on-ice off-ice

氷上のスポーツ、カーリングをやっています!カーリング以外のことも書くのでon-ice off-iceです!

「第24回ひねもす朗読会」で気づいたこと

2015-05-28 22:59:50 | 日記・エッセイ・コラム

3ヶ月おきに開かれている「ひねもす朗読会」で長編小説『路傍の石』の一話『次野先生』を読みました。
時代は戦前、成績は良かったのに貧しさから中学へ進学できず苦労した吾一少年が、奉公に出された後、職を転々とし、東京の印刷工場で働いているときに、学校の先生にばったり再会する話です。しかし、この先生は吾一の恩人から「吾一に会ったら渡して」と、預かった金を妻の病院代に充ててしまっていました。先生は小料理屋で吾一に御馳走しながら、そのことを打ち明けて自分が教師をしている夜学へ通う話を持ち掛けるという内容です。

読む会場の建物が元印刷会社だったのと、小説全体が辛い中で、比較的明るいシーンなので、今回の演目に選んだのです。時代的な背景は、奉公先では理不尽にこき使われ、就職先でも見習い期間中で住み込みの場合は賄いのみの給料なしという、今では考えられない状態で、「こんな時代は二度と来てほしくない」と思いたくなる時代です。

読み終えて、聞いてくれていた人の感想に、「この続きはどうなるんでしょう。この少年が騙されるんじゃないかと思って・・・」というものがあって、「うーん確かに昨今の『振り込め詐欺』手口にありそうな言い回しだよなあ~」と納得させられました。

『振り込め詐欺』は、自分は騙されないと思っている人ほど、騙されると聞きます。通しでこの小説を読んで先生の人柄を理解していたとはいえ、全く疑わなかった私は騙される要素があったようです。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする