Cosmos Factory

伊那谷の境界域から見えること、思ったことを遺します

暖冬と世界遺産

2007-02-02 08:09:17 | ひとから学ぶ
 暖冬というかなんというか、雪が降らなくて催しができないとか、催しを開くために苦労しているなんていう話がよく聞こえる。気温だけをみるとそれほど暖冬とも思わないのだが、それでも昔に比較すれば暖かいのだろう。豪雪地の飯山市でも市内にはほとんど雪の姿が見えないようだ(1/31現在)。そんなことで2/10,11に開かれる飯山雪まつりの雪像ができないと嘆いているようだ。大型ダンプで20キロも遠いところから雪を運んでいるという。地球温暖化だというのに、エネルギーを使って雪を運んでいるのもどんなもんだろう。雪がないときには雪がないことを逆手にとって催しを行なったらどうだろう。いっそ中止するという方法もあるだろうし、「雪まつり」という名でも雪のない祭りをしたっていいんではないか、と思ったりする。

 真剣に温暖化対策を考えるのなら、もう無駄なことは辞めたらどうだろう。そういうことを言うと、それにかかわって稼いでいる人たちに批判を受けるが、真剣にそう思うのなら、生活以外の娯楽を削ってゆくしかないはずだ。

 南アルプスを世界遺産に、という運動が始まった。伊那市では長谷総合支所(旧長谷村役場)で開いた長谷地域協議会で、登録に向けた活動や目的などを説明したという。しかし、そこに生活の舞台を置いている地元の住民には、登録による規制強化に対する懸念があって、慎重に検討するべきだという意見も出ている。〝「世界遺産反対」から〟でも紹介したように、熊野古道における反対運動はかなりのもののようだ。「世界遺産」とは何なんだということになる。文化遺産にしても自然遺産にしても、指定されることで人の進入が規制されて、遺産が保護されるというのなら指定の主旨として理解できる。しかし、現実は違うようだ。観光客目当てであったり、地域名のブランド戦略にもとれる。「世界遺産」という看板が欲しいばかりなのだ。それを誘導する自治体の有力者や地域の有力者は、世界遺産を有している地域のトップにいる、というレッテルが欲しいかのような積極さがある。日本人によくあるパターン、「外国高級車好み」と同じような感覚なのだろう。

 これもまた、温暖化だというのに、他方ではエネルギーを使いまくっているのと同じだ。そこに暮らす人々の生活を犠牲にしてはならないが、だからといって貴重なものを残すという行動も大切なものなのだろう。ところが、なにもかも打算的な背景が見え隠れしたりするから、犠牲に本当になってしまったらやるせない。富士山の世界遺産指定に向けた取り組みのなかで、富士五湖を含めて登録地域にしたいという山梨県の意向に、地元の河口湖町が大反対したという報道があった。年間900万人という観光客が訪れる地域だけに、指定による規制強化を懸念してのものだ。この場合は、むしろ指定されることで自然が保護される可能性もある。ケースバイケースという感じで、指定による影響は、一様ではないということを教えてくれる。すでに観光で十分安定した暮らしをしている地域は反対し、名声を上げようとする地域は賛成する。お分かりのように、目先のことだけを見ているわけだ。
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