うんざりする程の暑い日が続き、暑さに感けて不要不急の外出は避けて自堕落な毎日を送ってきましたが、「どけんかせんとあかん」、何とか体を動かさなくては。で、体を動かせない原因は何か?それはもちろん“暑さ”。涼しいとこに行けば体を動かせると、向かったのが標高2612メートルの「千畳敷カール」。実は11年前の2012年に行ったことがあるのですが、このときは「この先は登山装備のない方は立入禁止」の看板に阻まれ、フツーの運動靴スタイルの私は、ロープウェイを降りた周辺の散歩道を歩いて退散していました。
そこで、今回はその先へ行ってみることにして、ザック、登山シューズ、ポール2本も準備してやってきました。前日に麓の駒ヶ根に宿泊し、バスとロープウェイを乗り継いで、懐かしい千畳敷カールに到着しました。前回は涼しさに感動したのですが、今回は麓も東京よりははるかに涼しかったのと湿度が高めだったので、感動する程の涼しさではありません。それでも、ちょっと動いたぐらいでは汗はかかないので快適です。
ホテル千畳敷前のテラスから氷河が削ってできたカールを眺めると・・・“広い”、これから登る先の乗越浄土は千畳敷カールをすり鉢状に囲む山の一角にあたりますが、結構高く見えます。一応ワンゲル部出身で、見えるとこは近いということは経験上わかってはいますが、そこへ続く登山道は岩がごつごつしているのが遠目にもはっきりわかります。今回のコースは最初が急登で、その先は比較的緩やかなので、そこさえ越えればの思いもあってのスタートです。
雷鳥の彫刻がある神社で安全祈願をして、前回も歩いた散歩道を進みます。剣ヶ池までは下りで、高山植物を眺めながらゆっくり歩きます。ホテルよりも下がった位置にあるため、これから登る道が一層長く見えます。
今回(2023年8月)
2012年8月
そこにあった「千畳敷カール」の看板は、新品だったのが11年間の風雪に耐えて色あせていました。前回は越えることが出来なかった「登山装備がなかったら立ち入らないでください」の看板を過ぎると、岩が転がる急坂になります。振り返ると、剣ヶ池がずいぶん小さく見えます。
早くも下山してくる人もいます。上の山小屋やテントで泊まった人もいるので、早い時間帯から下山者がいるようです。登り始めて40分ほど、ようやくカールを登り切って広々とした乗越浄土に到着しました。大きめの山小屋があって、少し安心します。高度が上がったので持ってきたお菓子の袋がパンパンに膨れています。少し休憩の後で、中岳へ向かいます。随分緩やかに見えますが岩のごつごつは変わらないので、歩きやすい道ではなかったです。それでも、ここまでの道に比べたら緩やかで、小気味よく前進していき、程なくして大きな岩の中岳頂上に到着しました。
目指す駒ケ岳までは下って登ります。キャンプ場の横をかすめ、雷鳥保護のケージを見上げ、岩の転がる道を進んで行きます。しばらくなだらかな道になりますが、両側にはロープが張られています。高山植物保護の目的もありますが、こういう場所で霧に遭って道を外れると元の道に戻るのが困難になるので、遭難防止にも役立っています。新しい道標が立てられた脇に古くなって字が消えかかった道標が寝かされています。自分の力で登っている気になってはいても、その陰にしっかり整備してくれる人たちがいることを再認識しました。
道は最後まで岩がごつごつしていましたが、最後の坂を登り切って駒ケ岳山頂に到達しました。遠くの山々は雲でところどころしか見えませんが、登り切った満足感は変わりません。標高2612メートルまでロープウェイに連れてってもらいながらも、岩の転がる道に難儀したことは達成感を得るのに充分だったようです。
また機会があったら、山に入りたいと思います。