夢のもつれ

なんとなく考えたことを生の全般ともつれさせながら、書いていこうと思います。

本をランキングで読む

2008-06-06 | monologue
NHKの「クローズアップ現代」で先日、「ランキング依存が止まらない~出版不況の裏側」というのをやっていました。本屋でランキングを見て本を買う人が多くなってるから時間を掛けて売ろうとする出版社がやっていけなくなっているといった内容です。

それを見てて、ランキングなんかを頼りにして本を選んで「自分らしさ」が生まれるとでも思ってるのかという皮肉な感想が思い浮かびました。読書は知識や知性を得るのに不可欠ですが、何より人間の内面を作るものだと私は考えていて、それをお仕着せですませているようではどうしようもありません。

年に3冊以下しか本を読まない人がランキングに特に依存するという調査結果が紹介されていました。それはもう「本を読まない人」に近いわけで、初めてのエスニック料理で失敗したくないから隣の人が食べているものを注文するのと同じかなと思いました。

私は最近はほとんど本屋に行きません。この間、時間つぶしに大きめの本屋に入りましたが、平台の本が厚化粧で手招きする娼婦のように見えて、げんなりしました。奥の方の数学のコーナー(それがあるだけでもいいんでしょうけど)にはありきたりの通俗解説書か退屈な教科書しかなくて、なんの工夫もされていないようでした。

本は図書館で借りて読みます。帯もカバーも取られて脂っ気が抜けた本は身の丈にあった表情をしています。家の書棚はほとんどがCDで、本の入る余地は少ないです。しょっちゅう見るからやむなく買う場合はネットを利用します。最近買ったのは新古今和歌集や古事記ですが、そんな古典中の古典でも、注釈本を何冊か比較できる本屋は東京に5つもないでしょう。つまり本屋には「生鮮書籍」しかおいていないのです。

そうした状況は現代の知的レベルをなにがしか表わしているように思います。さっき挙げたような古典も甘口にさわりだけ紹介した本はいろいろあります。でも、それはお手軽に知ったかぶりをするのには役立っても、自分の頭でモノを考える助けにはなりません。つまりはそういう人が今は多いということでしょう。

本屋はPOSデータで品揃えを決め、客はランキング・データで買うものを決める。それってデータとデータのやり取りに過ぎないわけで、そこにわざわざ「人間」が介在する必要はないんじゃないかと思います。


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なんかいろんなものがあるサイトです。


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4 コメント

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本格的に梅雨って感じですね (ゆきんこ)
2008-06-09 12:09:54
どうも、こんにちわ~始めまして。

予定(スイミング)をキャンセルしてクローズアップ現代を生で見た人間としては、一連のエントリーは非常に面白く読ませていただきました。

確かにランキングに依存していた方が出版社も書店も著者も楽チンですよね~まぁ、読者にとって良いのかどうかは別として・・・

本当に良書が欲しい人はランキングに頼らずとも自力で見つけてくるんでしょうが、そうではない人はどうなっちゃうんですかね~

ではでは。
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はじめまして (夢のもつれ)
2008-06-11 16:36:15
良書かどうかは数を読むしかないですね。失敗も含めてたくさん読めばわかってくるでしょう。……とここまでは人との付き合いと同じです。

若いうちは最近の本は読むな、古典だけ読めと言いたいですね。これは昔の人が食べていたものが体にいいのと同じですw。
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そうそう (ぽけっと)
2008-06-14 00:03:03
絵本も「100歳以上のものを選べ」と言われます。
私が小学生の頃、文豪レベルの本を次々紹介してくれる先生がいて、わかりもしないで読んだものです。
そういう自信のある指導者も今少なくなって、ますます迷う人も増えるのかも知れませんね。
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うんうん (夢のもつれ)
2008-06-15 12:44:49
社会に出るまでは「わかりもしないで読む」って大事です。わかるものばかり読んでいては成長するはずがありません。

損をしたくないなんてケチな根性ではロクな大人にならないでしょう。。
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