「スリ硝子を通して外の霧を見ているような気分」だ。しかしスリ硝子を取り払っても霧は晴れない。下世話にも「うっかり1票、がっかり4年」という。だが今度ばかりは4年で済むとは到底思えないのだ。深い、どこまでも深い闇が待ち受けている。奇しくも今日は憲法記念日!
◆負け犬民主党
去年(2012年12月16日)の総選挙以来、ブログを書いても歯ぎしりになるだけで、とても手をつける気にならなかった。
だが安倍の狂気ともいえる“はしゃぎっぷり”と、その余勢を駆った急ピッチな右傾化をみるにつけ、これを座視することは許されなくなった。しかし我々にとっての不幸は安倍の暴走を阻止すべき野党がもののみごとに掻き消えてしまったことである。
むろん社共という「ブレない老舗政党」があるといっても、神社のお札みたいなもので、いまのところ屁のツッパリにもならない。
だが数だけが頼みだった民主党は衆議院議員230人が57人に激減するという白昼夢。
7月に予定されている参議院議員選挙でボロ負けすることはもはや既定路線となってしまった。
では民主党幹部はこの難局をどう乗り切ろうとしているのか。果たして状況を押し返す心構えがあるのだろうか。ノーである。完全に負け犬のいじけ根性が沁みついてしまったようだ。
◆絶望的なトロさ
小生が住む地域の選挙区(千葉13区)に民主党副幹事長の若井康彦なる議員がいる。名前だけは格好いいせいか、去年暮れの総選挙では辛くも比例で救われた。もともと選挙には強くなかった。しかし議員数が少ないから就けた役職(副幹事長)とはいえ、とにかく幹部には違いない。
彼から折に触れて党勢報告のビラがくる。総選挙直後のビラでは民主党衰退の理由を以下のように総括している。
「振り返るに①甘い現状把握に基づくマニフェストの設定、②必要な情報を国民にわかりやすく伝えるアナウンス能力の不足、③数々の重大局面での正確さを欠く政策判断、④党内における意見の対立をまとめきれないガバナンスの弱さ等、政権運営に問題を残した結果といわざるを得ない」だと。
この「上から目線」は何なんだ。あんたは安手のテレビコメンテーターか。このトロさは一体何なんだ。二流高校のレポート提出じゃあるまいし、大学のゼミだってもう少し体温を感じさせる討論を展開するだろう。国民はグダグダした言い訳や辻褄合わせを聞きたいんじゃない。
このままでは確実に民主党は雲散霧消する。ではそうならないためにいま緊急に何をしなければならないか。まずは野田佳彦の退陣を迫ることである。むろん議員辞職だ。それも国民のみている前で――。石をぶつけてもいい。それほど野田の罪科は奥深いのだ。
◆せめてまともな総括を
俺なら最低でも以下のように総括する。
①福島第1原発事故に対する明確な方針を立てぬまま(野田が)原子炉冷温停止を理由に収束宣言を出して大飯原発の再稼働を認めてしまったこと、そして財界やアメリカに批判され、「30年後に脱原発の閣議決定」を見送ったこと、②国民の不安と怒りが充満していたにも関わらず、自公勢力とつるんで、消費増税の道筋を決めてしまったこと③4年前、政権交代を実現させ、自公の政策に対し、「国民の生活が第一」を打ち出した鳩山、小沢を事実上党から追放してしまったこと、の三点である。それを強行した戦犯はほかならぬ野田佳彦だった。
もうひとつ野田の犯罪で絶対に許しがたいのは去年12月の抜き打ち解散である。党首討論でいきなり「1票の格差是正を承認するなら解散しましょう」といってのけ、さすがの安倍も絶句したそうだ。この時、野田以外で「解散」を極秘に知っていたのはたった3人。すなわち藤村修官房長官、岡田克也副総理、最終段階でやっと安住淳幹事長代理である。あとの役員や幹部は完全にカヤの外だった。民主党の役員会では輿石幹事長をはじめ菅直人、藤井裕久も解散に強く反対していた。すなわち、反対勢力に引きずり降ろされる前に、野田は起死回生の一発逆転をねらったともいわれる。呆れたり、怒ったり、解散に断固反対だったある議員は「日本も中国共産党並みになってきた」と苦笑したという。だがその議員には想像力というものがなかったのか。あの時期に解散するということはまさに自殺行為だったのである。怒ったり、苦笑する前になぜ野田の弾劾集会をやらなかったのか。
くどいようだが民主党への背信というより国民への裏切りだったのである。
◆安倍に花道までつくってやった野田
