夢のもつれ

なんとなく考えたことを生の全般ともつれさせながら、書いていこうと思います。

「アニー・ホール」を見たけどね

2008-06-25 | art
この映画ってアカデミー賞を4つも取ってるけど、セックス・コンプレックスと自意識過剰と他人のあら探しとその他もろもろを素早く無表情につぶやくユダヤ人ってそんなにインテリに見えるのかな? それとも公開された74年って映画の将来に絶望して精神科医をハシゴしてた映画関係者が多かったのかな? 30年経って日本にもこの作品の登場人物とよく似た人たちが多くなった(マリファナやコカインは一般的じゃないけど)け . . . 本文を読む

「活きる」を見ました 

2008-06-24 | art
この映画は1940年代から国共内戦を経て、文化大革命後までのある夫婦の物語といった趣きの作品です。歴史を庶民の視点から描くものも、ホームドラマの背景に歴史を絡めるものも両方ありますが、これは一応前者に属するものと言っていいでしょう。かつて日本でもおびただしい数のそうした歴史ドラマが作られました。かつてのNHKの朝の連続ドラマは空襲などの戦時下の生活と戦後の復興を軸にストーリーができていたような気が . . . 本文を読む

「アメリ」を見ました

2008-06-22 | art
この映画を見て、きっと「自分のために作られた映画だ!」と思った女性が多いでしょう。クレーム・ブリュレのお焦げをスプーンでつぶしたり、平たい石を見つけてポケットに入れて水切りをしたりするのが好きで、アメリカ映画でわき見運転をするのが嫌いだったりする、そういうのって自分だけの些細なことかなと思って誰にも言わなかった「秘密」なのに。 私がもし映画監督だったらこの作品を見たらものすごく嫉妬すると思いま . . . 本文を読む

「麦の穂をゆらす風」を見ました

2008-06-21 | art
この映画は「社会派ケン・ローチ監督が、激動の歴史に翻弄される2人の兄弟を軸に、独立戦争から内戦へといたる1920年代のアイルランド近代史を描いた悲劇の物語」です。とレンタルしてるところのHPをコピペしちゃってますが、まあ、だいたいこういうまとめ方でいいような感じの映画です。 支配者であるイギリス人はひたすら乱暴で残酷。待ち伏せした私服のアイルランド人たちに軍服を着たイギリス兵がバタバタ射殺されて . . . 本文を読む

「レザボア・ドッグス」を見ました

2008-06-18 | art
この映画の監督のクエンティン・タランティーノが「鉄男」のファンだというので見たんですが、「そりゃ逆さまだろ!」と言われそうですね。でも、私にはそういうことがよくあります。ただ作品の印象は全然違っていて、ぶっきらぼうな感じです。 最初にキャスト全員を出してやたら四文字熟語(違うけど、あれですw)が出てくる会話が延々続いたり、いきなり銃撃されて死にそうなやつを運転しながら励ます場面になったり、肝心の . . . 本文を読む

「鉄男」を見ました

2008-06-18 | art
この映画を見ていて、とてもなつかしい気持ちになりました。昔ながらの小汚いアパートの一室や古い町工場が舞台になっているせいもありますが、登場人物と機械やチューブがしっくりとなじんでる感じがするからです。89年の白黒映画ですが、たぶん当時としてもレトロっぽい感じがしたと思います。それにしてもその後、ITだのヴァーチャルだの重さのない、さわれもしないものに脳みそを侵食された我々にはこの作品のような豊か . . . 本文を読む

「大帝ピョートル」を読みました

2008-06-15 | review
 ピョートル大帝(1671年~1725年)といっても予備知識はほとんどなかったんですが、ドストエフスキーやバルザックの伝記において、アンリ・トロワイヤの含蓄のある文章に魅せられてことがあるので読んでみて、とても驚きました。功績の面から言うとロシアの近代化をたった一人で思い立ち、実行した偉大なツァーリであり、負の面から言うと残虐の限りを尽くした暴君です。  この二面性は分かち難いもので、例えば無礼 . . . 本文を読む

