先日「初宮参りの扇と真綿と麻と」を記した。辰野町沢底の鎮大神社と、箕輪町長岡の長岡神社に扇と真綿、それと麻を付けたものが奉納されていたことについて記したものだが、このことについて、「御鉾様と五輪塔残欠」でも引用させてもらった諏訪大社と諏訪神社について詳細に触れている方のページに紹介されている。「鎮大神社」のページのものだ。それを読むと、箕輪町野松島神社や辰野町の手長神社などで奉納されている同類の写真が掲示されている。やはり辰野町から箕輪町あたりに顕著な初宮参りのスタイルのようだ。
そこで『長野県史民俗編』の元資料から民俗地図を作成してみた。それが冒頭の物である。これを見ると「扇・真綿・麻」を供物として神社に持参するのは辰野町あたりに集中していて、ほかの地域には見られない。実は長野県史のデータには諏訪市豊田上野にもこれらを奉納する例があげられているが、上野は有賀峠を辰野町に下る所にある集落。ようは辰野町に近いところに位置する。長野県史では全ての集落を網羅していないため、その境界域を明確に探ることはできないが、いずれにしても辰野町あたりが中心であることは確かなよう。この後、周囲に少し目を配ってみたい。なお、地図からは供物「酒」を省いた。理由はかなりの箇所で供えられているもので、全県的に分布しているためあえて「酒」を外した。