5/16(土) 16:56配信
PCR検査を症状のない人も受けられるようにして感染の実態を把握することが重要といった主張はいまだに聞かれる。
仲田氏は「そもそもPCR検査は技術的に難しい中で、限りなくデータを増やすことに何の意味があるのか全く分からない」と語る。
その理由も明快だ。「仮に感染者の実数を把握するため、都民全員に検査したとしても、陰性だった人たちの1週間後の結果は誰にも分からない。陰性となった人は安心して行動も変わるだろうし、かえって混乱を招く恐れもある」と仲田氏は指摘する。
「PCR検査の感度(実際に感染しているときに正しく陽性が出る確率)が約7割とされる中、医師が本当に恐れるのは、感染者を陰性と判断してしまい、感染を拡大させてしまうことだ。新型コロナウイルスの場合、重要なのは肺炎など重症化する患者であり、検査を増やすことで医療現場に混乱を生じさせてはいけない。今後、精度を上げる必要性はあるが、症状がみられる人にのみ検査を実施するという政府の方針は現状では理にかなっている」と評価をする。
感染の有無を確認する別の検査方法として脚光を浴びているのが抗原検査だ。ウイルス特有のタンパク質(抗原)を狙ってくっつく物質を使い、患者の検体中にウイルスがいるかどうかを調べる。PCR検査が判定に数時間程度かかるのに対し、抗原検査は15~30分でできるのが特徴だ。
厚生労働省は抗原検査の簡易キットを13日付で承認。東京都も導入を検討している。
現在のところ、PCR検査を実施した帰国者や、接触者外来で熱やせきなど症状のある人を対象に実施する予定で、仲田氏は「感染の可能性が高い人への検査は、正しい診断をするために必要だ」と理解を示す。ただ留意点として次のように指摘する。
「インフルエンザの場合、有病率が1割だと仮定して検査キットで正しく診断される確率は約79%だが、検査をせずに症状だけで医師が正しく診断する確率は約8割だ。もちろん新型コロナウイルスはインフルエンザよりも致命率が高いため安心はできないが、やみくもに抗原検査を増やすこともそれほど意味はない。PCR検査が必要かどうかを判断するための検査だ」
医師が適切に診断できる態勢を守ることがより重要ということか。
国内の新規感染者数は減少傾向で、爆発的な感染は収まっているようにみえる。ただ、仲田氏は「落ち着いたはずの韓国でもクラスター(感染者集団)が発生したように、日本でも今後クラスターが発生する可能性は十分にあり得る。インフルエンザとは異なり、新型コロナは会話による飛沫(ひまつ)で感染拡大すると指摘されており、通常の会話でも経口感染する恐れがあるので、まだまだ注意を怠ってはいけない」と忠告した。
■仲田洋美(なかた・ひろみ) 医師。1965年高知県生まれ。95年高知医科大学医学部医学科卒業後、同大学医学部第三内科学教室(血液・呼吸器・感染症内科学教室)入局。2018年神宮外苑ミネルバクリニック開院。著書『遺伝するがん・しないがん:がんと遺伝の疑問に答える』(法研)。YouTubeチャンネル『女王降臨ひろみちゃんねる』でも活躍中。
最終更新:5/16(土) 16:56
夕刊フジ
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