夢のもつれ

なんとなく考えたことを生の全般ともつれさせながら、書いていこうと思います。

西風の見たもの

2005-03-31 | tale
  すべてがデータになる前に(7)  たけるの病院にまた行ったのだった。ちりちりと警告音は響いていた。でも、あたしは浮かれたような気分で、女の子に行ってみようと言った。彼女はやめたほうがいいとささやいた。あたしがどう反応するかを測っていたと思う。淵の深さを測るように。  たけるは変わっていた。小さくなって、干からびて、すとんとベッドに座っていた。骨張った顔に埋め込まれたような目がきょとき . . . 本文を読む

今日聴いた音楽~Franz Liszt 交響詩:「オルフェウス」、「プロメテウス」ほか

2005-03-30 | music
 格安で買ったリストの交響詩全集のうちの1枚です。Symphonic Poemは、リストが創始した形式で、ドヴォルザークやスメタナ、フランクやドビュッシー、リヒャルト・シュトラウスなどなどを経て、シベリウスまで作り続けられたわけで、個人が一つの音楽ジャンルをここまで確立した例は寡聞にして知りません。  リストの娘婿のヴァーグナーの創始した楽劇がRシュトラウスくらいしか見るべき後継者がなく、しかも途 . . . 本文を読む

日本人は無宗教?

2005-03-29 | philosophy
 死の商人と言えば武器・弾薬を売る人のことを言いますが、私は宗教家というのも同じような気がしています。ふつうの日本人が何かの宗教に入信する動機は、たいていが自分か家族の病気や死です。つまり人の弱みにつけ込んで誘うわけで、不幸は信者獲得の絶好の機会であるわけです。  急いで言っておきますが、死の商人というのはもちろんたちの悪い冗談で、ふつうの人たちはそれだけ死というものに無関心か、無意識に遠ざ . . . 本文を読む

今日聴いた音楽~Gustav Mahler:Symphony No.7

2005-03-28 | music
 ちょっと困った曲です。はっきり言ってしまえば、後期のマーラーにしては内容的深みに乏しいような、もしかしたら全部の交響曲の中でいちばんとりえがないかも、ちゃらちゃらマンドリンなんか使ってるし、5番のハープと似て非なるものだぁ……なんてことでお仕舞い、ここで取り上げるのもやめとこって思ってたんですよ。何回聴いてもだいたい同じような印象だし。 「おまえもちょっとは兄さんや弟を見習ったらどうなんだ?」 . . . 本文を読む

ホリエモン的ゲーマー

2005-03-27 | diary
ちょっとニュースネタでも。ホリエモンって劇場犯みたいなものなのかなって思ったので。 ライブドアがフジテレビを買収するかどうかって、ずうっとニュースでやってますね。去年はプロ野球参入だったし。両方ともおじさんたちが旧体制を守ろうとするのを若者wが「革命家」ホリエモンを応援するって構図みたい。 それで、野球では楽天が、テレビ局ではソフトバンクが出てきて邪魔をする。IT業界でもおじさんとつるんじゃ . . . 本文を読む

ニースと同じ緯度の町

2005-03-25 | tale
 すべてがデータになる前に(6)  うーん。何か違う、もっと気持ちいい。もっと怖い。……あたしの右肩後ろ三十センチくらいのところにひらひらしたとても小さな女の子がいて、あたしとおしゃべりする。 「何か醜い女しか乗ってないよね」 「つまんないことしか考えてないからじゃないの? あはは」 「笑っちゃだめだよ、変に思われるからね」 「うんうん。でもすごくせいせいした気分なんだ。ここんとこ . . . 本文を読む

今日聴いた音楽~Zelenka RequiemZWV48, MiserereZWV57

2005-03-24 | music
バッハが1685年に生まれ、1750年に亡くなっていますから、ゼレンカはヘンデルやテレマンと同様、全くの同時代人です。しかし、私はボヘミア生まれで、ドレスデンで活躍したこの作曲家の名前すら聞いたことがありませんでした。何年か前からレクイエムを可能な限り(CDが出ている、お金がある限り)聴いてみようと思って、それが縁でゼレンカに出会いました(1,000年以上の歴史を持つレクイエムについては、またお . . . 本文を読む

