岡山コンベンションセンターで開催されている日弁連主催の国選シンポジウム
「みんなで担う国選弁護 ~すべての被疑者に弁護人を~」
に参加しています。
日本では、刑事事件で裁判を受けることになった被告人については、国選の弁護人が認められていました。お金がなくても弁護士を国の費用でつけることができたのです。
ところが、警察に逮捕されてから起訴されるまでの間(「被疑者」と呼ばれます。)は、長らく国選弁護人の制度はありませんでした。
そのため、弁護人の援助もないまま厳しい取り調べが行われ、無理矢理に作られた虚偽自白が、いくつもの冤罪事件を生み出してきました。
この被疑者段階にも必ず弁護人が必要であるとして、弁護士会では、一回だけ無料で接見してアドバイスをするという当番弁護士制度をスタートさせ、被疑者段階の国選弁護制度の実現に向けて運動をしてきています。
平成18年からようやく被疑者段階の国選弁護が始まり、平成21年に対象となる事件が大幅に拡大されました。
しかし、まだ、暴行や公務執行妨害、迷惑行為防止条例違反(痴漢)などの事件には国選弁護人をつけることができません。
また、逮捕されてから勾留されるまでの間(最大3日間)も、国選弁護人をつけることができません。
こうした部分にも国選弁護制度を拡大していこうというのが、今回のシンポジウムです。
岡山弁護士会マスコットキャラクター
「たすっぴ」
シンポジウムでは、全国の弁護士からの事例報告、韓国やイギリス・ドイツでの調査の報告が行われました。
外国と比べて、日本では捜査のために身体拘束(逮捕・勾留)される割合が圧倒的に高いこと、取り調べ時間が長く、供述調書が多数作られること、それにもかかわらず弁護人の援助が限定的であることなど、日本の刑事司法の問題点が指摘されました。
痴漢事件で冤罪が多いことは、周防正行監督の「それでもボクはやっていない」で有名になりました。
勾留後は弁護人がついてしまうために、今では、警察は逮捕直後に強引に自白調書を作っています。
一日も早く、被疑者国選弁護制度を拡大することが必要です。