島薗 進 (著)
内容紹介
天皇崇敬が民衆の中で高まるのはいつか。日本で唯一「大帝」と呼ばれた明治天皇の崩御から、明治から大正に変わる時期の東京に焦点を当て国家神道をとらえなおす。
内容(「BOOK」データベースより)
1912年、人々の心をとらえた「神聖天皇」。明治から大正にかわる100年ほど前、民衆の天皇崇敬が一気に高まり、その熱狂は国民の思想と言論の自由を徐々に奪っていく。その歴史的一大転換点をマスコミ・知識人の言動からドラマチックに実証し描き出す。
著者について
1948年、東京都生まれ。上智大学教授。東京大学名誉教授。宗教学、日本宗教史。編著に『シリーズ日本人と宗教――近世から近代へ』(全6巻)ほか。
2019年5月28日
感想ノート
・「プロローグ」において、「本書のねらいは、国家神道や神聖天皇崇敬がどのように人々に浸透し、社会生活を規制していったかを捉えることにある」(p.14)と記しています。2019.5.25
・「第1章 明治天皇崩御と国家神道の新たな展開」 2019.5.27
・「第2章 明治聖徳論の展開と天皇崩御」 2019.5.27
・「第3章 明治天皇の大喪と乃木希典の殉死」 2019.5.27
・「第4章 乃木希典の殉死と軍旗の神聖化」 2019.5.27
・「第5章 「軍国美談」のスーパーヒーローの誕生」 2019.5.27
・「第6章 明治天皇の崩御と大衆参加の神聖化」 2019.5.27
・「第7章 国民の「熱誠」と明治神宮創健への動き」 2019.5.27
・「第8章 二重橋前平癒祈願と大衆の「熱誠」」 2019.5.27
・「第9章 群衆が育てた国家神道」 2019.5.27
・「第10章 石橋湛山が捉えた集合的沸騰の日本」 2019.5.27
・「第11章 天皇への「熱誠」 の美化と桐生悠々の抵抗」 2019.5.27
・「第12章 知識人の神道観・天皇観の変容」 2019.5.27
・「第13章 皇室の一体性と国家神道の新展開 」 2019.5.28
・「第14章 天皇崇敬で高揚する群衆の系譜」 2019.5.28
・「第15章 日露戦争から戦後への群衆の昴揚 」 2019.5.28
・「第16章 治安と言論統制による天皇神聖化」 2019.5.28
・「第17章 皇室を究極的な善とする治安体制」 2019.5.28
・「第18章 大逆事件と世論誘導」 2019.5.28
・「第19章 大逆事件が呼び覚ました皇道論」 2019.5.28
・「第20章 国体論に基づく思想・言論の抑制を批判する可能性」 2019.5.28
・「第21章 天皇崇敬秩序に服する「かように」」 2019.5.28
・「第22章 知識人が国家神道を進んで担う時代 」 2019.5.28
・「第23章 神聖天皇に近づいていく学者・著述家ら」 2019.5.28
・「第24章 宗教運動が神聖天皇崇敬を増幅する」 2019.5.28
・「エピローグ」において、神道の定義が補足されており、「宗教神道」と「神社神道」のふたつに大別されるとしています(「神社神道」は「国
・「プロローグ」において、「本書のねらいは、国家神道や神聖天皇崇敬がどのように人々に浸透し、社会生活を規制していったかを捉えることにある」(p.14)と記しています。2019.5.25
・「第1章 明治天皇崩御と国家神道の新たな展開」 2019.5.27
・「第2章 明治聖徳論の展開と天皇崩御」 2019.5.27
・「第3章 明治天皇の大喪と乃木希典の殉死」 2019.5.27
・「第4章 乃木希典の殉死と軍旗の神聖化」 2019.5.27
・「第5章 「軍国美談」のスーパーヒーローの誕生」 2019.5.27
・「第6章 明治天皇の崩御と大衆参加の神聖化」 2019.5.27
・「第7章 国民の「熱誠」と明治神宮創健への動き」 2019.5.27
・「第8章 二重橋前平癒祈願と大衆の「熱誠」」 2019.5.27
・「第9章 群衆が育てた国家神道」 2019.5.27
・「第10章 石橋湛山が捉えた集合的沸騰の日本」 2019.5.27
・「第11章 天皇への「熱誠」 の美化と桐生悠々の抵抗」 2019.5.27
・「第12章 知識人の神道観・天皇観の変容」 2019.5.27
・「第13章 皇室の一体性と国家神道の新展開 」 2019.5.28
・「第14章 天皇崇敬で高揚する群衆の系譜」 2019.5.28
・「第15章 日露戦争から戦後への群衆の昴揚 」 2019.5.28
・「第16章 治安と言論統制による天皇神聖化」 2019.5.28
・「第17章 皇室を究極的な善とする治安体制」 2019.5.28
・「第18章 大逆事件と世論誘導」 2019.5.28
・「第19章 大逆事件が呼び覚ました皇道論」 2019.5.28
・「第20章 国体論に基づく思想・言論の抑制を批判する可能性」 2019.5.28
・「第21章 天皇崇敬秩序に服する「かように」」 2019.5.28
・「第22章 知識人が国家神道を進んで担う時代 」 2019.5.28
