【七一】クチコミ・報道帰省

　十二面全域にわたって生息する魚【七八】たちの俗称で、声帯系とも呼ばれる。そこでやりとりされる情報はありふれた世間話で肉づけされており、尾ひれ【八○】がつくと自立的に宙を泳ぎ回って広まっていく。捕獲したあとは腐りやすいためすぐに肴にする必要があるが、料理人や猫【一五三】がさばいたものでなければ尾ひれの大仰さに負けて舌鼓【八一】を打つこともできない。未来から遡ってくるという魚は、ただでさえ不確定な味がするのだ。こういった諸問題を解消するために区役所から派遣されるグルメ評論家が、大量の肴を餌に相対的な決断を下すと、これを受けた記者たちが尾ひれをつけて新聞社【一五二】に報道帰省させる。魚たちはある種のプロセス【一五三】を経て記事になると、活字【二三】の隊列に憑依して各紙面に行進し、自らを照らし合わせてあらいざらい明確にするのだ。

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