エッセイ  - 麗しの磐梯 -

「心豊かな日々」をテーマに、エッセイやスケッチを楽しみ、こころ穏やかに生活したい。

オホーツク街道

2008-02-05 | 文芸
DVD「街道をゆく」シリーズを楽しんでみている。今日も、「オホーツク街道」を視聴した。もう何度も同じ映像に接しているが、視聴の度に、鮮明な映像、重々しい哀愁のある音楽にこころを揺さぶられ、癒されている。いつも涙が出るほど心の豊かさを感じている。
雪の原に立ち、遠い先住民に思いをはせた司馬遼太郎は何を考えていたのだろうか。
1500年前のオホーツク人の面影を追う旅は、日本列島に暮らす人々を、アジア全体から見つめ直そうとする旅、アジアと日本のつながりを探る旅だった。
 モヨロ貝塚の発掘調査で、アイヌとは別の先住民オホーツク人の存在が明らかになった。
数々の出土した残された遺跡から素朴なオホーツク人の暮らしを思った。アイヌとオホーツク人は住み分けしていたようだが、オホーツク人も熊送りの文化を持っていた。司馬は「文化は過去から未来へイオマンテされる。」と言っている。現在をあらしめている過去の荘厳さを思わざるを得ない。

司馬が北の大地に惹かれたように、私もなぜか北には魅力を感じる。オホーツク人の暮らしを思いながら、今流氷に埋まっているオホーツクの海を想像した。そして、今自分があることと遠い昔の先住民を結びつけ、その延長上の自分の生き方を考えた。いつか私も厳寒のオホーツク海岸を旅して、北の大地から過去の人間の営みを考えてみたい。

 司馬は間宮林蔵の行ったルートを辿ってみたかったようだ。樺太(サハリン)から、広大なアジア、中央アジア、ハンガリー高原までの広がりを思う。
 司馬は著書「オホーツク街道」の〈旅の終わり〉で「私どもの血の中に微量ながらも、北海の海獣狩人の血がまじっていることを知っただけで、豊かな気持ちを持った。」と書いている。
 DVDのパッケージには「土を踏む、風に聴く、声に出会う、そしてはるかな時を見る。今日本という土を識る」とある。土には「くに」とルビがふってあった。
 私も出来れば、そんな気持ちをもって小さな旅に出たいと、いつも思っている。



【スケッチ 麗しの磐梯  (崎川浜より)】
  

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