
内容紹介
人工知能はブラックボックスだ。人生を左右する判断を委ねていいのか?
AI裁判、AIトレーダー、AI人事、AI政治家、そして、「人類代表」佐藤天彦名人が挑んだ電王戦――。膨大な計算力を背景に導き出される「最適解」に、私たち人間はどう向き合えばいいのか? そして、正しく「操縦」できるのか? 国内外の現場取材を基に、山積みの課題からルールづくりまで、人工知能と社会のかかわりを展望する1冊。『人工知能の核心』に続く、NHKスペシャル「人工知能 天使か悪魔か」シリーズ出版化第2弾!
◆羽生善治王座、佐藤天彦名人に加え、ポナンザ開発者・山本一成氏、人工知能の世界的権威ベン・ゲーツェルのインタビューを各章の要所に盛り込んだ、類書では読めない充実した内容!
第一章:「最適解」と神の一手~電王戦第一局
第二章:研究室からリアルワールドへ~広がるビジネス利用
第三章:管理される人間たち~「最適解」といかに向き合うか
第四章:人工知能は世界を救うか~AI政治家の可能性
第五章:盤上に現れた未来~電王戦第二局
内容(「BOOK」データベースより)
AI裁判、AI人事、AI政治家、そして、「人類代表」佐藤天彦名人が挑んだ電王戦―。膨大な計算力を背景に導き出される「最適解」に私たちはどう向き合えばいいのか。国内外の現場取材を基に、山積みの課題からルールづくりまで人工知能と社会のかかわりを展望する一冊。『人工知能の核心』に続く、NHKスペシャル「人工知能天使か悪魔か」シリーズ出版化第二弾!
著者について
NHKスペシャル取材班
羽生善治をナビゲーターに迎えた第1弾に続き、人工知能の導入が始まった世界各地の現場を徹底取材、NHKスペシャル「人工知能 天使か悪魔か 2017」を制作・放送した(2017年6月)。社会への実装段階に入った人工知能が、私たちの暮らしをどう変えていくのかを描いて、大きな反響を呼んだ。
「NHKスペシャル」はNHKの看板番組と言える。最新のテーマなどを取りあげることが多い。当然視聴率も高い。放映された番組を核に、本の特性を生かし出版された。題して「人工知能の『最適解』と人間の選択」だ。
筆者は将棋フアン。下手の横好きで将棋もするが腕前は…。トホホのホ・・である。と言うことで将棋の名人等とAIの対決は興味津々。チエスがAIに敗れたのは知っているが、もっと複雑で高度な将棋が、どうなるのか。テレビのNHKスペシャルをハラハラドキドキしながら見ました。録画もしたよ。
一気に読んだ。歯切れがよくリズム感がある文章で引き込んでいく。テレビでは放映されていないポナンザと対決(電王戦)した棋士の言葉が、心理面を中心に本ならではの力で読ませる。
将棋に興味がない人には「第2章の研究室からリアルワールドへ」から読んでも良い。変わるトレーダーの役割は身近なAIを知るうえで最適だろう。
私が驚いたのは「AI政治家の可能性」の第4章である。まさか!!
政治ほど高度な判断。すなわち人間の無意識、意識に現れる利害の総合調整である。最後に決める分野だからだ。AIが苦手だと考えられる感情の対決の調整の場でもあるので。内容は読んでの・・・である。
AIのリアルを興味深く知りたい人には値段も手ごろで新書版(手軽に持ち運べる)なので読んで見る価値が高いと考えた。
人工知能のあるべき姿とは?!
推計のビッグデータを読み込んだから、
最適解というのは、どうかと?!
