夢のもつれ

なんとなく考えたことを生の全般ともつれさせながら、書いていこうと思います。

てぬきそば~CDの並べ方

2005-04-30 | music
 GWなのである。ヒマである。しかも暑い。ここまで1か月以上週6日という仕事でもやらないようなペースで記事を書いてきた。頼まれもしないのに。これから来月9日までヒマなんであるからもっと書けそうなものであるが、そういうものではない。精神が弛緩しておるので、手抜きがしたくなる。わざわざ調べたりせずにそばにあるもので済ませたくなる。よって、てぬきそば始めましたなのである。ついでにふだんの「です、ます」 . . . 本文を読む

今日聴いた音楽~オケゲム:レクイエム

2005-04-29 | music
 オケゲム(ca.1410-97)は、現在残されている個人名による最古のレクイエムです。なんだかすっきりしない言い方ですが、まず「現在残されている」と限定したのは、彼の師匠のデュファイ(ca.1397-1474)が作曲したという記録があるからです。しかし、残念ながらこれは残されていません。次に「個人名による最古の」ということですが、グレゴリオ聖歌が8世紀から9世紀にかけて、たぶん聖職者のうちで音 . . . 本文を読む

ウィーンで見た音楽~ショスタコーヴィッチ:ムツェンスク郡のマクベス夫人

2005-04-28 | music
 フォルクス・オーパーはオペレッタを中心とした大衆向けのオペラ劇場で、日本でもしばしば公演を行っていて、ウィーンの雰囲気が伝わるということなのか人気があるようです。実際の劇場は市の中心から北にはずれた下町の郊外電車の駅の傍にあり、上演中も電車の振動が伝わってくるようなところです。建物もシュターツ・オーパーとは比べものにならないくらい質素なもので、演奏技術も音もウィーン・フィルと比べる方が野暮とい . . . 本文を読む

素数とπは星月夜に戯れる

2005-04-26 | tale
  すべてがデータになる前に(11)  新月の夜、ママたちがぼくのベッドにやってくる。少し寒いけれど、毛布をめくって仰向けになる。大山椒魚が歩いてくるような音がして、すぐにぼくの体は暖かくなる。潮が満ちてくる、静かに、おそろしいほどの高さまで。周りのベッドの患者は死んでいる、夜明けまで。ママたちは微笑みながら見つめている、粘液質の闇の奥まで。無数の手と脚がからみついてくる、ぼくの脊髄の中まで。 . . . 本文を読む

今日聴いた音楽~ブルックナー:交響曲第0番ニ短調

2005-04-25 | music
 ウィーンに来られたお客さんに市内をはとバス的にご案内して、もう1日あればザルツブルクにお連れするのが定番でした。アウトバーンを飛ばしながら、モーツァルトの話なんかしてクラシックにちょっと興味がありそうだなって思うと、リンツを過ぎたところで、ブルックナー(1824-1896)が奉職し、永遠の眠りについている修道院の話をします。正直言って、ザルツブルクへ行くのも大概飽きていましたし、あそこのモーツ . . . 本文を読む

今日聴いた音楽~Ives:Three Places in New England

2005-04-23 | music
 アイヴズ(1874-1954)の本職は保険会社のサラリーマンで、言わば日曜作曲家です。だからと言うわけでもあるのですがw、私は日曜画家のアンリ・ルソーの絵を連想してしまいます。ルソーの作品では熱帯地方を描いた幻想的な絵が有名ですが、この自画像のようなパリを舞台にした絵も独特の変てこな味わいがあります。せこい収賄事件で裁判にかけられたとき、法廷に彼の絵が持ち出されると傍聴席から笑いが起きたといい . . . 本文を読む

今日聴いた音楽~シュッツ:イエス・キリストの十字架上の7つの言葉

2005-04-21 | music
 イエス・キリストの十字架上の7つの言葉と言えば、ハイドンの管弦楽曲やオラトリオが有名ですが、その140年ほど前(1645年)に書かれた小規模ながら、優るとも劣らない傑作がシュッツ(1585-1672)のこの作品です。彼の約500曲の作品のほとんどが宗教曲で、バッハの生まれたちょうど100年前に生まれています。バッハという大海にそそぐ多くの川の中で、ルター派の宗教音楽(すなわち受難曲やカンタータ . . . 本文を読む

