大杉漣の突然の死には驚かされた。
最近、北野武監督の「アウトレイジ最終章」を観たが、大杉漣は、インテリ上がりのヤクザ組長を演じた。細部のリアリティとともに、どこか憎めない役柄を見事に演じていたと思う。彼の映画を観たのはこの一本だが、若いころの彼は日活ロマンポルノにも数多く出演していたらしい。
私が好きだったのは、BSフジ「大杉漣の漣ぽっ」(関東ローカル)という番組。高田純次の「じゅん散歩」同様、ただただ街を歩くだけの番組だったが、大杉漣の素の顔が垣間見えた。若いころは、大酒のみで、演劇論に熱くなり、けんかっ早く、女好きだったと想像するのだが、60前後になって角が取れ、散歩番組を実に楽しそうにやっていた。同行するスタッフに対する自然な気配り、街の人へインタビューするときの優しさ、心遣いなど、結構心温まる番組だったと思う。
60過ぎてのあの肉体、身体能力は、なかなか真似ができるものではない。血のにじむような努力、節制なくしては、とてもありえないと思った。健康そのものに見えたのに、この訃報。心よりご冥福を祈りたい。
大杉漣さん散歩番組 BSフジ「大杉漣の漣ぽっ」鎌倉編を追悼放送 急きょ繰り上げ 今後は未定
21日に急死した俳優の大杉漣さん(享年66)が出演していたBSフジの散歩番組「大杉漣の漣ぽっ」について、同局は22日、3月3日午後5時から予定していた「鎌倉編2時間スペシャル」を今月25日午後2時から放送すると発表した。追悼の意味を込め、急きょ1週間繰り上げ。番組冒頭と終わりに追悼文言を表示する予定としている。
鎌倉編は今年1月3日にフジテレビで地上波初放送された回。普段は1人で歩く大杉さんが、親交のあるゲスト、板谷由夏(42)勝村政信(54)要潤(37)田中要次(54)山崎まさよし(46)と共に鎌倉の街を歩いた。ロケは昨年12月8日に行われた。
番組は2013年4月13日にスタート。ほぼ月に1回、午後5時からの1時間枠でオンエアされ、放送回数は59回。
レギュラー放送で最後のロケとなったのは第59回「姫路編」(1月20日放送)。撮影は昨年12月20日に行われた。今後の放送について、同局は「未定」とした。
番組公式サイトは「永年にわたり、当番組にご出演していただいた大杉漣さんが2月21日に逝去されました。心よりご冥福をお祈り申し上げます」と追悼している。