3日前、小生のブログに的確なコメント(助言)を頂戴した。鹿児島県いちき串木野市の国庫補助金返還問題(12月6日付)についてである。
11年前のごみ処理広域化構想によって大型・連続焼却施設の建設が進み、同時に全国各地で火災・爆発を含む事故やトラブルが続発した。中にはプラントメーカーの設計ミスを旧厚生省の外郭団体から指摘されたケースもある。
当然、国は当該施設について性能確認を行い、不当と判断したら、会計検査院の指摘を待つまでもなく補助金返還を求めるのが筋であろう。にもかかわらず国庫補助制度がはじまった1963年以降、補助金の全額返還を求めたケースはいちき串木野市が初めてという。これはいったいどうしたことか。そうした疑問をブログに書いた翌日、冒頭のコメントが入ったのである。正直、有り難かった。
早速発信者(匿名)に全文を搭載掲載させていただきたいと懇請したが、ご本人が論点を整理した上、コメントの形で再び送信してくれた。
まず「国庫補助金を受け取りながらトラブルの多い施設が多すぎる、このような事象を生じさせることになった元凶は、国庫補助対象施設についての判断基準を『ごみ処理施設性能指針』の変えたことにある」と前置きし、以下のコメントに移っている。ちなみに「性能指針」は1999年に新設され、それ以前は「構造指針」として国が設備機械の方式やその構造まで細かく規定していたのである。
《コメント》
「構造指針」時代は、指針の内容と施設の内容の対比について補助金を申請しようとする市町村が準備しますが、指針に適合しているかどうか、は国が審査し、判断していました。
一方「性能指針」では、指針の内容と施設の内容を対比して、指針に適合しているかどうかは、市町村が確認しなさいというものになっています。
すなわち、性能指針として、導入しようとする施設について、満たすべき性能条件については、国が指針として指示をしますが、 実際に導入しようとする施設が、その性能指針に適合しているかどうかの確認は市町村が各自行ってください。というものです。
国は、このようなシステムにした理由のひとつに、「新技術の導入が速やかに行えるよう配慮する必要があるため」をあげています。
では、実際、性能指針に適合しているかどうかの確認についての運用はどうなっているのでしょうか?
既に、多くの実績があったりする処理方式、施設やプラントメーカーであれば、後々トラブルが生じることは少ないのかも知れませんが、実証プラントレベルでの実績、稼動年数がたかだか数年程度、などの施設を導入する場合に、第三者機関の評価さえも受けずに性能指針への適合性を市町村が自ら確認することが、如何に困難であるか推測できると思います。
部分的な新技術ならばまだしも、処理システム全体に及ぶ新技術というのは、処理の先進性を期待することは出来ますが、一方で、長期間の安定稼働に対しては大きなリスクを背負うというのは、常識的に考えられることです。
国庫補助金を受けて運営するごみ処理施設は、最低、その国庫補助金を償却できるおよそ10年程度以上の安定稼動が確保されなくてはなりません。そうであるならば、新技術の導入を優先するのではなく、国庫補助金の適切な償却を前提に、安定的な処理の継続を優先して、性能を確認するシステムとするのが、国の責務であると思います」。
旧厚生省時代から環境省は「苦しくなると地方分権」を決め込んできた。不適物が入ることは避けられないと専門家も認める安定型処分場についてもその確認と監督は地方自治体の仕事、といってはばからない。そのくせ府県が処分場や焼却施設の建設申請に不許可を出すと、廃棄物処理法をタテにそれを覆してしまう。不許可を不服とする産廃業者が府県を訴えるケースが最近とみに増えてきた。そのトバッチリが環境省に及ぶとみれば平然と「地方分権」など踏みにじるのである。結局都道府県は国の代官にすぎないということだ。
今回の件についても国が「性能指針」という形でリスクを自治体に押し付け、自らが傷つかない算段を講じたということだろう。
コメントを寄せられた方は行政や業界の事情に詳しい方と思われる。今後とも思い込みの強い小生の至らなさや論旨の通らない点などをご指摘いただければ幸甚である。
