Cosmos Factory

伊那谷の境界域から見えること、思ったことを遺します

“ツボ採り”2017

2017-09-30 23:44:01 | 自然から学ぶ

 

 「モロコ採り」で記したように、ため池の水位を下げることによってメダカやタモロコが生息域を狭められて雨が降っているかのように水面に波紋を作った。これは2009年のことだから、8年前のこと。その際に記したため池と隣り合わせにある上のため池の、今日は「ツボ採り」だった。ずっとため池を干して管理することを「ツボ採り」と言ってきたが、そろそろこの名称も消えそうだ。何といってもツボ(タニシ)が減少している。今年は昨年にくらべると1ヶ月近く早く実施した。毎年気温が低くなってから実施していて、干しても寒くて「ツボが出てこない」なんていう言葉を合言葉のように交わしていた。実施日については、「ため池慣行のムラ⑥」に示しているように、ずっと10月に実施していた。とはいえ、以前はお祭りの肴にしようという意図もあったようで、10月10日前に実施していた。だから9月とはいえ末日であった今日なら、かつての実施日とほぼ同じというわけだ。比較的日中は暖かくなった今日、干したもののツボは現れなかった。もちろんこの時期だから例年の寒くて「ツボが出てこない」という合言葉も出なかった。かつては参加したそれぞれの家でバケツ2杯も持ち帰ったというツボが、今年はバケツに4分の1程度。「ため池慣行のムラ⑥」にあるように、かつての収穫量とは比較にならない。正直言ってこの減少傾向は止まらない。これ以上減ったらまさに「ツボ採り」ではなくなる。

 ツボだけではない。メダカの数も減っている。冒頭でも触れたように、「モロコ採り」を記した8年前の隣のため池では、まだ水面が広いのに大雨時の雨粒のような波紋を見せた。ところが今日は写真ても解るように、これだけ水を落としても水面には8年前のようなメダカたちの波紋は生じなかった。もちろん狭まれた水域にたくさんのメダカの姿が見えはしたが、絶対量の減少は否めない。そしてメダカ以上に減少しているのがタモロコだろうか。もはや魚を分けて持ち帰るという状況ではない。ヘドロ状の泥が流れ込んでいて、その影響なんだろうと想像するが、泥を処理するのも容易ならぬことで、さしあたって支障がない以上、これを浚うというところには至らないし、しようと思っても今の4軒だけの関係者では難しい。かつては干すと泥の上に点々とツボが浮いていたもの。今年の写真でも解るのは、それがまったく見えない。

 さて、水位を下げるにあたって底樋から流れ出してきた生物を法下で捕獲する。ゲンゴロウはたいがい水位を下げると底樋を伝って流れてくる。そんなゲンゴロウを救出したのがバケツの中の光景だ。9匹のゲンゴロウが見える。このほかにも数匹(別の写真のように)確認したから、今年確認できたゲンゴロウは10数匹といったところ。ゲンゴロウもかつてに比較すると減ってきているが、ここ数年の印象とそう変わっていない。

 法下に捕獲用に用意する網には、毎年たくさんのメダカやらタモロコが流れてくるのだが、干し方にもよるが、今年はほとんど流れ落ちてこなかった。オタマジャクシとヤゴばかり。そんななか、最後の放流時にはドジョウが何匹も流れ落ちてきた。これもまた捕獲してため池へ戻した。何といってもツボの激減が心配だ。


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