ちなみに時事通信の解説委員山田惠資は当日の模様を次のように伝えている。
《「16日に解散をしましょう。「後ろに区切りをつけて結論を出そう。16日に解散します。やりましょう」。まさかの野田首相からの解散日提示。委員会室は一瞬静まり返り、安倍氏も虚を突かれて驚いた表情を見せた。安倍氏は「民主党政権がポピュリズムであることが分かった」と言い返すのが精いっぱいだった。その直前まで首相は、「党首討論では解散の具体的日程を示すことはない」と言い続けていた。与党内からは「腰を抜かすほど驚いた」「何が起きたのか分からない」との声も漏れた。一方で、年明け以降と見込んでいた第3極側も「準備の時間が足りない」「3極いじめだ」》。
ところでこの6月、民主党は若手を中心に「大反省会」をやるという。それなら以上の三点を確認し、国民に潔く謝罪するしか道はない。その上で野田を大衆の前に引っ張り出し、辞職を迫ることだ。勧告程度じゃ生ぬるい。文化大革命じゃないが野田の首に看板ブら下げたいぐらいだ。ついでに菅直人や枝野幸男も道ずれにしたらいい。これはジョークでいっているんじゃない。安倍がなぜ臆面もなく「やりたい放題」をやっていられるのか。一にも二にも野田が「赤い緋もうせん」までしつらえ、自民党に花道をつくってやった結果なのである。
歴史と政治にIF(もしかして)はない。だが野田が消費増税(正確には「消費税を柱とする税と社会保障の一体改革」)を通さなければ、民主党も230人→57人という大惨敗はなかったろうし、安倍もこうまで「やりたい放題」はできなかったろう。
驚いたことに先月、都内数カ所で、野田、菅や岡田克也前副総理、枝野幸男前経済産業相らが街頭演説したという。「執行部は昨年の衆院選惨敗と野党転落の責任を取りながら、野田氏らの協力も取り付け、苦戦が予想される参院選対策を総力で臨む姿勢を打ち出す狙いもある」(各ネットや新聞情報)。
情けなくってその挙句、笑うしかない。案の定、ビラを受け取った人はそれを丸めて道路に叩きつけ、足で踏みにじったし、マジックインキで野田の顔をを塗りつぶして放り投げた男もいたという。
民主党が溶けてなくなるのは自業自得だが、憲法改悪も含め、いまわれわれは無間地獄の淵に立たされている。野田の大馬鹿のなせる技だ。
スリ硝子の窓を開けても、依然晴れやらぬ霧がある。それはいよいよ深くなる。
◆負け犬民主党
去年(2012年12月16日)の総選挙以来、ブログを書いても歯ぎしりになるだけで、とても手をつける気にならなかった。
だが安倍の狂気ともいえる“はしゃぎっぷり”と、その余勢を駆った急ピッチな右傾化をみるにつけ、これを座視することは許されなくなった。しかし我々にとっての不幸は安倍の暴走を阻止すべき野党がもののみごとに掻き消えてしまったことである。
むろん社共という「ブレない老舗政党」があるといっても、神社のお札みたいなもので、いまのところ屁のツッパリにもならない。
だが数だけが頼みだった民主党は衆議院議員230人が57人に激減するという白昼夢。
7月に予定されている参議院議員選挙でボロ負けすることはもはや既定路線となってしまった。
では民主党幹部はこの難局をどう乗り切ろうとしているのか。果たして状況を押し返す心構えがあるのだろうか。ノーである。完全に負け犬のいじけ根性が沁みついてしまったようだ。
◆絶望的なトロさ
小生が住む地域の選挙区(千葉13区)に民主党副幹事長の若井康彦なる議員がいる。名前だけは格好いいせいか、去年暮れの総選挙では辛くも比例で救われた。もともと選挙には強くなかった。しかし議員数が少ないから就けた役職(副幹事長)とはいえ、とにかく幹部には違いない。
彼から折に触れて党勢報告のビラがくる。総選挙直後のビラでは民主党衰退の理由を以下のように総括している。
「振り返るに①甘い現状把握に基づくマニフェストの設定、②必要な情報を国民にわかりやすく伝えるアナウンス能力の不足、③数々の重大局面での正確さを欠く政策判断、④党内における意見の対立をまとめきれないガバナンスの弱さ等、政権運営に問題を残した結果といわざるを得ない」だと。
この「上から目線」は何なんだ。あんたは安手のテレビコメンテーターか。このトロさは一体何なんだ。二流高校のレポート提出じゃあるまいし、大学のゼミだってもう少し体温を感じさせる討論を展開するだろう。国民はグダグダした言い訳や辻褄合わせを聞きたいんじゃない。
