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伊那谷の境界域から見えること、思ったことを遺します

大御食神社獅子練り・前篇

2014-09-21 23:42:34 | 民俗学

獅子引き

 

笛・太鼓

 

最後尾の「獅子」

 

 信濃史学会9月・長野県民俗の会192回共同開催例会が行われた。練りの行列が300メートルにものぼると言われる、駒ケ根市市場割の大御食神社秋祭りで行われる獅子舞の見学であった。わたしにとっては昭和61年9月21日の同神社祭典以来の訪問となった。今年の祭日は旧来から伝わる9月21日であったが、近年は9月第3日曜日が宵祭りとされ、翌月曜日を本祭日と設定している。たまたま今年第3日曜日が従来行われていた21日と重なったというわけである。ふつうなら土日に開催される傾向の祭典であるが、ここでは日月に開催するという珍しいスタイルをとっている。参加者の間でその理由が話題になったが、この大がかりな練り獅子を行うにあたり、早朝から始めるには土曜日では準備が間に合わないのではないか、ということになったが、本当のところは解らない。

 さて、300メートルにも及ぶと言われる行列であるが、昭和61年に訪れた時には確かにそれほど長いという印象を持ったが、本日の祭典を見る限りそこまでの長い行列ではなかった。年番の地元を練る際には、間合いがあって確かに先頭と最後部の距離が300メートルほどあったかもしれないが、午後5時半に始まる大御食神社前の練りの行列の最前列から最後尾までの距離は110メートルほどてあった。この際は多様な配役と配役の間に余分な間合いは全くなかった。とはいえ総勢220人余と言われる行列に参加する人々を集めるのも容易ではないだろう。行列に華やかさを持たせるのは子どもたちであるが、意外に人手を擁すのは若者たちである。先頭に配役される先払といわれる御幣を持った4人衆に始まり、氏子総代に続く「青年部長」と言われる役には3名の男性と2名の女性があてられる。実際地元に「青年部」なるものがあるのか確認しなかったが、男性は袴姿、女性は振袖を着て行列を先導する。道化役となる市兵衛のほか鐘馗とか天狗、あるいは鬼など面をつけて登場する役も比較的若い男性が担う。また子どもたちが担う傘踊りなどの先頭部に「所作くずし」と言われる華やいだ集団が配役されるが、ここにも若い女性が何人も加わる。さらに獅子招き、あるいは獅子引きといわれる集団にも子どもたちとともに若い女性が加わり、さながら子どもたちと青年たちの共同芸能祭の様相である。ただひたすらこの行列に加わり歩くだけでも疲れそうなのに、午前9時から午後7時までの長時間にわたる練りは、ただならぬエネルギーといえる。ついて歩いていただけのわたしたちも、祭典後重い疲労感を抱いたわけである。練りに参加した子どもたちを見ても、所作が乱れていると感じたが、それも致し方ないというところなのだろう。

 続く


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