筋書きのある朗読劇を終えた週の週末、筋書きのない「全農日本ミックスダブルスカーリング選手権」に行き、スタッフを2日間担当しました。
木曜日の夜から金曜日の朝にかけて軽井沢は30センチ近い大雪が降り、踏むと足首の上まで埋まるほどの積雪です。軽井沢でこれほどの雪は珍しく、バスやタクシーはタイヤチェーンを巻いてじゃりじゃりと音を立てて走っています。
選手権は2次リーグに入り、1日の試合数は減りますが、逆に緊迫感が高まってくる頃合いです。会場の軽井沢アイスパークに到着すると、リンクは既にアイスメイクの真っ最中で、明日からのCSテレビ中継の機材も運び込まれていて、いつもとは違う雰囲気を醸し出しています。
ミックスダブルスカーリングのルールには、各エンドはストーンが置かれた状態で開始する、両チーム合わせて4投目まではテイクアウト(弾き出す)できない、ハウスに指示する人がいなくてもよいなど、4人制とは異なる部分があります。公式戦でなければ、これらを間違えたりしても、お互いのチームで「まあいいでしょう」と続行することもありますが、日本選手権ではそういうわけにはいきません。ルール違反があったときの対応も頭に入れておきます。
審判で競技への対応以外で大変なのは“寒さ対策”です。リンクの室温は約7℃、真冬の東京で「今日は寒かったねぇ」という日の最高気温といっしょです。選手は激しくスィープしたりしているので、指示をするスキップ以外はほとんどが半袖になっていますが、2時間を超える試合の間じっと座っていると体の芯まで冷え切ります。以前は電気ひざ掛けがあって、それなりに耐えられたのですが、使用電力がオーバーしてブレーカーが落ちてしまうので使えなくなってしまい、先日の関東選手権の審判では念のためにと持って行ったダウンパンツを穿いて、靴用カイロを使っても全く効き目がありませんでした。そこで、タンスの中を探して、久しく使っていないスノボパンツを取り出したら、ダウンパンツよりもはるかに暖かそうです。軽井沢オープンに持っていき、試合の合間にそれを穿いてリンクサイトに行ってみたら「これなら大丈夫、寒むない」効果はありそうでしたが、4人制日本選手権の審判をされていた方から「審判の服装のドレスコードで黒でないとだめ」と言われて却下。Bプランは、これまた久しく使っていないノルディックスキー用パンツ、スノボのよりは薄いけど色は黒でダウンよりは暖かいです。2日間、これで通しましたが、何とか寒さには耐えられました。
競技の方はトップ選手の対戦だけに白熱しており、試合前にストーンを2投(時計回りと反時計回り)して、ハウス中心からの距離を記録するLSD(その試合の最初の先攻後攻の決定やリーグ戦同率時の順位決定の指標になる)は、ほとんどがハウス中心近くに止まり、中心に近すぎて別の点から2点計測して計算で距離を出すものもいくつもありました。得点確認でどちらのストーンが中心に近いか選手同士での判断が難しいときに巨大なコンパスのようなメジャーを使って行う計測、ミックスダブルスではストーンが溜まりやすいのでこれが多いのですが、今回のは何度測っても決着がつかず、副審判長が数回測定し直して判定するという場面もあってヒヤリとしました。
2日間4試合でしたが、今までに経験がない事例に遭遇し、カーリングの奥の深さを感じ取れた大会でした。
全農さんから選手への嬉しい差し入れ
帰りの軽井沢駅には雪が残っていました