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伊那谷の境界域から見えること、思ったことを遺します

大御食神社獅子練り・中篇

2014-09-22 23:53:26 | 民俗学

大御食神社獅子練り・前篇より

 ここまで御食神社獅子練りについて書いてきたわけであるが、基本的なことについて触れておこう。6地区のもちまわりが現在は5地区(赤須町・小町屋と福岡・市場割・上赤須・下平)の持ち回りと変化しているが、宮元である市場割が「宮元である」という意識が高いのはいうまでもない。大御食神社の南隣にある小町谷家は大御食神社の神官を務める家であった。本練りとなる夕方からの練りは、この小町谷家の庭から始めていたのがかつての形だったようである。現在小町谷家は無住である。

 お練りの日程は「大御食神社祭典」に示した通りである。年番の集落内を練り歩くのは毎年のことで、言ってみれば本練りである夜の部を迎えるにあたっての練習と、地元の人々へのお披露目のようなもの。演じる人々にとって、地元を練るのと、本練りは別物と言えるだろう。夜の部である練りは、神社前の通りで一通り練られると、あとは境内の練りとなる。大御食神社の神社林は広大であるが、そして氏子エリアも広大であるが、それら広大さに比較して、大鳥居から拝殿までの距離は、意外と短い。この短い石が敷かれた参道を三度に渡って練るのだが、狭いが故に所作を伴う役者たちは思い切った舞をしているとは言い難い。拝殿前の最終の舞は、そもそもあの300メートルと続いた多様な役者たちには用がないのではないかと思われるほどあっさりしたもの。やはりこの場面の中心は、獅子とその獅子を切る役の「獅子切り」である。長い行列の中の、最後尾の二役が、練りの筆頭なのである。「獅子切り」については後篇に譲るとして、この壮大な練りに参加する役者を先頭から最後尾まで並べてみよう。


(消防自動車)
先払 (4)
氏子総代 (7)
青年部長 (5)
三社燈籠 (3)
三社 (3)
露払 (2)
鍾馗 (1)
鬼 (2)
天狗 (1)
山姥・金太郎 (2)
所作くずし (14)
おかめ (4)
市兵衛 (4)
傘踊り (38)
獅子招き (43)
笛・太鼓 (30+9)
狐 (2)
獅子切り (4)
獅子呼出し先頭 (2)
獅子引き (11)
獅子振り (31)
(マイクロバス)

下平が年番である平成26年の配役であって、年番を担う地域ごと若干の違いがある。消防自動車とマイクロバスは地区内の練り時についたのみ。カッコ内は配役数であるが、獅子切りは6名、また獅子呼出し先頭は4名あてられていた。このほか行列の側部に燈籠を持つ人が数多くつく。配役メモには三社燈籠と天狗に「当日参加者可」とある。事前の練習なく、当日参加で列に加われるという意味なのだろう。山姥・金太郎は、金太郎を幼稚園児が担い、その父親が山姥にあたるようである。笛は「何人でも可」とあり、獅子振りにも「体力ある人、何人でも可」とある。獅子引きの幼児には母親が付き添う。

 獅子舞の起源は記録がなく定かではない。明和4年(1767)に寄進された獅子頭が初代の頭として保存されており、少なくとも250年の歴史があると考えられている。現在使われているのは3代目の頭と言われる。本練りが神社に到着すると、この頭が神社側より持ち出され、それまでの練習用の頭と交換される。ようは年番の集落を舞う際の頭は、集落ごとにある頭(練習用)が使われる。

 

先払、後ろに青年部長

 

三社灯篭、背後に三社、脇に角燈籠

 

鍾馗、鬼

 

山姥、金太郎

 

所作くずし

 

おかめ

 

市兵衛

 

傘踊り

 

獅子招き

 

きつね

 

獅子切り

 

獅子呼出し先頭

 

 続く


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