11年前のごみ処理広域化構想によって大型・連続焼却施設の建設が進み、同時に全国各地で火災・爆発を含む事故やトラブルが続発した。中にはプラントメーカーの設計ミスを旧厚生省の外郭団体から指摘されたケースもある。
当然、国は当該施設について性能確認を行い、不当と判断したら、会計検査院の指摘を待つまでもなく補助金返還を求めるのが筋であろう。にもかかわらず国庫補助制度がはじまった1963年以降、補助金の全額返還を求めたケースはいちき串木野市が初めてという。これはいったいどうしたことか。そうした疑問をブログに書いた翌日、冒頭のコメントが入ったのである。正直、有り難かった。
早速発信者(匿名)に全文を搭載掲載させていただきたいと懇請したが、ご本人が論点を整理した上、コメントの形で再び送信してくれた。
まず「国庫補助金を受け取りながらトラブルの多い施設が多すぎる、このような事象を生じさせることになった元凶は、国庫補助対象施設についての判断基準を『ごみ処理施設性能指針』の変えたことにある」と前置きし、以下のコメントに移っている。ちなみに「性能指針」は1999年に新設され、それ以前は「構造指針」として国が設備機械の方式やその構造まで細かく規定していたのである。
《コメント》
「構造指針」時代は、指針の内容と施設の内容の対比について補助金を申請しようとする市町村が準備しますが、指針に適合しているかどうか、は国が審査し、判断していました。
一方「性能指針」では、指針の内容と施設の内容を対比して、指針に適合しているかどうかは、市町村が確認しなさいというものになっています。
すなわち、性能指針として、導入しようとする施設について、満たすべき性能条件については、国が指針として指示をしますが、 実際に導入しようとする施設が、その性能指針に適合しているかどうかの確認は市町村が各自行ってください。というものです。
国は、このようなシステムにした理由のひとつに、「新技術の導入が速やかに行えるよう配慮する必要があるため」をあげています。
では、実際、性能指針に適合しているかどうかの確認についての運用はどうなっているのでしょうか?
既に、多くの実績があったりする処理方式、施設やプラントメーカーであれば、後々トラブルが生じることは少ないのかも知れませんが、実証プラントレベルでの実績、稼動年数がたかだか数年程度、などの施設を導入する場合に、第三者機関の評価さえも受けずに性能指針への適合性を市町村が自ら確認することが、如何に困難であるか推測できると思います。
部分的な新技術ならばまだしも、処理システム全体に及ぶ新技術というのは、処理の先進性を期待することは出来ますが、一方で、長期間の安定稼働に対しては大きなリスクを背負うというのは、常識的に考えられることです。
国庫補助金を受けて運営するごみ処理施設は、最低、その国庫補助金を償却できるおよそ10年程度以上の安定稼動が確保されなくてはなりません。そうであるならば、新技術の導入を優先するのではなく、国庫補助金の適切な償却を前提に、安定的な処理の継続を優先して、性能を確認するシステムとするのが、国の責務であると思います」。
旧厚生省時代から環境省は「苦しくなると地方分権」を決め込んできた。不適物が入ることは避けられないと専門家も認める安定型処分場についてもその確認と監督は地方自治体の仕事、といってはばからない。そのくせ府県が処分場や焼却施設の建設申請に不許可を出すと、廃棄物処理法をタテにそれを覆してしまう。不許可を不服とする産廃業者が府県を訴えるケースが最近とみに増えてきた。そのトバッチリが環境省に及ぶとみれば平然と「地方分権」など踏みにじるのである。結局都道府県は国の代官にすぎないということだ。
今回の件についても国が「性能指針」という形でリスクを自治体に押し付け、自らが傷つかない算段を講じたということだろう。
コメントを寄せられた方は行政や業界の事情に詳しい方と思われる。今後とも思い込みの強い小生の至らなさや論旨の通らない点などをご指摘いただければ幸甚である。