今日聴いた音楽 Falla;恋は魔術師、ハープシコード協奏曲、三角帽子ほか

2005-03-23 | music
このDECCAのEssentialシリーズは、二枚組みでその作曲家の主要な作品が収録されていて、しかも安いということで、とりあえず押さえておこうかなといった、ファリャのような作曲家については(ファリャのファンの方にはごめんなさい)、とても重宝です。 隅から隅までスペイン!って感じで、リズムが弾んで威勢がよくて、エキゾティックで、妖しい魅力があります。 ドビュッシー、ラヴェル、ビゼー、シャブリエと . . . 本文を読む

今日聴いた音楽~Kreisler愛の悲しみ、愛の喜び、バッハのガヴォットほか

2005-03-22 | music
1926~38年にかけての録音。音は古いし、演奏技術的にも今のJ‐クラシックのおねえさんの方が達者に弾くでしょう。でも、第2次大戦前のヨーロッパの紳士、淑女が集うサロンを髣髴とさせる演奏は捨てがたいものがあります。音楽を突き詰めるというよりは、ヴァイオリンと会話し、楽しませることの方が音楽家にとって大切だった時代の。…… そうした彼の演奏は、このアルバムのような小品に生かされています。特に自作の . . . 本文を読む

眠いのは、春だけじゃなく

2005-03-21 | tale
  すべてがデータになる前に(5)  ここのところ始終眠くて仕方がない。電車の中で座れば眠り込んで乗り過ごす、立ったまま眠ってしまい吊革を持ってがくりとなる。仕事中の待ち時間でも、どうかすると打ち合わせのときでも意識が途切れてしまう。  「お疲れだね」とからかわれてしまうが、ちょっと変に思われ始めているような気もする。夜は眠れない。昼間ぼおっとしていてできないことをやり始めると、目も頭も冴 . . . 本文を読む

豊饒の……

2005-03-20 | literature
 いわゆる三夕の歌の一つ、藤原定家の「見わたせば花も紅葉もなかりけり 浦のとま屋の秋の夕暮」について、三島由紀夫は「なかりけり」でこの歌がもっている、つまり要の字句だと主張しています。花も紅葉もと言いかけて、それを言葉の上で否定していても、花や紅葉という言葉が出てきた以上、そのイメージは残る。なかりけりと言うことによって、かえって寂しげな海岸風景にうっすらと華やかなヴェールがかかったようになる . . . 本文を読む

東京物語

2005-03-16 | art
 この作品を観た後は、映画に対する見方、考え方が変わってしまいました。そういう意味でこれはメタ映画だと思います。……ずっと前の休日にベッドの中から何となくつけたテレビで、監督の名前も知らないで、かったるいモノクロ映画だなって思って見始めました。そのうちにだんだん得体の知れない感情が迫ってきて、見終わったときにはまぎれもない傑作に出会ってしまったとしばらく呆然としてしまいました。  この映画 . . . 本文を読む

朝はカクテルを飲まない

2005-03-15 | tale
 すべてがデータになる前に(4)  たけるは入院していた。検査入院だと聞いていたが、もう二週間になる。ナースステーションで病室を聞き、名札を確かめて入ってみると四人部屋の左側の窓際のベッドだけが空いていた。ここに来るまで、予感と不安で表情が強張らないようにとばかり考えていたのが、拍子抜けして折り畳み椅子に座った。  持参した花束をベッドの上の細長いテーブルに置こうとしても本が積み上がっていて . . . 本文を読む

フィットネスはじめてます(2)

2005-03-14 | diary
続きで、フィットネスクラブでどんなことをしてるのか書きます。 クラブに行くと、初心者向けのコースの時間と合えばそれに参加して、あとはジョギングを30分くらいするか、トレーニングマシンを同じくらいします。土日とかで時間があれば両方ってこともあります。 その後はプールでちょっと泳いだり、歩いたり、ジャグジーしたりです。 その程度でも着替えなんかに時間がかかるので、あっという間に2、3時間経ってしまい . . . 本文を読む

フィットネスはじめてます

2005-03-12 | diary
元々スポーツは苦手で、やらない方だったんですが、運動不足をいろいろ痛感するようになって、無料体験に引かれて、1月にフィットネスクラブに入会しました。 当然、うまく身体は動かないし、あちこち筋肉痛でしたけど(って今もそうですけど)終わった後の気持ちよさと、やっぱり調子いいみたいなので続いています。風邪ひいて1週間行けなかった2月でも12日も通えました 期待すると効果がなかったときだから、期 . . . 本文を読む