贋物の眼

2005-04-20 | tale
  すべてがデータになる前に(10) 「ねえ。これ見える?」と言って、あの女が雑誌の1ページを見せてきた。細かい線で書かれた訳がわからない絵、立体視の。視力がよくなるとか記事が書いてある。「うん。イルカが……3匹跳ねてる」「えー、どうしてそんなにすぐ見えるの? あたしなんかずっとやってても見えないのに」  ぼくに話しかける仕方としては、いい方だと思う。「左右の視力がだいぶ違うせいかな。ちょっ . . . 本文を読む

今日聴いた音楽~Schubelt:StreichQuartett Nr.14「死と乙女」

2005-04-17 | music
 この曲ほど死の恐怖を生々しく、赤裸々に描いた曲も少ないのではないかと思います。マーラーは言うに及ばず、ショスタコーヴィッチでも、もう少し洗練されたというか、もって回ってというか、シューベルトほどあからさまではありません。上に掲げたエゴン・シーレの悲痛な絵がこの曲に触発されたのかどうか、不明にして知りませんが、その内実において一致するものがあると感じます。  4楽章全部が短調というのも異様で、シ . . . 本文を読む

ウィーンで見た音楽~Mozart:Symphony No.36”Linz”

2005-04-16 | music
 最初の音が鳴った瞬間、今まで聴き慣れていたはずのリンツとは全く別の音楽が始まりました。クライバーの名前は知っていましたが、CDすら聴いたことがなく、初めてムジークフェライン・ザールで見る指揮のカッコいいことと言ったら……それ以上に出てくる音のすべてが驚異でした。  ウィーン・フィルの演奏は何度も見ましたが、この時ほど必死になって弾く第1ヴァイオリンは見たことがありません。アバドも、ムーティも、 . . . 本文を読む

今日聴いた音楽~Haydn:Oboe,Trumpet,Harpsichord Concertos

2005-04-14 | music
 ハイドン(1732-1809)は、先輩・上司にしたい作曲家No.1ですねw。ユーモアがあって(「驚愕」)、部下に思いやりがあって(「告別」)、ちゃんと才能を評価してくれて(ハイドン・セットの逸話)、何より性格が穏やかで、しかも苦労人。彼の音楽を聴いてるとそう思います。例えばモーツァルトなんかだと、すぐに「おまえなんかバカ、バーカ。ケツをなめろ!」なんて言われそうだし、ベートーヴェンだと……うわ . . . 本文を読む

外に向かって閉じた街

2005-04-13 | tale
  すべてがデータになる前に(9)  ぼくは空想の街を造る。それはきっとトレドにどこか似ているはずだ。狂気の雲が狂人の街を覆っている。エル・グレコって人の描く人物は、みんな狂った熱病患者なんだ。ここの人たちも住まわせてあげよう、この橋のそばに、この城壁のそばに。熱病の人たちを冷ましてあげるために、深い淵にいる人たちを狂熱で引き上げてもらうために。ぼくは雲の下を飛んでいるから。  あの女もそう . . . 本文を読む

ウィーンで見た音楽~モーツァルト:レクイエム

2005-04-12 | music
 ウィーンのど真ん中に建つザンクト・シュテファン大聖堂で、モーツァルトの没後200年だかを記念してレクイエムが演奏されるということで、チケットが手に入ったので行きました。行かれたことのある方はご存知だと思いますけど、ケルンの大聖堂と同じく、外は真っ黒、中も薄暗くて観光向きではありませんが、今日ばかりはテレビの照明機材も入って華やかな感じです。  でも、座席をこれでもかと詰め込んであるので、私の . . . 本文を読む

今日聴いた音楽~Bjork:Post;Telegram;Selma Songs

2005-04-11 | music
 ニュース番組にビョークがゲストで出てきたときには、そのおちつかない様子から、なんだかシーツをかぶって爪を噛んでいるような女の子だなと思いました。歌い始めると、何だかどきどきしてきて、「あ、この子は自分の中に歌を持っているんだ」と感じました。しかもその歌は痛々しいほどで、あのジャニス・ジョプリンを思わせるものでした。声がハスキーなだけではありません。ふつうの人は歌をどこからか作り上げているのに、 . . . 本文を読む

数学者は論理的な夢を見るか?

2005-04-10 | philosophy
 どうも前回の「役に立たない勉強」へのコメントを拝見していると、誤解されるような書き方、特に表題がよくなかったかなと反省しています。私は数学が論理的思考を養うのに役立つと思っていますし、本当は(人工言語でかつ修飾語のない数式で記述されることなどから)数学は厳密にものを考えるのに不可欠だと思っています。また、科学の成果を(一般向けの啓蒙書などによらず)自分で確かめようとすれば大学初級程度の数学の . . . 本文を読む