注釈の注釈による超現実詩小説
棺詰工場のシーラカンス
【170】配送先・今やどこかの家の窓ガラス
ノキタハ博士は、歴史家である【310】シュシ・イタマのアトリエへと運ばれ、窓【176】としてはめ込まれた。その時点からガラスと呼称され、一枚、二枚と枚数で数えられるようになった。
窓の取りつけ工事の際に密告されて、飼い犬を奪われたというのに彩りのない部屋で、シュシ・イタマは一抱えもあるつややかな楕円状をした半透明の薄塊【340】に歴史を刻み込んでいた。博士はその姿を眺めながら、おやおや【63】、と呟くしかなかった。
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【158】無視あるいは回避・硝子化・透病――ノキタハ博士の論文3【85】脳波
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