・「第23章 神聖天皇に近づいていく学者・著述家ら」 2019.5.28
・「第24章 宗教運動が神聖天皇崇敬を増幅する」 2019.5.28
・「エピローグ」において、神道の定義が補足されており、「宗教神道」と「神社神道」のふたつに大別されるとしています(「神社神道」は「国
家神道」「皇室神道」も含む)(p.232)。 2019.5.26
・「あとがき」 において、「本書が照らし出そうとしている歴史は、天皇と神道をめぐる「心の社会史」に焦点を当てたものである」(p.243) 2019.5.26
・「あとがき」において、本書の24の章は、月刊誌『春秋』(春秋社)とウェブ上の「はるとあき」に連載(2016.10-2019.3、2年半)されたものが基になっています(p.244)。2019.5.28
・章別に文献リストが入ってないのはやや残念。2019.5.27
・「索引」がないのはちょっと残念。2019.5.27
・「」での引用文が全体の3割と多い(論証の仕方が上手で、論証が十分になされている)。2019.5.27
・学術書であり啓蒙書(本文中に多くの文献がページ指定で引用されている)。2019.5.27
・分析視点は、表面的にとらえれば、国民とマスコミにポイントを置くように読み取れ、宗教としての神社神道(国家神道)が加わるものの(国民が国家神道の担い手のように読み取れる)、その時代的背景の軍部の支配的メカニズムに対し(日清戦争と日露戦争)、意識的に、分析視点の対象外に置いたように感じました。2019.5.27
・明治天皇の社会史的・宗教史的分析です。2019.5.27
・最初に考えていたよりもはるかに入りやすく読みやすく理解できます。2019.5.27
・写真(47枚)の挿入は的確になされています。2019.5.27
書評(総まとめ)
上記の評者の「感想ノート」を基に考察すれば、「明治天皇」という研究対象には、ふたつの視点(「社会背景から生じた軍部による神聖化」と「国民やマスコミや専門家などによる神聖化」)が考えられるものの、著者は、国民やマスコミや専門家などが、いかに、明治天皇の神聖化と国家神道の強い礎を築いたかの社会史を基礎にした宗教史的分析手法での「明治天皇論」「国家神道論」を体系化しました。
・「あとがき」 において、「本書が照らし出そうとしている歴史は、天皇と神道をめぐる「心の社会史」に焦点を当てたものである」(p.243) 2019.5.26
・「あとがき」において、本書の24の章は、月刊誌『春秋』(春秋社)とウェブ上の「はるとあき」に連載(2016.10-2019.3、2年半)されたものが基になっています(p.244)。2019.5.28
・章別に文献リストが入ってないのはやや残念。2019.5.27
・「索引」がないのはちょっと残念。2019.5.27
・「」での引用文が全体の3割と多い(論証の仕方が上手で、論証が十分になされている)。2019.5.27
・学術書であり啓蒙書(本文中に多くの文献がページ指定で引用されている)。2019.5.27
・分析視点は、表面的にとらえれば、国民とマスコミにポイントを置くように読み取れ、宗教としての神社神道(国家神道)が加わるものの(国民が国家神道の担い手のように読み取れる)、その時代的背景の軍部の支配的メカニズムに対し(日清戦争と日露戦争)、意識的に、分析視点の対象外に置いたように感じました。2019.5.27
・明治天皇の社会史的・宗教史的分析です。2019.5.27
・最初に考えていたよりもはるかに入りやすく読みやすく理解できます。2019.5.27
・写真(47枚)の挿入は的確になされています。2019.5.27
書評(総まとめ)
上記の評者の「感想ノート」を基に考察すれば、「明治天皇」という研究対象には、ふたつの視点(「社会背景から生じた軍部による神聖化」と「国民やマスコミや専門家などによる神聖化」)が考えられるものの、著者は、国民やマスコミや専門家などが、いかに、明治天皇の神聖化と国家神道の強い礎を築いたかの社会史を基礎にした宗教史的分析手法での「明治天皇論」「国家神道論」を体系化しました。
「」内に引用した文章の量は、本書の3割くらいに達し、そのことが十分な論証につながっており、読者にとっては、理解しやすい。
挿入写真から、当時の文化や社会が読み取れ、記載内容のイメージ化の助けになる。
歴史的に見て、大きな戦争の中で生きた明治天皇や昭和天皇は、特異な役割を担わなけれぱならず、どのような分析視点を採るかにより、評価が大きく分かれることになります。
本文中に明記された文献数は、多く、論証法と考察の深さからすれば、学術書と位置づけられ、同時に、読みやすさと分かりやすさも考慮すれば、啓蒙書とも位置づけられ、広範囲の年齢層と専門分野の人達にも読んでいただける内容になっています。
著者の著書は、どれも、採用する検討事項と論じる長さの公正さが担保されており、絶妙な構成に、感心します。かくありたいものです。 2019.5.28
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