平明なスラヴ音楽

2008-06-14 | music
 6/9にサントリーホールで行われた読売日響の名曲シリーズに行って来ました。プログラムはアレクサンドル・ラザレフ指揮で、ドヴォルザークの交響詩「真昼の魔女」、プロコフィエフの交響的物語「ピーターと狼」、ボロディンの交響曲第2番でした。  会員になっている定期演奏会は別の用事があったので、翌週の月曜日に振り替えたんですが、座席は3月までの席とほぼ同じで、なじんだ場所から聴くことができました。スラヴ . . . 本文を読む

「飢餓海峡」を見ました

2008-06-13 | art
この映画にはありし日の伴淳三郎や若かりし日の三国連太郎、高倉健が出ていますが、中でも純情一途な娼婦役を演じて映画の中間部分の主役的な左幸子が印象的でした。私の彼女についてのイメージとはかなり違った感じの妖艶な演技もあったりします。ただ大金をくれた男の爪を大事に保管し、取り出していとおしむ場面があるんですが、演技がいいだけに女性のフェティシズムってあるのかなって思いました。 ラストでは三国連太郎演 . . . 本文を読む

「アパートの鍵貸します 」を見ました

2008-06-12 | art
この映画は1960年の公開ですから、もう50年近く前のものです。古きよきアメリカをビリー・ワイルダー監督が描いた古きよき映画です。そんな時代のアメリカのことなんて知っているはずもないのにどの場面を見ても無性になつかしく感じます。保険会社で出世を夢見るバクスター(ジャック・レモン)が最初にいる大部屋ではたくさんのサラリーマンが計算機を操作しています。彼らはいつ頃コンピュータに取って代わられたのかなと . . . 本文を読む

「長江哀歌(エレジー)」を見ました

2008-06-11 | art
これは不思議な感触の映画です。冒頭のダムに沈んだ住所に連れて行かれるところまでの人を食ったような話の運びは、昨今の日本やアメリカの映画に飽きが来ている私にはとても新鮮でした。その後もなんの脈絡もなくUFOが長江の上を飛んだり、オブジェが廃墟になったような建築物がロケットのように飛んで行ったり、脂ぎった男たちが山盛りの麺を食べながら狭い船室に次々と現れたり、京劇の扮装をした数人が携帯ゲームをやって . . . 本文を読む

本をランキングで読む

2008-06-06 | monologue
NHKの「クローズアップ現代」で先日、「ランキング依存が止まらない~出版不況の裏側」というのをやっていました。本屋でランキングを見て本を買う人が多くなってるから時間を掛けて売ろうとする出版社がやっていけなくなっているといった内容です。 それを見てて、ランキングなんかを頼りにして本を選んで「自分らしさ」が生まれるとでも思ってるのかという皮肉な感想が思い浮かびました。読書は知識や知性を得るのに不可欠 . . . 本文を読む

「東京タワー オカンとボクと、時々、オトン」を見ました

2008-06-04 | art
この作品は母を想う子と子を想う母の心温まる感動作です。やんちゃな少年時代、東京での自堕落な生活、ようやく社会に認められるようになっていく息子……それをいつも見守ってなけなしのおカネを工面してくれた母親。誰でも少しずつ覚えのあるような気恥ずかしいような、切ないような場面の数々です。樹木希林とその若い頃を演じる内田也哉子がとてもいい演技をしています。特に福岡の炭鉱町から東京に向かう樹木はまるで死出の . . . 本文を読む

「スティーブン・キング/シャイニング・特別版」を見ました

2008-06-03 | art
 「シャイニング」はキューブリックの作品が有名ですが、それに不満を持っていた原作者のスティーブン・キングがプロデュースしてテレビドラマで作ったものです。どっちがいいとか悪いとかいう以前に2つの作品は原作と映画化の関係を鮮やかに表わしていると思いました。  私は原作自体は読んでないんですが、キングの小説はいくつか読んだことがあって、このドラマを見ていると彼のもって回ったような文章が思い浮ぶような . . . 本文を読む

「小説家を見つけたら」を見ました

2008-06-02 | art
この映画はセリフの中にもちらっと出てくるサリンジャーをモデルにしたものだと思うんですが、そうでなければ主人公のフォレスター(ショーン・コネリー)が処女作だけで文学部の講堂に肖像画が掲げられるような偉大な作家になっているという設定に無理があると言われるでしょう。つまりおとぎ話のようなもので、「マイ・フェア・レディ」のイライザをロンドンの下町からブロンクスの黒人少年ジャマール(ロブ・ブラウン)に移し . . . 本文を読む