Cosmos Factory

伊那谷の境界域から見えること、思ったことを遺します

フジバカマ咲く

2008-09-26 12:27:24 | 自然から学ぶ


 この夏ずっと注目していた花がある。オミナエシである。注目というほどのこともないが、常に目にしていてその花期の長さに改めて良さを感じたということである。7月から咲き始めた黄色い花は、盆も過ぎ、9月に入っても長らくその色を目に焼きつかせてくれた。今までこの花をそれほど意識もしなかったのに、なぜか花期の長さを印象づけられた。花の咲き方も「淡い」印象を与えるが、花の終わりはさらに淡いという印象を与える。たとえば一時見事な姿を見せるアジサイのような花の終わりの惨めさはない。アジサイといえば、花期後に花びらが黒ずんで見た目はかなり悪い。それを印象付けるだけ、花の季節が一層目立つのだうが、あの黒ずみ方はなかなか後味が悪い。桜のように散ってしまえばそのまま花の姿も残らず、まさに散り際を感じさせる花もある。いつまでもなごり惜しく姿をあらわす花よりもすっかり姿を消す花の方が良いという人もいるかもしれないが、意図的に咲かせている花には長くもってしいものであるし、楽しめることもありがたいものである。

 近くに寄ってみればすでに花期は終わっているのだろうが、遠目に見ているとオミナエシはいつまでも淡く黄色を見せる。その姿がまつになごり惜しく感じるところが盆花として似合う。確かに「割り切りのないやつ」と言われるかもしれないが、こんな感じの野の花は少しくらいあってほしい。だいぶ少なくなったと言われるこの花も、今年はそんな意識で捉えていたためか、けっこう目にした。増やそうと努力している人たちもいるのだろうが、野にもそこそこ自生している。

 そんなオミナエシがフジバカマが咲くまで淡く姿を見せた。そしていよいよフジバカマに変わるようにその姿を消していく。フジバカマもアサギマダラの寄り付く花として知られ、最近とくに意識的に増やそうという事例が多い。妻も実家の周辺に何年か前から増やそうと努力をしている。もちろん昔から自生しているものも咲いているが、その気があればけっこう増えてくる。アサギマダラもやってきて例年楽しんでいるようだが、先日そんなフジバカマの周辺で注目して見て見たが、アサギマダラの姿はなかった。この花にはアサギマダラだけではなくたくさんのチョウがやってくる。毎年ヒョウモン系のチョウはいろいろ、そしてシジミ系からシロチョウ系とさまざまだ。チョウが集まれば他の昆虫も多様である。スズメバチまでやってくる。

 写真はスジボソヤマキチョウだろう。ヤマキチョウとよく似ていることからわたしにはその区別がつかないが、おそらく前者だと思う。本州に生息するシロチョウ科の中では比較的大きく、モンシロチョウと比べるとふた回りほど大きい。体が大きいチョウはなかなか一定して留まっていない種が多いものの、このチョウがフジバカマに留まると、近寄ってもまず逃げはしない。夢中になって蜜を吸っているという感じで、なかなかおおらかなチョウである。ところが、長らく留まってはいるものの常にこの状態で、翅を広げるということはまずない。おそらく飛び立つとき、あるいは留まるときくらいしか表を注視することはできないのだろうが、なかなかそんな瞬時にその姿を注視することもできない。
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