問いについて考える。
利活用の方法。
読み応えのある内容であった。
NHK出版新書「人工知能の最適解と人間の選択」では、人工知能AIの社会進出に肯定的に捉えています。
人工知能AIの社会進出が、寧ろ本当の人間の価値を浮かび上がらせると言う期待を抱き、もはや止めることの出来ない潮流の行く末を今後も取材し続けたい。
自己研修機能ディープラーニングを持つAIは、人知を超えた最適解を提供して、将棋では名人棋士を凌駕し、組織人事や裁判でも活用され、政治の世界でもAI政治家の到来も予測しています。
しかし、不世出の将棋棋士である羽生善治氏は、それに懸念を示しています。
人間には学習出来ないブラックボックスが人工知能AIには存在することになり、社会が人工知能AIを受容する中で、AIが人間には受け入れ難い危険な判断をする可能性もゼロでは無い様に思うのです。
それに対して著者は、次の様に結論付けるのですが、至って曖昧で論点の整理が出来ない段階で余りにAIの社会進出にポジティブであり過ぎる様に思われるのです。
英国オズボーン氏の論文「雇用の未来」で示した様な懸念が現実のものになりつつあり、仕事がAIに置き換わる可能性や、AIが企業や国家に有利に働く様にプログラムされ、従業員や市民の選別や誘導、操作に利用される事態も静かに広がっている。
多様な価値や立場を尊重するAIの実現には、私達自身の議論への参加が求められていて、その問いに向き合い続けなくてはいけない筈だ。
本書は羽生善治との共著『人工知能の核心』に続く、人工知能(AI)をテーマにしたNHKスペシャル取材班による新書の第2弾である。第一章と最後の第五章で人工知能・ポナンザと佐藤天彦名人による将棋の電王戦二番勝負を取り上げ、それを挟む形で、AIが研究段階からリアルワールドに導入された、若しくは導入に向けて急速に研究が進んでいるいくつかの分野について取材に基づいて解説をするという構成になっている。
将棋のAIソフトについては、ポナンザが現役棋士の最高峰である名人に2連勝したことから、最早どちらが強いかという議論はあまり意味がなくなりつつある。ただ、敗れた佐藤名人が「(AIと人間の)評価の軸が違う以上は、その価値観は両立できるし、どちらも別の軸として立つことができると思います」と述べていたり、羽生氏も「人工知能によって、将棋の新たな地平が開けたと思います」と語るなど、将棋界はAIソフトの進化をかなり前向きに捉えていることが印象深い。将棋のように一定のルールに基づいて行われるゲームなどについては、人間が思いもつかないような新しい一手や定石をAIが示すことで、将棋界そのものに発展の可能性が増えるという点でAIソフトがここまで進化したことには意義があったと言えるだろう。
一方、本書の第3章から第5章に事例として取り上げられている分野の中で、人事や裁判、政治といった「人間臭く」、一定のルールというもののない分野にAIを導入することについては、本書を読んでも納得性はあまり感じられなかった。特に、起訴された人物についてAIによる再犯可能性予測データを量刑判断に活用しているという米国の事例や、面談記録から退職の可能性が高い社員をAIによって見つけ出すシステムを活用している会社の事例などを読むと、ある判断結果で人の人生が左右されるような分野、領域については、あくまでも人間の作ったアルゴリズムで作動し、過程がブラックボックスであるAIの応用はかなり慎重であるべきであろうと感じられた。ただ実際には、当事者に十分知らされないまま、既に応用されている事例が色々あるというのが現状のようであり、少なくとも今後はAIの活用について当事者、関係者への十分な情報開示と幅広い議論が、否応なしに進むAIと人間の共存する社会においては大切なことのように思われる。
全般的には人工知能についてのこれまでの捉え方しか書かれていません。
あくまでも人間側からの見方であり、中身を掘り下げるような深い内容は見当たりません。
人工知能は天使か悪魔かという簡易な選択肢は、人間が持つ感覚的なものに過ぎず、「最適解」というのも人間の感覚的なことのように思えてしまいます。
人類のことさえまだ謎が多いのに、そこに人工知能を持ってきて比べてしまうのも浅はかと感じます。
もっと別な側面で捉えた内容を記述して欲しかったですね。
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