車内に放置した、として起訴された。弁護側は公判で、女性を突き倒したことは認めたが、死亡との因果関係を否定し、傷害致死罪の無罪を主張していた。
 判決は「浴室で暴行し、女性が頭を打った」などとする捜査段階の供述調書について、内容が変遷し、取り調べ時のメモも破棄されていると指摘、信用性に疑問が残ると判断した。
 そのうえで、「ホテルに入る前、別れ話から女性が走行中の車から飛び降りて頭を打った」とする弁護側の主張を否定する証拠もないと指摘。「暴行以前の負傷が死因の可能性を否定できない」と傷害致死罪は成立しないと結論付けた。
 京都地検次席検事は「上級庁とも協議の上、適切に対応したい」とコメントした。
 判決後、裁判員6人全員が記者会見し、男性裁判員(53)が「密室の水掛け論にならないよう、取り調べの全過程を録音・録画すればいい」と語るなど、全員が取り調べの可視化の必要性を説いた。
 取り調べメモをめぐっては、最高裁が証拠開示の対象と判断している。京都府警は「供述調書に同じ内容を転記した場合、紛失防止などの観点からメモは破棄していいと指導している」としている。」

*固有名詞は匿名化しています。

  

大忙しの一日でしたが、良い判決がふたつ。

もっと浮かれるかと思ってましたが、ホッとした気持ちでどっと疲れが出てきました。

夜からは、京都弁護士会の刑事弁護合宿に参加しています。 

  

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