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「かぶっつら石」とは

2024-07-09 23:54:23 | 民俗学

 「かぶっつら石」とはどのような石なのか、小林大二氏の『依田窪の道祖神』に登場するこの石、検索しても独自の名前であってほかの例はほとんど登場しない。唯一といって良いのだろうが、長野市の天然記念物に指定されているものが「かぶっつら石」と呼ばれているらしい。旧中条村の日高にそれはあり、概要説明に「大峰型石英安山岩の強溶結凝灰岩という。古い時代の土尻川の流れや、大峯山の変還を明らかにする。権現山・大峯山(大町市・大町市美麻地区)から流入。」とある。以前にも触れているように、土尻川沿いには自然石の道祖神がある。ただ、それらは繭玉形であったり、五輪塔の残欠であったりと、旧丸子町西内や旧武石村の自然石道祖神とは異なる。しかし、同じ「かぶっつら石」が自然石道祖神地帯に存在していることに、何らかの意味を見いだしたい、というのが本音である。

 先ごろ「依田窪の道祖神の石質について」でも触れたが、小林氏は前掲書の中で「緑色凝灰岩・凝灰角礫岩といい、海底火山の噴出物によってできた岩石である。鹿教湯温泉より武石岳の湯まで分布」と記している。ここに地質図を示したが、鹿教湯から武石岳の一帯にあるのは溶岩及び火砕岩(玄武岩、安山岩及び流紋岩)であり、小林氏のいう凝灰岩系の地質は見られない。旧中条村の「かぶっつら石」は石英安山岩と示されている。確かに鹿教湯から武石岳にかけての地質は旧中条の「かぶっつら石」を産出する地域と似ているのかもしれない。

 

西内、武石周辺地質図

 ここに地質図(詳細図と凡例については地質図Navi参照)と以前触れた正月の獅子舞分布と限界線を載せてみた。糸魚川静岡線のラインを記入すればより分かりやすいのだろうが、いわゆるフォッサマグナエリアに特徴的に表れていることがわかる。もちろんまだデータ不足、かつ根拠付けが乏しいが、地質と石神仏とかかわりがあるのではないかと想像する。

 

道祖神の獅子舞分布

 


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