このままでは確実に民主党は雲散霧消する。ではそうならないためにいま緊急に何をしなければならないか。まずは野田佳彦の退陣を迫ることである。むろん議員辞職だ。それも国民のみている前で――。石をぶつけてもいい。それほど野田の罪科は奥深いのだ。
◆せめてまともな総括を
俺なら最低でも以下のように総括する。
①福島第1原発事故に対する明確な方針を立てぬまま(野田が)原子炉冷温停止を理由に収束宣言を出して大飯原発の再稼働を認めてしまったこと、そして財界やアメリカに批判され、「30年後に脱原発の閣議決定」を見送ったこと、②国民の不安と怒りが充満していたにも関わらず、自公勢力とつるんで、消費増税の道筋を決めてしまったこと③4年前、政権交代を実現させ、自公の政策に対し、「国民の生活が第一」を打ち出した鳩山、小沢を事実上党から追放してしまったこと、の三点である。それを強行した戦犯はほかならぬ野田佳彦だった。
もうひとつ野田の犯罪で絶対に許しがたいのは去年12月の抜き打ち解散である。党首討論でいきなり「1票の格差是正を承認するなら解散しましょう」といってのけ、さすがの安倍も絶句したそうだ。この時、野田以外で「解散」を極秘に知っていたのはたった3人。すなわち藤村修官房長官、岡田克也副総理、最終段階でやっと安住淳幹事長代理である。あとの役員や幹部は完全にカヤの外だった。民主党の役員会では輿石幹事長をはじめ菅直人、藤井裕久も解散に強く反対していた。すなわち、反対勢力に引きずり降ろされる前に、野田は起死回生の一発逆転をねらったともいわれる。呆れたり、怒ったり、解散に断固反対だったある議員は「日本も中国共産党並みになってきた」と苦笑したという。だがその議員には想像力というものがなかったのか。あの時期に解散するということはまさに自殺行為だったのである。怒ったり、苦笑する前になぜ野田の弾劾集会をやらなかったのか。
くどいようだが民主党への背信というより国民への裏切りだったのである。
◆安倍に花道までつくってやった野田
ちなみに時事通信の解説委員山田惠資は当日の模様を次のように伝えている。
《「16日に解散をしましょう。「後ろに区切りをつけて結論を出そう。16日に解散します。やりましょう」。まさかの野田首相からの解散日提示。委員会室は一瞬静まり返り、安倍氏も虚を突かれて驚いた表情を見せた。安倍氏は「民主党政権がポピュリズムであることが分かった」と言い返すのが精いっぱいだった。その直前まで首相は、「党首討論では解散の具体的日程を示すことはない」と言い続けていた。与党内からは「腰を抜かすほど驚いた」「何が起きたのか分からない」との声も漏れた。一方で、年明け以降と見込んでいた第3極側も「準備の時間が足りない」「3極いじめだ」》。
ところでこの6月、民主党は若手を中心に「大反省会」をやるという。それなら以上の三点を確認し、国民に潔く謝罪するしか道はない。その上で野田を大衆の前に引っ張り出し、辞職を迫ることだ。勧告程度じゃ生ぬるい。文化大革命じゃないが野田の首に看板ブら下げたいぐらいだ。ついでに菅直人や枝野幸男も道ずれにしたらいい。これはジョークでいっているんじゃない。安倍がなぜ臆面もなく「やりたい放題」をやっていられるのか。一にも二にも野田が「赤い緋もうせん」までしつらえ、自民党に花道をつくってやった結果なのである。
歴史と政治にIF(もしかして)はない。だが野田が消費増税(正確には「消費税を柱とする税と社会保障の一体改革」)を通さなければ、民主党も230人→57人という大惨敗はなかったろうし、安倍もこうまで「やりたい放題」はできなかったろう。
驚いたことに先月、都内数カ所で、野田、菅や岡田克也前副総理、枝野幸男前経済産業相らが街頭演説したという。「執行部は昨年の衆院選惨敗と野党転落の責任を取りながら、野田氏らの協力も取り付け、苦戦が予想される参院選対策を総力で臨む姿勢を打ち出す狙いもある」(各ネットや新聞情報)。
情けなくってその挙句、笑うしかない。案の定、ビラを受け取った人はそれを丸めて道路に叩きつけ、足で踏みにじったし、マジックインキで野田の顔をを塗りつぶして放り投げた男もいたという。
民主党が溶けてなくなるのは自業自得だが、憲法改悪も含め、いまわれわれは無間地獄の淵に立たされている。野田の大馬鹿のなせる技だ。
スリ硝子の窓を開けても、依然晴れやらぬ霧がある。それはいよいよ深くなる。